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ライブハウスの仕事しての致命的欠陥

この記事からはじめまして

ダラダラと続けてますが完結編です。

一番、伝えたいことは上の"パレートの法則"の記事で書いたので、いろいろと書いてますが、全部オマケみたいなもんですが

この記事の最後に書いた

ライブハウスを商売として考えると致命的な欠陥があります。

の一文の話だけを最後に書いてみたいと思います。

興味のあるかたはお付き合いください。

商売として致命的な欠陥

イベントをブッキングするという基本業務のプラスαの話なのですが

自分のやってることって何かな?と考えた時に

バンド義務教育の先生

をやってると自分で思ってます。

特にファズで働かせてもらってた頃は、場所柄もあって仲良くなるのが、バンドはじめたての若い子が多かった。

だから、小学校の先生きぶん。

いまは、中学校の先生ぐらいの気持ちでやってます。

義務教育です。

基本的なことだけ学んでくれ!みたいな感じです。

じっさい、専門学校の講師をやらせてもらってたこともあるのですが、

あれはやっぱり難しいですね。

うしろの方にいてる興味なさそうな生徒の視線が痛い。

仕方ない。

学校ってそんなもんですよね。

で、いま自分がやってることって、どこぞの予備校の宣伝ではありませんが

お子様の学力にあわせて個別学習指導

なんです。

バンドによって必要なことはそれぞれなので、アドバイスをもとめられても

演奏の話ばっかしてるバンドもいれば
ライブのパフォーマンスの話ばっかしてる人もいるし
集客とか活動の仕方の話ばっかする場合もあるし

本当にそれぞれ

ぼく的に、いま君たちに必要なことってこれ?とアタリをつけて「例えばぼくはこう思う」というやり方をアドバイスする

そんな感じだと思います。

それも自分の主観にもとづいたアドバイスなので、正しいか正しくないかはわかりませんが。

基本的には、ずっと書いてますが

「余白を残してやり方を教える、または一緒に考える」

というスタイルです。

例えば、

ちょっと教えてみたら吸収力がすさまじかったのが、KANA-BOONの鮪だったり、みるきーうぇいの香織ちゃん

出会った時からほぼ出来上がってて、いまさら教えることなんか何もないわ…と横で見てて逆に勉強させてもらってただけなのがヤバTの小山だったり、もう解散しちゃいましたがkidorikidoriのマッシュとか

うえ二つを足して割ったみたいなバランス型がOKOJOの松下とか

口出ししすぎない方がいいかな?とある程度で寸止めてたら開花しそうなのがEasycomeだったり

手がかかるけどかわいいな…ってのが、Transit My YouthとかARKSとか

(勝手に名前だしてごめん)

キャラクターもそれぞれバラバラで面白い。

さて基本方針が "やり方を教える" なので、

比較的うまくやれるバンドにとっては、やり方を覚えた時点で、早々にぼくはいらない人間になります。

**これが欠陥その①

倉坂、早々にお払い箱化(笑)**

とはいえ、みんな良いヤツらだから、ライブハウスに出演はしてくれますし、遊びにも来てくれる。

で、どんどんバンドも人気が出ていく。

デビューがきまったりする。

嬉しい。

だってずっと応援してたんだもの。

朝までみんなでダラダラと過ごした時間は、ぼくにとってもかけがえのないものです。

ただ、

ただね

実際に人気が出て動員もつき、200人キャパのライブハウスを超えてしまった時

そう

これが致命的な欠陥なんです。

仲良くてあんなにずっと応援してたバンドだけど、出演してもらえなくなります。

**致命的欠陥②

バンドがうまくいきずたら、出てもらえなくなる問題**

いやらしい話をすれば、初期の人気のない頃ってお店的にあんまり利益になってない。

だってお客さんをあんまり呼べないんだもの。

バンドのギャラが少ないなら、もちろんライブハウスの利益も少ないんです。

利益がでてたら、ギャラ返してるっちゅうねん。

でも、いつかknaveでワンマンしてソールドアトできたらいいね!

そこまでがんばろうね!

みたいな話をしながら

(お金の話だけをゲスくすれば、いつかくる損益分岐点を目指して(笑))

一緒にがんばるわけです。

で、努力がみのり、実際に益がでた!となる。

ぼくもうれしい

バンドもうれしい

みんな幸せ

…なんですが、その辺りが、そろそろお別れの合図になります。

ぼくは義務教育の先生なので送りだす立場なんです。

キャパだけの話をすれば「じゃ、次はシャングリラでワンマンやね!」とか「ジャニスでやる?」とか、そんもんはさすがに僕にもわかるわけですよ。

じゃ次のワンマンもknaveね、いつやる?とか言えないじゃないですか。

これ、バンドがうまくいくがゆえの仕事で発生するジレンマ

商売だけの要素で、わりきって書くと

さあ、いまから稼ぎ時やで!!がんばるでー!!

