吹奏楽の芸術的価値は上がるか【7/21誰か宛ての日記】
・私は中高のとき、吹奏楽部に所属していた。
・吹奏楽部と聞くと、「体育会系文化部」などと揶揄されるように、厳しい練習や陰険な上下関係などのイメージがどうしても付きまとう。事実なのだが。
・私は、吹奏楽部は嫌いだが吹奏楽は大好きだ。軍楽隊から派生していき、コンサート用の曲が発展した特異な背景のもと、独特な音楽文化が形成され、良曲がたくさん生まれるようになった。
・しかし吹奏楽は、未だ芸術としての市民権を獲得できずにいる。例えば「クラシック音楽館」というNHKの番組がある。基本的に管弦楽がメインなのだが、たまにピアノ曲や不思議な編成の音楽がフィーチャーされる。しかし吹奏楽が特集されたことはない。オーケストラのプロの演奏会はすぐに満席になるが、吹奏楽のプロの演奏会は空席が目立つ。そして前述の「体育会系部活動」というイメージ。
・なんだろう、「青春に全力を注ぐ若者」みたいなパブリックイメージがあるのかな?確かに吹奏楽と聞いて真っ先に思い浮かぶのは、甲子園の応援で汗水たらしながらラッパを吹くポニーテールの女子高生かもしれない。たしかに、今羅列した言葉からは「芸術」のげの字も思い浮かばない。
・吹奏楽が芸術としての地位を確立するビジョンも確かに見えないな。これからもきっと中高生の青春の一ページとしてのみ消費され、地方の名もなき吹奏楽団はオーケストラに所属できなかった音大卒の人たちの受け皿となり、そして私のようなオタクがアマチュアの楽団を作って似たような人たちと小さなコミュニティを作り上げる。
・アメリカのように大学の吹奏楽が盛んになり、音大の中でも一定の地位を確立すれば変わるだろうか。私はアメリカの大学吹奏楽を聞くのが好きだが、そもそも彼らも市民権を確立しているかは疑問。
・東京工業大学の高尾先生や、玉川学園の土屋先生、作曲家の後藤洋先生のように、日本の部活文化だけでなく、世界的な視野をもった人が日本の吹奏楽文化をけん引しないといけないんだろうな。
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