【映画】傲慢と善良が残念だった件
傲慢と善良が公開された。
藤ヶ谷大輔演じる西澤架と
奈緒演じる坂庭真美が中心の物語である。
小説の感想
私は既に小説は読んでいる。
最近はつい現実的に考えてしまい、小説や映画にのめり込むことが出来ない私だったがこの小説は珍しくのめり込むことができた。
マッチングアプリを通して出会った2人の心理描写が繊細で、現代の出会いの特徴や課題を作者である辻村深月さんが見事に執筆してくれている。
結婚相談所の小野里さんの見通したような雰囲気と真理をついた言葉も魅力だった。
結果、作者の繊細さと賢さ両方を感じることのできる学びのある作品だと私は感じた。
映画の感想
なので、普段映画館に行くことの少ない私も珍しく足を運んだのだが感想は「なんだこりゃ」だった。
他の映画レビューを見ると賞賛するコメントが多いのたが、私の感想は真逆である。
「作者もよく了承できたものだ」と思ったぐらいだ。
はじめに感じたのは話がかなり変わっていることだ。
尺の問題として細かな描写が省略されるのはしょうがないとして、小説には出てこなかったみかんビールの話が出てきたり、
真美の婚活相手は小説では、顔が真美のタイプだがまともに会話できないぐらい物静かな人であったが、映画では顔も良くなくてベラベラ話すただのオタクなおじさんに変わってしまっていた。
それと、真美のストーカーの話が真美の嘘であったことを架が知るタイミングが悪い。
時折真美が東北でボランティアをしている風景を差し込んでいる影響で、真美がストーカーに連れ去られた訳でも、一緒に逃げた訳でもないことがバレバレで架は驚いても視聴者は驚かないはずだ。
ラストシーンも真美が軽トラを借りて駅まで運転し架を追いかけたくさん泣く、安い恋愛ドラマみたいな展開だった。
小説では「このまま別れたままでもお互いの道を歩む」という覚悟が伝わるほど意志を持ち、成長した二人が落ち着いた様子でやり取りしていたのに。
そのシーンで私は心がキュッとなり涙が出そうになった。
映画だけを観た人なら素直に楽しめるのかも知れないが小説を読んだ側からすれば、多くの変更点に「!?」が頻発する。
そのため没入することができなかった。
小説が素晴らしいだけに私としては非常に残念である。
小説も読んで欲しい!!
だからこそ小説も読んでいただきたいのだ!!
リアルにも存在するであろう繊細に描写されたそれぞれのキャラの個性と辻村深月さんの深い思考が生み出す共感を生む言葉たち。
皆さんにもこの作品を見ていただき思い思いの意見を発信してもらいたい。
公式サイトにキャストのインタビューが掲載されているので是非読んでいただきたい。
インタビューを読むとそれぞれがベストを尽くして撮影に挑んだだけになおさらもどかしさが残ってしまうのだが、映画の完成度に肯定的に捉えている方も多く、私の感想はむしろ少数派のようだ。
あくまで個人の感想なので小説と映画を観ていただきあなたの感想を教えて欲しい!!
他のレビューリンク
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