【め #38】弱視者のスポーツアクセシビリティの拡大
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筒井 彩華さん、 山本 健太さん、 田中 賢吾さん
視覚障害者の運動不足という課題から発想され、弱視者でも光を頼りに相手の位置・手足の動きを把握できることで、ボクシングに取り組むことを可能にした『Low Vision Boxing』というプロジェクトがある。
このプロジェクトに取り組んだのが、メディアアーティストとしても有名な、筑波大学大学院の落合陽一准教授が率いるデジタルネイチャー研究室に所属する田中さん、山本さん、筒井さんだ。
3人は、視覚障害のある当事者ではない。しかし、デジタルネイチャー研究室では、視覚障害や聴覚障害のある学生も一緒に机を並べていた。「みみ」の第37話でご紹介した設楽さんもその一人。そんな環境で、「知り合いの課題を解決する距離感で普段を過ごしていた(山本さん)」。
そうした背景から、デジタルネイチャー研究室では、リアルタイムに発言を字幕表示することでろう・難聴者とのコミュニケーションをスムーズにする透明ディスプレイ『See-Through Captions』、視覚障害者でも飛翔体を用いた球技を楽しめるように開発・実証された『Blind-Badminton』、催しの楽しみ方が視覚に頼りがちな結婚披露宴を映像音響システムを活用することでロービジョンの新郎や参列者でも楽しめるようにした『Low-Vision Wedding』など、障害を乗り越える面白いプロジェクトが展開されていた。
これらのプロジェクトに日常的に触れる中で、「アクセシビリティへの興味が芽生え始め(田中さん)」、3人が『Low Vision Boxing』に手を挙げることになり、このプロジェクトを通じて「自身の研究テーマもインクルーシブデザインやアクセシビリティ寄りになっていった(筒井さん)」
『Low Vision Boxing』は、「将来的により多くの人に使ってもらうために、安価で使いやすいローテク」を採用している。光を頼りに相手の位置・手足の動きを把握するために、グローブと胸と脛あてにLEDライトが縫いこまれている。
実際に、そのライトの位置も、協力してくれた「弱視の当事者の視野角に合わせて試行錯誤し、毎月のようにアップデートしてきた」ことで、今も継続して当事者のボクシング練習に使われており、一時的なパフォーマンスではなく、実際にパンチやキックのスキルも上達しているそう。
一方で、今後の課題を聞いた。
視覚障害のある方の運動不足解消という目的から使いたい方も多いとすれば、まずは「広く視覚障害のある方に知ってもらいたい(筒井さん)」。
広く知ってもらうことができれば、次は「道具の製造メーカーからも声がかかるなど、つながりやすくなる(田中さん)」。ボクシングと言えばグローブなど道具が壊れやすい上に、現在はLEDライトの縫い付けを手作業でやっている状況だ。仮に「モノを売るだけの品質」が求められる製品化となれば、製造メーカーからの引き合いが欠かせない。
ただ、過去の別のプロジェクトを通じて「引き合いがあっても、事業としてやろうとすれば、学生として割ける時間と売上のバランスが取れず、どれだけ利益を上げて回していけるか(山本さん)」という壁にぶつかってきた経験もある。
それだけ、研究成果を事業化し、持続的に社会実装することはハードルが高いのだ。うまくメディア等で認知を広め、クラウドファンディングを通じて資金調達を成功させた『ブラインドボクシング』など他の取り組みも参考にして、試行錯誤しているところだ。
そして、もう一つ重要な視点として、「『障害のある人のために作ったけれど、障害のない人にも役立つもの』という視点は大事な気がします」と教えてくれた。
例えば、前述した、リアルタイムに発言を字幕表示することでろう・難聴者とのコミュニケーションをスムーズにする透明ディスプレイ『See-Through Captions』は、自治体など様々な窓口で、高齢者への対応などにも便利だと評価された。
世間で話題の、NIKE社の手を使わずに着脱できるシューズ『ゴーフライイーズ®』も、その例だと教えてもらった。障害者の要望から生まれたものとされるが、結果的に子育て中のお母さんや高齢者など幅広いユーザーから支持を得た。何より、履いててカッコいいビジュアルも特徴的だ。
その点で、『Low Vision Boxing』も動画を見ていただければわかるが、”光るボクシング”だ。見る人誰にとっても「ビジュアルとしてインパクトがあって楽しめることにも価値がある」と考えている。
3人はこのように、障害者が普通に周囲にいる環境に身を置き、自然と障害者の課題を解決する研究プロジェクトに取り組んでいった。
そうした経験を経て、今後、山本さんは映像制作分野に注力する。筒井さんは、障害者のためではなく、障害者も含めてみんなが使えるアクセシビリティやインクルーシブデザインという視点をもってものづくりを研究する。田中さんは、晴眼者と視覚障害者が一緒に楽しめる『触覚絵本』を自宅で手軽につくれるデザイン手法の研究を進め、自身で出版することも将来の夢だ。
3人とお話しすると、世の中の才能あふれる学生たちが同じような環境に身を置けば、障害の分野で挑戦する人がもっと増えてくれるという期待に胸が膨らむ。そして、それを加速するには、研究が少しでも事業化など世の中で実装されていくことも必要だろう。
そんなきっかけをつくることだけでも、Inclusive Hubとして貢献したい。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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