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放浪記録(Boston④)流れに身を任せる。柔らかくしなやかに。

承認欲求がどうのこうのと言われるけど、大した事ないトピックのように思ってしまう。認めてもらえたら嬉しいし、安心するし、ポジティブな感情がたくさんだけど、例えば認められないとして、それも、どうって事があるかな…と思う。
自分を、自分のやっている事を認めてもらえないとしても、それが迷惑行為や法律を犯すもので無い限り、自分のためだけにやり続けていいじゃないかと思う。
誰のためでもない、まずは自分のための人生なのだから。

Bostonから日本に帰国した日

両親にまたBostonに戻りたいと伝えた。
母親は大賛成
父親は反対
理由はお金かかるし、音楽なんかやってもただの遊びだからという父親の考え。

正直、両親がどう思うかはどうでも良かった。
もう自分の気持ちは決まってたから。

日本では派遣社員として働いてお金を貯め
昔からの貯金と
母親に援助をいただいて
数ヶ月後にはBostonに戻った。

到着して先生と会った時には
以前とは違う強い意志を持っている事に自分でも驚きながら
レッスンに挑んだ

「来月、コンサート決まったから」
「へ〜おめでとうございます。何歌うんですか?」
「いや、君もだよ。コンサートで君も歌うよ?決まったから。曲目も決まったから。後でドレス見に行こう」

私、
「…無理!お断りします!」
即答。

「もっと勉強してからコンサートで歌います。もっとできるようになってから!」

「……じゃぁそれはいつ?いつなら歌えるの?いつできるようになる予定?誰もそんなのわからない。完璧なんてないよ?そんなこと言ってたら、いつまでもできない理由ばかり探して、ずっと舞台立てない。常に今出来る事のベストを目指せばいい。歌いなさい。」

ぐうの音もでない。

下手くそなのに嫌だな。
笑われないかな。
恥ずかしいな。
ちゃんと声出るかな。

心配と不安ばかり。

その感情の全ては、聞き手にどう評価されるかが気になってしまうから。
良く思われたいし、嫌われたくないし、呆れられたくないし。
やっぱり良い声とか、良い歌い手とか美しい歌とか思われたい。
そう認めてもらえるように歌いたいと、当然思う。

でも、今の私ができる限りの勉強を必死でやって、心を込めて、勇気を持って歌う事
もう今の私はこれが精一杯ですと
とにかく心を込めて歌うしかないと思った。
とにかく勉強
イメージトレーニング
そして本番当日は心穏やかに軽やかに楽しんで歌おう。

曲目も最終決定し
ドレスも決まり
リハーサルの日々。

人生で味わったことのない充実した濃厚な学びと経験を積み重ねる日々。

本番までの1ヶ月間

未知の世界の出来事全てを素直に受け入れ身をゆだねる。
柔らかな思考としなやかな発想が
この大きな壁を乗り越える鍵だと思ったから。

心地よいほどに
勝手に全てが良い方向に動いていってくれた。

本番当日はあっという間にやってきた。

もう不安も何もない。
待ち望んだ日。

…次回に続きます
放浪記録
読んでくださってありがとうございました😊

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