父親の教育方針を無視し、大学を1年間休学。ー笹本 康貴ー
逆境を乗り越える人を増やすをコンセプトにしたインタビューメディア、The Clear。
第5回目のゲストは、マーケティングのフリーランスとして活躍されている笹本康貴さんにインタビューさせていただきました。
笹本 康貴(ささもと こうき)
Twitter|note
1992年生まれ。フリーランスのマーケッター。法政大学在学中にカナダに4ヶ月間の留学を経験し、1年間の休学を決意。ビズリーチやグノシー、Wantedlyでインターンを経験した後、マイクロアドに新卒で入社。営業職を3年間経験し、マーケティングのフリーランスとして独立。フリーランス1年目で年収1000万円を達成。
ーーどんな逆境がありましたか?
大学を休学するために、父親の教育方針を無視し、絶縁しました。
ーー休学したいと思ったきっかけを教えてください。
大学2年生のときに、4ヶ月間のカナダに留学したことがきっかけです。留学に行きたかったのはもちろんですが、学部のルールだから行ったというのが、理由としては大きいかったかもしれないですね。高校が法政大学の附属高校だったので、自分自身で学部を選び、大学にそのまま上がることができたんですね。子供の頃から両親に海外旅行へ連れて行ってもらっていたので、18歳のころから、ゆくゆくは海外で働きたいという想いがなんとなくありました。その背景があり、学部生全員が留学する国際文化学部という学部を選びました。たくさんの留学先があるなかで、先輩からカナダは厳しい環境だと聞いていたので、どうせ留学するなら厳しい環境に身を置こうと、カナダを選びました。
ーーカナダに留学して、どんな発見があったんですか?
大学生活も一度きりだし、4年間で卒業しなくてもいいんだと気づかせてもらいました。父親の教育方針であるように、大学は4年間で卒業し、大手に行きなさいっていうのが当たり前だと思っていました。しかし、カナダに留学する前は、いても留学するのは21歳〜22歳の人が多いと思っていたら、28歳や29歳のアジア人がいて。学生だけじゃなくて社会人もいて。会社をやめて留学した人もいれば、語学力を身につけるために来ている人もいました。それが驚愕だったというか、ぼくのキャパシティーを超えた発見が多くて、1つの新しい価値観が生まれました。
ーー留学で気づきを得た後、どうなっていったんでしょうか?
「大学は4年間で卒業しなくてもいいんだ」という気づきが、ぼくにとっては大きくて、大学を1年間休学し、やりたいことをやろうと決断できました。ただ、これがやりたいっていうのが特にありませんでした。4ヶ月間のカナダ留学から帰国し、大学3年生の1年間がスタートするんですけど、1年間は大学で勉強をやろうと。ただ、大学4年生の1年間を休学し、その期間中に何をしようか考えようと決めました。
ーー休学する人はとてもマイノリティーで、勇気が必要な決断ではありませんでしたか?
そうですね。もちろん怖さというか、まわりと違う道を歩むタイミングだったと思います。ただ、就活で勝てる自分ではないことが明確だったでした。だからまわりと一緒にこのまま歩んでいっても、差がつかないなと思ったから、休学を決めることができたと思います。
ーー就活で勝てない自分というのは?
留学したからといって、英語をペラペラと話せるわけではありませんでした。他の学生と並べられたときに、頭ひとつ飛び出るコミュニケーション能力やスキルも特になかったタイプでした。だから勝てないなと思ってしまいましたね。
ーー親御様と休学について話す機会はありましたか?
そうですね。休学直前ぐらいに母親に相談というか、休学することを言ったら、反対はもちろんされました。でも、「あんたのやりたいことなら、別にやったらいいんじゃない?」と言われました。その後に、父親に「色々と考えた結果、休学する」と話したら、それは絶対に無理みたいな。もうなんかダメの一点張りだったので、そこからですね。なんかあったら、自分自身の人生は自分でやるわって。
父親と今までに交友関係がたくさんあったかといわれると、そうではなかったです。親子関係があまり良くなかったと言ったほうが、多分わかりやすいかもしれないです。キャリアに対して、すごく相談してきたかと言われると、そうではなかったです。父親に言われたことをただやりますみたいな子供だったので、はむかってきた経験もそこまでなかったですね。だから父親にとっても、多分驚いていたと思いますね。
ーーもう少しお父様の教育方針を具体的に教えてください。
そのまま大手に就職してほしいという想いが強かったと思います。父親は転職をせず、ずっと大手の会社で、しっかりキャリアを積んできた人でした。だから、それが父親にとっての当たり前というか、成功だったと思います。それをそのままぼくに対して、押し付けてきたというか、そうした方がいいよと言ってきたんだと思います。
ーー絶縁することに葛藤などはありましたか?
決断できたかと言われると、できなかったかもしれないです。ぼくにとっては、子供のキャリアを応援できない父親はあまり賛成できませんでした。自分のキャリアを優先したいし、一生親の言いなりに生きるわけではないので、応援できないなら仕方ないぐらいの感じですね。
ーー笹本さんとお父様を見て、お母様はどのような反応だったのでしょうか?
仲良くしなさいぐらいのトーンではありました。そこに執着しても仕方ないよねみたいな。あんたのやりたいことがあるなら、それをやりなさいみたいな方が母親は大きかったですね。
ーー休学期間はどのように過ごされていましたか?
