ゲイの生き辛さを知ればボヘミアンラプソディがもっと心に沁みるようになる話⑥
□さらっとインデックス
- 「同性愛の罪」との葛藤
「同性愛の罪」との葛藤
But I'm just a poor boy and nobody loves me
俺はただの可哀想な少年で誰からも愛されない
He's just a poor boy from a poor family
彼は可哀想な家族生まれの可哀想な少年だ
Spare him his life from this monstrosity
彼をこの怪物から救ってあげて
Easy come easy go, will you let me go?
薄い人間関係でいたいんだ。俺を離してくれよ
Bismillah! No, we will not let you go
神の名において、お前を決して離さない
Let him go
彼を離してあげて
will not let you go - let me go -
決して離すものか。 ー離してよー
No no no mama mia mama mia let me go
ダメだダメだ。母さん、母さん、僕を離して
Beelzebub has a devil put aside for me
ベルゼブブが悪魔と共に俺を待ち構えているんだ
同性愛的情事の後、フレディはひどく葛藤する。これはまさに審判であり、自責の念の象徴だ。男のくせに男に欲情してしまう「monstrosity (=怪物)」から己を救って欲しいと願う一方、その怪物から逃げる術などないことにも気付いている。そんな自分は誰からも愛されない哀れな存在であり、罰せられるべき存在なのだと自分を責めているのだ。
ここで登場する「We (=私たち) 」とは、ベルゼブブとその悪魔だ。ベルゼブブとは、本来性的な儀式を行う豊穣神である。しかし、異教徒により邪神として蔑まれたために、邪悪な存在として認知されてしまったとされている。この構図は異性愛者から見た同性愛者のイメージと重なる。ベルゼブブと悪魔はつまり、同性愛のメタファーなのだ。彼の同性愛的欲望が「We will not let you go (= お前を決して離さない) 」と彼に強く迫り、彼は「Will you let me go? (=僕を離して)」と神にもすがるような気持ちでその欲望に抗おうとしているのである。
そして同時にこの「We (=私たち)」は彼を取り巻く社会や他者であるとも考えられる。同性愛者という罪深い自分を周囲の人間は絶対に見逃してはくれないと恐怖し、「Let me go(=僕を離して)」と繰り返し許しを乞うのだ。「Mama mia let me go (=母さん、僕を離して)」からは、母親に対して抱えていた罪の意識が非常に強いものだったことが分かる。フレディの生きた時代が現在よりも遥かに同性愛に対して風当たりの強い時代だったということを考えると当然だ。
そしてその罪の意識は次第に怒りへとも変わる。いよいよクライマックスへと繋がる転調だ。次回をお楽しみに。
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