って、タイミングで、他所に手渡さないといけないんです。

なんて因果な商売でしょう。地元のライブハウス。

でも、バンドにはもちろん売れてほしいし、人気もでてほしい。

この感覚は当事者にしかわからないかもなのですが、本当にお父さんと息子(娘)みたいな気持ちになってくんですよ。

結果がではじめると、めちゃくちゃ嬉しいんです。

嬉しいけど、複雑。

あまり大きな声ではいえませんが

「大事な娘をおまえみたいなヤツの嫁にやるわけにはいかん!」

なケースの時もあるわけです。

でも、娘(息子)が自分の意志で決めたことに口出しできるはずがない(あんまりな時はさすがに言いますが)

なので、何が致命的な欠陥かを要約しますと

動員が安定して人気がでたころにはもう出演してもらえなくなる

この一言にまとめられると思います。

だから、仕事的には終わりがない。

1バンド売れたから、これで、おれも飯食っていけるわ~なんてのは、まったくない。

むしろ売れてしまったら、仕事的にはまた1からすべてやり直し。

で、そのバンドが売れたころにはサヨナラ(精神的なつながりはありますが)…という無限ループ。

身近な例でいえば、いまさら河内REDSに「〇日出てよ!」気軽に言えないのは、想像つくでしょ?

メジャーレーベルにはメジャーのスケジューリングと動き方がある。

となると、少しだけ近い距離の1ファンとして、ぼくは陰ながら応援する人になるわけです。

例えば

●200人キャパマックスぐらいのいわゆる"インディーズバンド的"な活動をさせる
●自ら レーベル/事務所機能をもってしまって、バンドの面倒を引き続きみる

みたいな

ずっと付き合ってく方法だってあるんですけど、

ただこれは、めちゃくちゃ嫌な言い方をすれば、"囲い込んでしまう"ことになるので、なるべくやりたくない。

ただでも、内輪っぽくなりがちなのに、囲い込んでしまったら、終わる気がする。

お父さんみたいな気持ちになる と書きましたが、

親って自分の限界を子供におしつけてしまう時ってあると思うんです。

自分にできなかったことは無意識に、子供にもできない と決めつけてしまう。でも、それは決して悪意ではなくて、優しさで愛情なんだけど。

ぼくはバンドをやってますが、メジャーデビューしたことはありません。

そんなぼくが若いバンドにアドバイスをするときって、無意識に"じぶんの限界"を押し付けてしまう可能性があるんです。

例えば、メジャーデビューしなくてもこんな方法もあるよ? という提案は、ぼくからすれば優しさのつもりだけど、相手にとっては大きなお世話になるかもしれない。

自分の限界を若い子におしつけたくない。

ぼくは口出しするところは、たぶん他のライブハウスの人より過剰に口を出してる気はするんだけど、任せる部分は本当に放置。

前の記事で "余白も持たす"と書いた意味には、こんな理由もじぶんてきにはあります。

…と、話がすこしそれましたが、

自分のこの仕事の仕方のスタイルとしては

売れたら見送る方の立場にならざるを得ない。

うまくやる人はもっとうまくやってるんですけどねぇ。

これが、ライブハウスの人として僕が大成してない理由の自己分析です(笑)。

まあ、ふと我にかえって「何やってるんだろう…、やってらんねーなー」なんて思うことも正直あります。

でも、なんで続けてるかって

そりゃ、君たちがしっかりバンドを続けてくのに関われてるのが、楽しいからに決まってるだろ。

商売だから、お金の話も書きましたけど、やっぱりお金だけじゃないとこってあるんですよね。

みんなと青春を共にできる時間、プライスレス。

だから、みんな人気でてもファンクラブイベントとかでもいいから、たまにはknave使ってね。

おそまつ

というわけで、初心者でもなんでも新しいバンドとはつねに出会いたい今日この頃です。来年の1/6(月)に、あえてのノルマあり でバンドを募集している日があります。

われこそは!というバンドさんは、そろそろ締め切ります。ぜひぜひご応募ください!お待ちしてます。


投げ銭、応援はいつだって受付中でございます。