【みみ #36】NHK連続テレビ小説から片耳難聴の研究へ
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中村彩乃さん
現在は京都市立芸術大学大学院美術研究科修士課程デザイン専攻(環境デザイン)に在籍する中村さんが、学部時代に在籍した長岡造形大学建築・環境デザイン学科で発表した卒業論文のタイトルだ。
一側性難聴とは、片方の耳は正常でもう片方の耳が聞こえにくい、あるいは全く聞こえないという聴覚障害のこと。本メディアの「みみ」カテゴリーでも、『片耳難聴』として度々取り上げてきた。
中村さんご自身も「右耳が、たぶん先天性の、感音性難聴」だ。
音は、耳から入って外耳道を通り鼓膜(中耳)に達し、蝸牛(内耳)から聴神経を通じて脳に伝達される。『感音性難聴』は、そのうち内耳や聴神経に不具合がある場合に生じる疾患で、外耳や中耳に不具合がある『伝音性難聴』に比べて、治療が難しいとも言われる。
小さい頃から気付かないうちに「電話を渡されれば右耳から左耳に持ち替えていた」。小学校に入ってしばらくは、右耳が聞こえないと「言うのが恥ずかしくて、聴力検査もごまかした」。
しかし、成長過程で周辺環境は変わっていく。小学3年生の時に「そろそろ限界で、学校の先生やご両親に申告した」。その後、友達と電車に乗れば横並びに座る、陸上を始めれば二列で走る、高校の打ち上げでは騒がしい中で両方から挟まれるなんて機会が増えていった。聞こえていないのに聞こえているフリをして会話が成立するように誤魔化したりすることが苦しかった。必要最低限の友人には片耳が聞こえていないことを開示するようになった。
そうした生活の中で「配慮してもらいながら、仮に理解されなくても、自分でどうにかするしかない」と思うだけだったが、中村さんが高校3年生に時に、あるドラマに出会う。
『半分、青い。』永野芽郁さんが演じる主人公が左耳の失聴を乗り越えて人生を駆け抜ける、NHKの連続テレビ小説。
そのドラマに感銘を受けた中村さんは、同じ難聴のある作家さんや漫画家さんに目が向くようになる。Xで「#片耳難聴あるある」を見れば、「それまでは共有できる仲間がいなかったが、世の中には同じ悩みをもつ人がいるんだ」と気付かされた。もちろん、個々人によって症状も価値観も異なるが、「色んな例を並べて見れるだけで、うまく言えないけれど、、嬉しかった」
当事者として「自分でも何かできるんじゃないか」と思うようになり、片耳難聴のバリアフリーに関連する建築設計を念頭に入学した美大でさらなる出会いが待っていた。
3年次のゼミの先生が定年退職したことで、偶然新たに着任したゼミの先生。中村さんがご自身の症状を背景にこれまで取り組んできたことを話すと、その先生から「自分も後天性の片耳難聴であることを開示された」のだ。
この先生だったら「意識を共有して研究に取り組める」。さらに、同じ当事者のコミュニティである片耳難聴の情報・コミュニティサイトを運営する『きこいろ』での発信などを通じて、最終的に135名もの一側性難聴の当事者に調査協力を得ることもできた。
こうした同じ当事者の大きな後押しの結果が、冒頭にご紹介した中村さんの論文として結実した。
中村さんは、ご自身の一側性難聴について「一回や二回で理解してもらおうとは思っていない。友人でさえ片耳難聴とわかってても、右か左かは記憶にないはず。聞こえないんだ、ふーん。って思ってくれるだけで満足です」と話してくれた。
ご飯を食べたり勉強したり、一緒に過ごす時間が増えていく中で、距離感や自然とそういう風になる定位置ができていけばいいと思っている。「それが自分なりの難聴との付き合い方です」
先天性の一側性難聴は1000人に0.9~1.7人の割合で発症し、後天性も合わせて日本には約30万人の一側性難聴者がいるとも言われる。
つまり、誰の周囲にも必ずいる。中村さんの話すように一回や二回では理解できないかもしれない。でも、誰もが友人として、もしくは様々なお客さんを迎える仕事として、当事者でなくても、少しでも想像できて自然と対応ができるようになれるといい。
同じ当事者に支えられて生まれた中村さんの取り組みが、当事者でない人にも届きますように。
ここまで読んでくださった皆さまに‥
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