【日本経済新聞要約・考察】第7回 円独歩安、投資家による日本見切りか?
※本要約・考察は2020年2月20日の日経新聞の記事をもとに書いております。
〈要約〉
ドル買いが進行し、ドル高が続く中、ドルインデックス (DYX)は100の大台に接近している。従来であれば、ドル買いの反対取引で売られる通貨はユーロだったものの、19日の欧米市場での取引では、ユーロが対ドルで僅かな反発、代わりに円が売られていた。国内総生産(GDP)がマイナス6.3%を記録、新型肺炎での国内感染拡大懸念などから日本経済への厳しい見方が増え、円独歩安の展開となった。
いい経済統計が続く米国と日本の違いは鮮明であるとともに、新型肺炎の懸念を受け市場はすでに利下げを織り込みつつある中、ドル高トレンドが続いている。
ドル高円安は日本企業にとっては朗報ではあるものの、投資家による日本見切りも可能性としては残る。なお、円独歩安の展開と同時にNY金は1トロイオンス1600ドルの大台を到達後も買われ続けた。安全性のために買われていた円に流入していたマネーが一部金に流入したと考えられ、円建て金価格は高値を更新している。
〈考察〉
今回の円安の変質に関する記事では「三角待ち合い」と「世界の金融資産同時上昇」について着目することにした。
1. 「三角待ち合い」
以前の食事会の時に古川さんが「ドル円がどちらにも動かない」と話されていた後日チャートを見たところ、110円近辺に過去5年のトレンドを見ると収束しているように見えた。そこで調べたところ、その現象が「三角待ち合い」と呼ばれることだと聞いた。高値と高値を結んだトレンドラインと安値と安値を結んだトレンドラインが収縮し、円高・円安どちらかの方向に大きく振れる合図になるとのことだ。
(https://bit.ly/3bX6SIS 株式会社フジトミより)
今回の円安ドル高はチャートブレイクの予兆なのかもしれない。15年6月の高値から始まった三角待ち合いのチャート、記載があるよう2019年末から%DがSlow %Dを僅かに上抜けしていることから円安基調を示している。実際に2016年の前半、2018年の前半で%DがSlow %Dを僅かに上抜けしており、直後の2016年,2018年の後半は円安ドル高となっている。
今回も動きのはやいHFが日本円の見切り売りを機に円安ドル高方向にチャートブレイクする見方は大きいかもしれない。記事には、「市場内にはドル買いマグマが蓄積しているようだ」と記載されていたが、溜め込んだエネルギーが爆発してしまったのかもしれない。
2. 「世界の金融資産同時上昇」」
ドル高、NY金急騰、米国債10年(1.54%で跳ね返されているが)利回りは再度低下(価格は高い)、ダウ平均株価も本日4営業日ぶりの反発と通常は反対に動く資産を含めて同時に伸びている異常な現象が起きている。
知識不足な点も多い中、全ての金融資産が同時に上昇するのは不可解だ。そんな中一つだけ説明つくのは米国の利下げ観測だ。新型肺炎の感染拡大による景気後退の懸念は米連邦公開市場委員会(FOMC)議事録でも記された。円安批判による利下げ圧力も同記事は危惧している。
一方で、FOMCでは現状の景気に対して強気の姿勢を示し、利下げ当面ないと発表していたことから、同時上昇が続くのも限定的かもしれない。