ピンチをアドリブで乗り越える技 23/100(リトル・ミラクル)
自問自答を繰り返しながら、
アドリブと演技の関係を
追求していってみようと思い立ちました。
100回(?!)連載にて、お送りします。
空間が読めてくる
19/100で、傾聴する解像度を高めるためのエキササイズをご紹介しました。
これ、どうですか?試してみましたか?
今日は、このエキササイズの目的からお話しします。
そういえば、イギリスの演劇学校では、エキササイズや授業の目的は教えてくれません。
聞くと、毎回はぐらかされます!
慣れるまで結構歯がゆいのですが、これは頭でっかちになることを避けるためだと思われます。「これを学ぶ」と事前に知ってしまうと、深いところに刺さっていなくても「分かった気になってしまう」危険性があります。
同様の理由から、メソッドやエキササイズの名前、ラバンとかマイズナー、スタニスラフスキーまで、特に固有名詞を教わることなく、内容だけ習う、という話は以前したような気がします。
また話がそれましたが、「新鮮な目で見て歩く」エキササイズの答え合わせでしたね。
どうですか?何か発見はありましたか?
知ってるはずの道のりにも、新鮮な気持ちで注意深く観察することによって、新しいものが見えてきませんでしたか?
このエキササイズの目的は、詰まるところ、それだけ、です。
見慣れた風景も、新鮮な目でみることによって発見があります。注意深く、オープンな目で見れば、この世界はあらゆる表情を見せてくれます。
これは、台本を読み込むときも同じです。17/100でお話しした深化です。同じ台本でも、何度も違った角度から新鮮な気持ちで読み込むことで、最初は気が付かなかったことが見えてきます。
これって、音楽も同じじゃないですか。お気に入りの曲を何度も繰り返し聴いていると、聞こえてなかった音が聞こえてくる。あの感覚と同じです。
日常的に、物事を新鮮な目で見てみる癖をつけておくと、みる解像度が上がって鍛えられます。
これこそ、ピンチに陥った時に一番大事なツールかもしれません。
自分ごとから離れて周りに傾聴をすると言ってきましたが、その実はこの解像度にあります。
状況がクリアに見えていなくては、解決策も出てきません。独りよがりで出てきた解決策は単なるマスタベーションかもしれません。(7/100参照)
ほら、だんだんと話がつながってきましたね。
点と点が線となって、面となっていきます。
でも、まだ100回連載の4分の1にも到達してないんですよね…大丈夫か?
今日はもう一つ、8/100でご紹介した『ヘリコプター理論』と同じライフ・スキルの授業で学んだ、私が日常的に使うものをお教えします。
特に急いでいるわけでもなく、いつものように駅の改札を通り、ホームに着く。すると、ちょうど列車が入ってきました。乗りたかったやつです。
すごい!
奇跡です!
これを、『リトル・ミラクル(小さな奇跡)』といいます。
ただタイミングが良くて、列車が来ただけ、そうかもしれません。でもこれって奇跡だ、と思う方がお得だということです。
「たかがそれ如きで…」はい、それだけのことです。
でも、その状況を普通のこととして流してしまうのではなく、傾聴し、受け止め、ラッキー!と思う。これが大切だと習いました。
日々、『リトル・ミラクル』を発見できるようにしていると、傾聴する癖がつくし、豊かな気持ちになります。
冒頭の、新鮮な目で歩くだけのエキササイズにもつながる感覚ですよね。
イギリスの演劇学校では、なぜこの手のことをあらゆる角度から教えるのでしょうか?
ひとつには、表現者として傾聴し、深化しすることの大事さを学ぶ、というのがあると思います。
もうひとつは、役者として生きる日々って困難に陥りやすいからかもしれません。スランプになったり、絶句したり、そんなピンチな状況はいくらでも起こります。そんな時に、マイナス思考に陥らずに、目を開けて、プラスに捉える癖をつけるためだったのかもしれません。
まあ、正直それでもマイナス思考になることはありますよ!でも、演劇学校で教わったことに助けられてると思うときも多いです。
そういえば、『キャンセル・アンド・コンティニュー』っていうのもありました!
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