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【こころ #67】社会に根付く”障害の記憶”を書き換える
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阿部 潤子さん
社会福祉士である阿部さんは、「障害がキャリアを積む上で”障害”にならない社会の実現」を掲げる株式会社Connecting Pointを率いる。
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その原点は、大学の社会福祉学科での実習にあたり、指導教授から言われた「ダウン症や自閉症のイメージがつかない状態で実習に行くな」という一言だった。
地域の学童保育クラブ(現在の放課後デイサービス)でアルバイトを始めてみると、初めて「言葉のない世界観」を知った。「当事者の”声なき声”をどう汲み取るのか、それができなければ行動障害やパニックになってしまう。そこで自分なりの感性で立ち振る舞う」、そんな世界観だった。
その中で、阿部さん自身の心の中に、多くの”問い”が浮かんでくる。
当事者の子供たちと電車に乗れば、座っている席をずらされたり、白い目で見られることを肌で感じた。「普通に生活を送っていたら味わえない経験。彼らと一緒にいることで、社会の違う側面が見えてきた」。一緒に過ごせば、当事者の自己表現の仕方が理解できるようになる。でも、その外側に出ると「異次元の世界が待っている」。その違いは何なのか?
生活介護の事業所で実習をすると、利用者の生活は自宅と事業所の往復だけで、事業所には定員もあるため、「(学童に比べても利用者が)関わることができる人が極端に少ない」。大学生の自分は自由に進路選択に悩む一方で、同じ世代の当事者は、毎日同じ場所の往復で同じような作業をこなす。なぜここまで「生活のクオリティや選択の幅」が変わってくるのか?
「同じように生まれたのに、これだけの差が生まれるのはなぜか?」そんな問いが阿部さんの中に膨らんでいった。
こう考えるようになったきっかけをくれた教授は、英国への留学経験から、知的障害者の施設における権利について、今の福祉が当たり前ではなく、アップデートしなければいけない!と声高に叫ぶ人だった。
「そういう大人ってかっこいいなと思った」阿部さんも、オーストラリアの大学院に進学する。そこで、障害や困難のある当事者が、自分の利益や欲求、権利を自ら主張する『セルフ・アドボカシー』活動に関わる。「知的障害者でも発言するスキルもあって、発言することで自信をもっていく姿を目の当たりにした」
「当事者本人の想いや声をすべての中心に、ど真ん中に置いていく」。問いに対する明確な1つの答えがあるわけではないが、「自分の中での軸やスタンスは固まった」
![](https://assets.st-note.com/img/1727140819-g7myvw9IhRQSonYsOXzJ4DFC.jpg?width=1200)
阿部さんは帰国すると、人材派遣の子会社が就労移行支援や就労継続支援A型の事業所を複数立ち上げる現場からキャリアをスタートさせる。利用者の募集はもちろん、A型であれば最低賃金を支払えるようにどう仕事をもらってどう事業としてバランスさせるか。社外でもビジネスを勉強しながら模索する中で、入社4年後にはその子会社の社長になっていた。
そうして現場経験を積みながらも、かつての実習で経験したような「分かれた場所で働くこと」ではなく、共に働く「インクルーシブな世界観」に貢献したいという想いがどんどん膨らんでいく。
そうして、「この領域は難しいこともよくわかったが、それでも、やれることはやろう」と起業したのが、「障害がキャリアを積む上で”障害”にならない社会の実現」を掲げる株式会社Connecting Pointだった。
それから、障害者を雇用する企業向けを中心に、障害のある人の「認知機能」や「職業興味・価値観」といった観点から「成長ステップ」を可視化して、組織内での「対話」を活性化するサービスや、障害者雇用のプロを育成するプログラムなどを提供してきた。
しかし、阿部さんは、まだまだ「障害者雇用が関係者だけのテーマになってしまっている」と、課題を感じている。
ダイバーシティ&インクルージョンの領域は、企業幹部の鶴の一声も大事だし、人事など現場の方も想いをもって取り組んでいる。しかし、そこから先の「組織内に広がっていかないと、いつか現場が疲弊してしまう。その疲れが当事者に伝われば、最終的に当事者も疲れていってしまう」ことを危惧している。
大学時代に実習をした頃は、「なんで理解できないのか?なんでそんな目で見るのか?と、社会への批判が強かった」。でも、今では、「日本の社会で暗黙に培われてきた障害に対する記憶を思えば、ネガティブになるのも当然で、理解が及ばないことをもって責めることはできない」と考えるようになった。
しかし、「理解できないのであれば、相手へのリスペクトをもって、すべてを理解することは難しいと伝えればいい」と阿部さんは話す。障害のある人が話して、ない人が聞くという一方向ではなく、お互いに相手の話を自分のこころできいて、かつ、こころにもきいてみて、本音で語り返していく。そして、「じゃあ、どうしようか」とフラットに、互いを尊重しながら双方向の対話をしてほしい。それが、日本流のセルフ・アドボカシー活動であり、障害の有無に関係なく、私たち一人ひとりが自分らしさを表現できる社会の実現に必要なコミュニケーションだという。
![](https://assets.st-note.com/img/1727587719-RkfDCXHyB7Tzs4lIwPibWVNa.png?width=1200)
阿部さんは、セルフ・アドボカシーを発揮しながら、障害を超えていく人すべてを『Motivator』と呼ぶ。その秘めた想いが語られることで周囲に想いが伝播し、対話が広がることで、社会に根付く”障害の記憶”を書き換えていく構想を掲げて、前に進み続けている。
障害のある人は、サポートが必要な人で、職場の中にいると大変な人?
障害のある人は、「障害者雇用枠」でしか働けない?
障害のある人は、仕事が出来ない人?
(阿部さんのnote内の記述より引用)
阿部さんは、そんな社会に根付く”障害の記憶”をひっくり返そうとしている。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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