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【めくるめく】忠実に守っています

 いまも「アメリカ合衆国」いうてはりますのん?

 数十年来の知己であるSは、久しぶりにわたしに会うたびにこういって親しみをこめてわたしを揶揄します。
 わたしが、米国のことを「アメリカ」ではなく「アメリカ合衆国」と呼ぶことが、違和感あって笑える、というのです。

 なんでわざわざアメリカ「合衆国」なんよ?(笑)(笑)(笑)

 わたしにしてみれば、中学校のときの先生が言ったことを今も忠実に守っているだけなのですが。

 わたしが中学生の頃、社会科の先生が採点済のテストの解答用紙を生徒に返しながらひとつの忠告をしました。

 ええか。ここではマルにしといたけど、入試なんかではソビエト連邦のことを「ソビエト」て書いたらあかんで。「ソビエト」いうたら会議体の名前や。「ソビエト連邦」か、「ソ連」て書きなさい。

 いまのロシアは当時「ソビエト社会主義共和国連邦」という名の国で、テレビや新聞では「ソビエト連邦」あるいは「ソ連」と称されていました。

 アメリカもおんなじや。「アメリカ」いうたら北アメリカ大陸とか南アメリカ大陸とかいうように、国のなまえを指すとは限らんのや。入試なんかでは「アメリカ合衆国」、それか「合衆国」て書くんやで。

 センセ、「USA」はええのん?

 「USA」はかまへん。

 いまにして思えば、入学試験で「アメリカ」という解答を「アメリカ合衆国」ではないという理由で不正解にする学校があるとすれば、それはかなり尖っていると言わざるを得ないと感じるのですが、それでも、入試ではわずかの隙もみせるな、という思いをこめて、社会科の先生はそうおっしゃったのでしょう。
 それ以来、わたしはその国のことを「アメリカ合衆国」と呼んでいます。

 冒頭のSは「アメリカ合衆国」を笑いますが、でも近年は、「イギリス」と呼ばずに「UK」と呼ぶ人が多いですよね。

 社会科の先生は、「イギリス」ではなく「UK」と書きなさい、とは言わなかったのですが、わたしもいまは「UK」と呼ぶことが多いです。
 もしも、「グレートブリテン及び北アイルランド連合王国」なんて呼んだとしたら、Sはあきれかえって揶揄すらしなくなると思いますが。

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