第4章 問題解決とコンフリクトマネジメント
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第4章 問題解決とコンフリクトマネジメント
ファシリテーションにおいて、問題解決とコンフリクトマネジメントは非常に重要なスキルです。これらのスキルを身につけることで、グループが直面する課題を効果的に解決し、対立を建設的に処理することができます。この章では、問題解決のプロセスとコンフリクトマネジメントの技法を詳しく解説します。
4.1 問題解決プロセス
問題解決は、ファシリテーションの中心的な役割の一つです。以下に、問題解決のプロセスを詳細に解説します。
4.1.1 問題の特定
状況の理解: 問題が発生している状況を詳細に把握します。参加者から情報を収集し、問題の本質を明らかにします。
問題の明確化: 問題を具体的に定義し、何が課題となっているかを明確にします。例えば、「プロジェクトの進捗が遅れている」という問題を「Aタスクの完了が予定より2週間遅れているため、全体のスケジュールが影響を受けている」と具体化します。
4.1.2 根本原因の分析
原因の探求: 問題の表面的な症状だけでなく、根本的な原因を探ります。例えば、「なぜAタスクが遅れているのか?」と問うことで、深い原因を突き止めます。
ツールの活用: フィッシュボーンダイアグラム(魚の骨図)や5 Why分析などのツールを使用して、原因を体系的に分析します。
4.1.3 解決策の立案
ブレインストーミング: 参加者全員が自由にアイデアを出し合い、多様な解決策を提案します。
評価と選定: 提案された解決策を評価し、最も効果的かつ実行可能なものを選定します。この際、メリットとデメリットを比較検討します。
4.1.4 実行とフォローアップ
行動計画の策定: 選定された解決策を実行するための具体的な行動計画を策定します。責任者、期限、リソースを明確にします。
モニタリングと評価: 解決策の実行状況を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整を行います。評価により、効果を確認し、改善点を見つけます。
コラム: 成功した問題解決の実例
4.2 コンフリクトマネジメント
コンフリクトマネジメントは、グループ内の対立を建設的に解決するためのスキルです。対立を適切に管理することで、チームの生産性と士気を維持することができます。
4.2.1 コンフリクトの理解
種類の把握: コンフリクトには、タスクに関する対立(タスクコンフリクト)と人間関係に関する対立(リレーションシップコンフリクト)があることを理解します。
原因の特定: 対立が発生した原因を特定します。これには、誤解、コミュニケーションの欠如、価値観の違いなどが含まれます。
4.2.2 コンフリクト解決のアプローチ
協力的アプローチ: 対立する両者が互いの意見を尊重し、共通の解決策を見つけることを目指します。ウィンウィンの解決を目指します。
妥協的アプローチ: 両者が部分的に譲歩し、妥協点を見つけるアプローチです。全員がある程度満足する解決策を見つけます。
4.2.3 ファシリテーターの役割
中立的立場の保持: ファシリテーターは中立的な立場を保ち、両者の意見を公平に聴きます。
対話の促進: 双方が自由に意見を述べ、互いの立場を理解できるように対話を促進します。具体的には、アクティブリスニングやパラフレーズを用いて相手の意見を確認します。
問題解決の支援: コンフリクトの根本原因を探り、具体的な解決策を共に考えます。この際、ツールやフレームワークを活用して、体系的に解決策を検討します。
4.2.4 実行とフォローアップ
行動計画の策定: 合意された解決策を実行するための具体的な行動計画を策定します。これには、責任者、期限、リソースを明確にすることが含まれます。
モニタリングと評価: コンフリクト解決の進捗を定期的にモニタリングし、必要に応じて調整を行います。また、評価を通じて、解決策の効果を確認し、将来的な改善点を見つけます。
コラム: コンフリクト解決の成功事例
まとめ
問題解決とコンフリクトマネジメントは、ファシリテーターにとって不可欠なスキルです。効果的な問題解決プロセスとコンフリクトマネジメント技法を身につけることで、グループが直面する課題を乗り越え、より生産的で協力的な環境を作り出すことができます。次章では、会議の設計と運営について詳しく解説します。