ピンチをアドリブで乗り越える技 14/100(I Love/Hate You)

自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。


ギリシャ演劇の時代より、演劇は聞くもの

いつものルールに則って考えると、毎回のテーマは、前回の一文から引っ張ってくるので、ギリシャ演劇の話や、観客=聞くという話をしなくてはいけません。でも、実は、Twitterで調子に乗って別の予告をしてしまったので、今回はテーマを変えてます。

『愛と憎しみ』
ほらギリシャ演劇云々よりもよっぽど魅力的なタイトルですよね、、、こじつけすれば、ギリシャ演劇も愛と憎しみの物語、ですね。
『オイディプス』の母に対する(行き過ぎた)愛と父に対する憎しみ、とか。

そうそう、ギリシャ演劇というと、ギリシャ悲劇が有名ですが、同時にギリシャ喜劇というものもあったのをご存知ですか?しかも、その成り立ちは日本の能狂言の上演方式と非常に似ています。ゆえに、これはシルクロードををわたって日本に伝わったものである説があるほどです!

でも、なぜギリシャ喜劇って聞かないのか、それは語り継ごうとする人々や、研究する学者が少なかったからでしょう。なぜか、ギリシャ喜劇って下ネタが多かった、らしいです。

悲劇と喜劇の話は、まだまだ広げられそうですねぇ。
ピンチに陥った時に役立つ、下ネタ?
間の話とかも。

さて、ギリシャ演劇はまた今度掘り下げるとして、今日は『愛と憎しみ』です。

先週は『三つの輪』を用いることによって、ピンチに陥った時の目線が定まり、表現を敢えて大雑把に3つに分類することによって、解決への糸口が見えてくるという話をしました。

前回は『エ↑ボン↓』と、これもまた大雑把に、心地よい会話のリズムを2つの状態に分類して掴むというツールをご紹介しました。

こうやって見ると、イギリス式の演技ツールには比較的シンプルなものが結構多いですね。

なんでだろう?
きっとこれらのツールを必要とする時って、何かがうまくいっていなくて、切羽詰まっている時=ピンチに陥っている時なので、思考停止に近い状態でも使えるツールを、という観点からシンプルなものが多いのかもしれません。

イギリス式のツールには、じっくりと役作りするためのツールと、本番でパッと使える隠し道具的なツール、もしかしたらその2つに大きく分けられるかもしれない。
これは新発見。

今日ご紹介するのは、愛と憎しみのツールです。
私はこのツールを『I love you / I hate you』と名付けてます。
このツールも非常にシンプルです。

シーンをやっているときに、何かうまくいってなければ、心の中で『アイ・ラブ・ユー』もしくは『アイ・ヘイト・ユー』と思い続けながらセリフを言う。ただこれだけ。

セリフの内容にかかわらず、『大好き』もしくは『大嫌い』とただひたすら思い続けると自然と表現が変わってきます。

このツールを使う上では、決して、好き嫌いの感情が必要なわけではありません。
本番中に咄嗟に使えるツールとするために簡略化された結果、陰と陽のような、ポジティブな感じかネガティブな感じか、その区別として、『大好き・大嫌い』という表現になっているだけだと思ってください。

これは一種の型であって、感情は関係ありません。呪文のように思い続けるだけで、ほぼ本能的に目つきや、仕草、声のトーンや身体表現まで、違ってきます。

さぁ、ピンチに陥っている時、果たして、どちらを使うと効果的なのか?
それは正直分かりかねます。普通だったら『大好き』の方が物事うまく進みそうですが、もしかしたら『大嫌い』と言っていた方が良い場合もあるのかもしれません。



私の操作ミスで、公開済み原稿に下書き原稿を上書き保存してしまったので、38.3.23 14:00に新たに加筆・編集して再公開しています。

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