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ガーナ小話:トカゲを食べてみた!!

ガーナには都市部にも農村部にも至るところにトカゲがいる。10メートル歩けば5匹は見かけるほど本当に多い。彼らは異様にカラフルな体を持っている。まるでジュラシックパークに出てくる毒を吹く恐竜みたいな色合いだ。触れたら絶対よく分からない液体で肌がかぶれそうな色。でも別に彼らは無害で襲ってくることもなければ、家に侵入してくることもなく、むしろ僕らが捕まえようとしても目にもとまらぬ速さでどこかへ逃げてしまう、臆病な生き物だ。

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↑画像は拾い絵、wikipediaより。

調べたところ名前はアガマトカゲというらしい。体長は15cmから20cmほどで西アフリカの砂漠部に広く生息するという。日本でイメージするトカゲより二回りほど大きいが、威圧感はない。

最初こそ、頻繁に草陰から飛び出してくる見かけるトカゲにおびえたものだったが、慣れてくるともう何にも思わず、日常の風景として流していた。そんなある日、僕は思いもよらぬ状況でこのトカゲと出くわした。

あれは、滞在していた村から少し離れた高台の町にプチ観光をしに行った日のこと。午前中に世界最大の人造湖であるヴォルタ湖のど真ん中にて、まあまあ怖い顔で船から飛び降りろと言われて、着衣水泳をやらされた僕はヘトヘトのままガーナ人に夜の街に連れていかれていた。

ヴォルタ

↑ヴォルタ湖、漁師に船を借りて沖合まで出てもらった。まさか飛び込むとは知らずに。

どう見ても普通の家の隣に、どでかいスピーカーを置いてガンガンにアフリカンミュージックを流すクラブに入った僕らは、なぜか酒名がウォッカしか通じない店員さんにウォッカの小瓶をもらって、近くに住んでいるらしい農園経営者のおじさんの話を聞いた。

彼のカカオ小話は全く覚えていないが、飽きた僕は夜の街をもう少し見回ることにした。その街で一番の大通りらしき道にはまるで夏祭りのように屋台が立ち並んでいた。その中で肉を焼いていたおじさんの店に入ってみた。

炭火

「これ何の肉?」
「リザード」

リザード。Lizard。つまり、トカゲだ。
まあそりゃ普段からあんなに外歩き回ってたら、食べる文化もあるわなと思い、怖いもの見たさで一つ購入してみた。おじさんに辛いのと普通のどっちがいい?と言われたので辛いのを選ぶ。ゲテモノは味がきついことが多いので、味付けが濃いものを頼んだ方がごまかせるのだ。僕はこれをブルネイでカブトムシの幼虫を食べたときに学んだ。

てらてらとした肉が五つほど串に刺さっている。匂いはきつくなくて、普通の焼き鳥のようなにおい。意を決して一口頬張ってみた。
照り焼きソースのような味が口いっぱいに広がる。肉は結構弾力があって、コリコリしている。知っている食べ物で例えると何だろう。砂肝?
人を選ばない上質な味だったので二つ追加購入してその日の夜ごはんにした。僕の頭にはトカゲはおいしいという新たな知識が深く刻み込まれた。

ヤキトリ

帰国してしばらくたったある日、僕は食肉加工のドキュメンタリーを見ていた。鳥の体の部位を表す解剖図が出てきたとき、僕は一つ気になる単語を見つけた。

Gizzard.

なんだこれ。どういう意味だろう。グーグル先生に訊いた僕はあっけにとられた。

Gizzard―砂肝

あれ、ガーナで食べたあの砂肝みたいな肉、砂肝じゃね?
調べても、トカゲは食用として食べる国もあるというから真相は闇の中。ガーナの屋台のおじさんがGizzardという単語を知っているかも微妙なところ。
でもあまりに砂肝の味だったから砂肝じゃない?と僕は思ってる。

どうなんだろうね。

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