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【みみ #29】聴覚障害専門の就労移行支援サービス


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リム夏菜恵さん、杉田真理さん


 設立から20年、それまで就職・転職支援した障害者の数は10,000人以上。自社の社員も、258名のうち15.5%が障害者手帳をもつ。掲げるクレド(企業理念)は、『「誰もが自分らしくワクワクする人生」を目指します』。そんな会社が、「障害者雇用のパイオニア」である株式会社ゼネラルパートナーズだ。


 そんなゼネラルパートナーズ社に勤める社員の方々も各々に障害者に寄り添う多様性を備えている。

 リムさんは、小学校3年生で地域の点字手話教室に通い出すや手話に魅了され、学生時代も勉強を続け、手話通訳士の資格を取得された。一般企業も3年間経験した後に手話も活かせる現在の福祉の仕事に入り、手話通訳の副業もされている。

 杉田さんは、もともと「普通になれないような生きづらさ」を感じることがあり、発達障害の診断も受けた。大学進学で沖縄から上京して、文化の違いや体育会気質の部活動の中で「自分の苦手分野が悪目立ち」してしまったことで適応障害になり、大学を休学した過去を持つ。


 そんなお二人が現在勤めるのが、聴覚障害及び発達障害のある人向けの就労移行支援事業所だ。ゼネラルパートナーズ社では、障害別のきめ細かいコースを用意している。

 例えば、聴覚障害コースでは、自分の「聞こえ」の程度を客観的に把握し、障害の状況や周囲にサポートしてほしい内容を自分で伝えられるようになることを目指す。また、口話・読話・筆記・手話・指文字など、聞こえる・聞こえない人に関わらず、就労後の様々な場面で誰とでもコミュニケーションが取れるスキルが習得できる。職場を想定した実践的なトレーニングも、手話・チャット・筆談(ブギーボード)・音声認識ソフト(UDトーク)などでサポートしている。



 働き方が在宅ワークかつチャットでも済む時代になり、聴覚障害のある方でも就労のハードルが下がったかのようにも見える。実際、聴覚障害のある方を雇用したいという企業も増えたそうだが、「そんな簡単ではない」。健常者で言えば、「相手の顔を知らず表情も見えないまま、(第一言語ではない)英語でチャットし続けるようなもの」だそうで、それは確かにしんどい。

 「企業側から必要な配慮も、聴覚障害であれば一律ではなく、一人ひとりで違う」。

 例えば、“聞こえる”人は生きている中で色々な情報が偶発的に耳から入り常識が形成される。しかし、“聞こえない”人にはそれがなく、LINEはできても検索ワードがわからないなど、自主的に情報をキャッチする力が弱い方もいる。

 例えば、“聞こえる”人に囲まれた育成環境で手話を習わず読唇だけで頑張ってきた場合、言語としての日本語が身についておらず、就職やキャリアの希望を聞いても、自分を表現する言語が確立していない方もいる。

 そのため、入念な準備なしには就労前後でのギャップが大きくなってしまい、就労してもそのギャップに体調を崩される方もいる。


 こうした背景から、同じ聴覚障害コースの中でも「皆で一緒のプログラムに取り組むことが難しい」点が悩ましい一方で、会社の理解も後押し、他のコースよりも職員の配置が手厚く、なんと利用者の定員20名に対して8名もの職員がサポートしている。

 聴覚障害コースに通う利用者さんからも評価は高く、「もっとアピールした方がいい」、また、長くひきこもっておられた方から「もっと早い段階で知っていたら早く立ち直れていた」といった声もあがる。

 一方で、裏を返せば、まだまだ「サービスを知られていない」のが現状だ。関東近辺のろう学校に訪問して就活に向けたビジネスマナー講座なども展開するが、現在はろう学校の生徒数が減少しており、大学に進学すればつながりも途切れる。きめ細かい聴覚障害コースを続けるにも、利用者への「アプローチが課題だ」



 杉田さんは「もっといろんな人に知ってもらいたい」からさらに、「知名度が上がって大きくなった時に、支援する側と支援される側ではなく、当事者の方々と一緒に事業をつくっていきたい」と夢を膨らませる。
 リムさんは、さらに先を見ている。「代表の進藤もよく言うんですが、障害者と健常者の区別がなくなって、この会社がなくなったらいい。夢物語かもしれないが、そういう会社であったらいいし、そのために何ができるか日々考えていく」


 お二人と、お二人が勤めるゼネラルパートナーズ社は、そうした社会に向けて、でも足元から、障害別に、さらに同じ障害でも一人ひとりにきめ細かく寄り添う取り組みを日々積み上げている。

 そんなシーンを実際に現場で見せてもらった私としても、こうした取り組みを日々、聴覚障害のある当事者の方々やそのご家族、さらには支援者や研究開発者の皆さまへのご紹介を積み上げていきたい。ご関心のある方は是非お問い合わせください。




ここまで読んでくださった皆さまに‥


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