【New Event】『東京計画2019』vol.5 中島晴矢「東京を鼻から吸って踊れ」がArtStickerに加わりました
gallery αMでは2019年11月30日(土) から2020年1月18日(土)まで、「『東京計画2019』vol.5 中島晴矢 東京を鼻から吸って踊れ」を開催します。本展では、中島晴矢が近年取り組んできた都市論の現時点での集大成として、多数の新作を含む作品を公開します。
2020年のオリンピックを目前に控えた東京の様々な地区を舞台に、写真、オブジェ、ドローイングなど、多岐にわたるメディアで構成される、大規模な個展です。自らの足で都市を逍遥しながら見えてきた風景や、歴史を辿る中で浮かび上がったイメージをもとに、今日の「普請中」の東京を描写し、自身の「都市計画」として画することになります。
中島が描き出す「東京計画2019」を、ぜひArtStickerとともにご覧ください。
中島晴矢 Installation view 《New World Border -OLYMPIA-》
「東京計画2019」について
二度目のオリンピックのカウントダウンを控え、大きな力によって変動し続ける東京。再開発が進み清潔に整えられていく一方で、複数のキャラクターを持った街の集合体という特徴は薄れ、画一化と均質化が進み、人々の行動様式にも影響を与えています。
今年度のαMプロジェクトでは、5組のアーティストたちの実践により、その諸相をギャラリーに転送し、そこに潜む問題に言及しつつ、単一の経験やシステム、アイデンティティからの脱却と、別の可能性を提示したいと思います。 シリーズタイトルは、戦後の混乱から高度経済成長に突入し、東京オリンピックへと向かって行く時代の流れの中で、1960年、丹下健三研究室が策定した「東京計画1960」を下敷きにしています。湾岸地域と超高層ビルなど海と空への開かれた展開を提案し、開発や成長というヴィジョンに美しい形を与えた幻の都市計画です。
東京の爆発的な発展が予言される一方で、すでに都市化が行き詰まりを見せはじめていたアメリカでは、その翌年に、ジェイン・ジェイコブズという一人の女性が、大規模で単一的な開発を批判し、生活者の視点から、異なる要素のパッチワークとしての都市像を提起しています。
しかし、それから半世紀以上が経った現在も、東京は大都市という夢を捨てることなく、スクラップ&ビルドの舞台であり続けています。都市は今なお、人々の幸福な生を保証するシステムとして有効なのでしょうか。この連続展覧会をプラットフォームに、「祭りのあと」をサバイブするための指針が生み出されることを期待したいと思います。
- 藪前知子(東京都現代美術館学芸員)-
中島晴矢 《TOKYO CLEAN UP AND DANCE !》2019 年 video
───東京を鼻から吸って踊れ。
各作品に通底するのは、「挽歌の響き」(サイデンステッカー)かもしれない。永井荷風が下町の江戸情緒に見出した ような、失われゆくものへの郷愁である。だが、もちろん安易なノスタルジーに固執しているわけではない。
私は今、 2019 年の「ココ東京」を描写したいのだ。 そもそも、アートが都市に対して為しうるのは、政策的な「都市の再編」ではなく、リアルな「都市の記述」ではなかっ たか。だからこそ、自らの足で街路=ストリートを逍遥しながら視えてきた風景、あるいは歴史の縦軸を辿る中で照射 されたイメージを通して、今日の東京を問う(TOu-KYOu ! )のである。
言うまでもなく東京は、2020 年代に向けた再開発の真っただ中にある。とはいえ、世界で最も先端的だったらしい この街も、いまや停滞して久しい。にもかかわらず、東京、もっと言えばこの国は、日々増殖する未収束の被災地を捨 て置いて、五輪と万博による輝かしき近代の〈祭宴の再演〉に躍起になっている。 そんな東京の「都市計画」を破壊したいという欲望を、私は禁じ得ない。 林立するタワーマンションや複合施設に象徴されるように、経済原理追求の結果、偶然性が排除され、どんどん息苦 しく、不寛容に、排他的に......要するにつまらなくなっているのは、都市空間だって、情報環境だって、時代の空気だっ て同じだろう。
メタボリズムの起源にあたる丹下健三の「東京計画 1960」は、東京湾に線形の海上都市を建設するという、夢想的な「イ ンポッシブル・アーキテクチャー」であった。 私もまた夢想する。粉々に砕かれた東京を。その粉末を。それらを鼻から吸ってハイになることを。そして、路上で 勝手に踊ることを。
その意味で、これは私の「東京計画」である。
ディケイドとディケイド、元号と元号に挟まれた間隙に。
中島晴矢《Shuttle RUN for 2021》 2019 年 video|10’ 04’’
アーティスト
中島 晴矢
1989年神奈川県生まれ。
法政大学文学部日本文学科卒業、美学校修了。
美術、音楽からパフォーマンス、批評まで、インディペンデントとして多様な場やヒトと関わりながら領域横断的な活動を展開。
主な個展に、「バーリ・トゥード in ニュータウン」(TAV GALLERY/東京 2019)「麻布逍遥」(SNOW Contemporary/東京 2017)、「ペネローペの境界」(TAV GALLERY/東京 2015)、「上下・左右・いまここ」(原爆の図 丸木美術館/埼玉 2014)、「ガチンコーニュータウン・プロレス・ヒップホップー」(ナオ ナカムラ/東京 2014) キュレーションに、「SURVIBIA!!」(NEWTOWN2018/東京 2018) グループ展に、「TOKYO2021 美術展『un/real engine ―― 慰霊のエンジニアリング』」(TODA BUILDING/東京 2019)「変容する周辺 近郊、団地」(品川区八潮団地内集会所/東京 2018)、「明暗元年」(space dike/東京 2018)、「ニュー・フラット・フィールド」(NEWTOWN/東京 2017)、「ground under」(SEZON ART GALLERY/東京 2017)
アルバムに、「From Insect Cage」(Stag Beat 2016)、連載に「アート・ランブル」(太田出版)など。
ゲストキュレーター
藪前知子 やぶまえ・ともこ
1974年東京都生まれ。東京都現代美術館学芸員。
これまで企画担当した主な展覧会は、「大竹伸朗 全景 1955-2006」(2006)、「MOTコレクション 特集展示 岡﨑乾二郎」(2009)、「山口小夜子 未来を着る人」(2015)、「おとなもこどもも考える ここはだれの場所?」(2015)、「MOTサテライト 2017春 往来往来」(2017)、「100年の編み手たち:流動する日本の近現代美術」(2019)(以上、東京都現代美術館)など。札幌国際芸術祭2017の企画チームに参加。キュレーションの他に、雑誌、ウェブ、新聞等に日本の近現代美術についての寄稿多数。
【基本情報】
会期:2019年11月30日(土)~2020年1月18日(土)
会場:gallery αM
住所:東京都千代田区東神田1-2-11アガタ竹澤ビルB1F
電話:03-5829-9109
開館時間:11:00~19:00
休館日:日月祝休 冬季休廊2019年12月26日~2020年1月6日
観覧料:無料
URL:https://gallery-alpham.com/exhibition/project_2019/vol5/
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