母親が住宅コンシェルジュをやっていた影響で、高校3年生から大学2年生のころはホテルマンになりたいという想いが強かったです。そこでマンダリンという一流のホテルに働いている母の知り合いに繋いでいただく機会がありました。その方から「ホテルマンはすごい厳しいから、やるんだったら本当に覚悟を持ってやったほうがいいよ。ホテルマンは重労働で低賃金なので好きじゃないとできない。」という言葉をいただきました。
ぼくはそれを聞いて、そこまでコミットできないなと思いました。ただ、日本のサービスを生かしたい、やりたいという想いと留学経験あったので、海外で何かやりたいなという思いがありました。それに通じることがしたいと思って、大学を休学し、CAになるための準備をしようと思っていました。
その後、CAを育成するインターンシップみたいなものがあることを聞きつけて、色々と調査をして話を聞きに行ったら、10ヶ月間の海外インターンシップがあると。そこの卒業生の7割ぐらいはCAになれるようで、めっちゃいいやんと思って。それで詳しい話を聞いたら、費用が350万円かかると言われて、無理だと。そんなお金はないし、コストをかけてまで10ヶ月間いけるかと言われると無理だ、どうしようどうしようと思っていました。
そのタイミングで、ゼミで英語の履歴書をLinkedInで作っていて、たまたまSNS上に貼っていたんですね。そしたらビズリーチの当時の部長さんから連絡をいただきました。現在のビズリーチはCMを打たれたり、会社規模がめちゃくちゃデカくなって有名ですけど、当時は誰もビズリーチを知らないんですよね。そんななか、色々やりとりをして、会社に足を運びました。
その人から会社の概要だったり、一番響いたのが「ぼくらまだまだ無名だけど、楽天やソフトバンクと言われるような企業を抜いていくから」と熱い思いを聞かされました。まだCAになりたい想いがあったんですけど、なんか面白そうという、そのなんかに心が動かされました。ビズリーチから「週に2〜3日でアルバイトしてみない?」と言われたときに、休学すると決めていたので、「週5日、フルコミットで働かせてください」と言ったのが、インターンを始めた最初のステップですね。
ーーインターンを経験し、どんな変化がありましたか?
キャリアアップやマーケティングのスキルを身につけたいという目標ができました。ビズリーチでマーケティングに初めて触れて、面白いなと思ったからです。その目標のために、できる限りビズリーチで仕事しました。その後、大学に戻って、ゆっくりと過ごしことはせず、インターンを全然取っていなかったグノシーに、頭を下げてお願いして入れてもらったり、なんとしてでもWantedlyで仕事したいと思ったので、あの手この手の手段を使って、入れてもらいました。インターンでマーケティングに出会えたから、今のキャリアの礎になってますし、マーケティングスキルの幅が広がったので、めちゃくちゃ感謝しています。
ーー同じ境遇にいる人にメッセージをお願いします
ぼくの正解になってしまいますけど、結局は自分の人生なので、誰かに反対されたからといって、やめるのではなく、決めたことは突き進んだ方がいいんじゃないかなと思います。反対されることは誰にでもあります。育ってきた背景が違うし、やってきたことも違うからです。いいねと言ってくれる人もいれば、なにそれっていう人もたくさんいると思うんですけど、自分の方向性があって、その選択がベストだと、やってみたいと思うんだったら、やらないで後悔するよりも、やって失敗しちゃったわって、笑い話にするぐらいな感じにした方がいいと思いますね。
ーー最後に、今後のビジョンを教えてください
ビジョンとしては、まず自分自身が実績を作ることが大事だと思っています。目標で言うと、30歳で年収3000万円を稼いで、35歳で5000万円を稼ぐことを決めて仕事をしています。その背景として、25歳のときにしっかりと今後のキャリアを考えた方がいいよと色々な大人の方から言っていただいたからです。会社だけではなく、自分の人生を捉えて、学び進もうと思ったのがちょうど25歳のタイミングだったからです。努力で人は変われるし、人は成果を作れるんだよというのを35歳になるまでの10年間で証明したいです。
それを達成できれば、10年間のストーリーを中学生や高校生、大学生に向けて発信したいと思っています。色々な情報が飛び交っている中で、何が正解かどうかわからない。だから自分が決めたものを正解にしていくしかないと思っています。自信がない、なんかやってみたいけど、なにをやったらいいかわからないと思っている学生に対して、ぼくの10年間の経験談をシェアして刺激を受けてもらえたら嬉しいです。
それでも、なんかやってみたいけど、何をしたらいいかわからないのであれば、「じゃあうちの会社で仕事してみたら?」というような活躍できるフィールドを提供したいというのを2027年までの目標というかビジョンとして設定しています。
ーーなぜ学生に対して、それをやろうと思ったのでしょうか?
学生時代に全然勉強してこなかったところが一番大きいですね。社会人になってもそうですけど、自信がなかったというのも大きかったからです。自信がないって成功体験が少ないだけだと思っています。何かやってみて、うまくいった経験がたくさんあればあるほど、自分自身を信じられるようになるし、それがすなわち自信になることだと思っています。ぼくはチャレンジできるような環境がなかったって言ったらちょっと言い訳ですけど、そういう機会を自ら掴めにいけてなかったので、そういう場を提供したいと思いました。
ーー笹本さんは行動力があって、他の人より成功体験が多い印象があります。それでも自信を持てなかった時期があったんですね。
そうですね。自分すごいわって思わないようにしていたというか。自分よりもすごい人がいる環境が好きなので、自分が一番できない環境に身を置いていましたね。だからこそそこでも成長できるなって思って、そこに飛び込んだっていうのもあります。小さな小さな積み重ねが自然と自分を信じられる状態にして行ったのかなと思います。
笹本 康貴(ささもと こうき)Twitter|note
1992年生まれ。フリーランスのマーケッター。法政大学在学中にカナダに4ヶ月間の留学を経験し、1年間の休学を決意。ビズリーチやグノシー、Wantedlyでインターンを経験した後、マイクロアドに新卒で入社。営業職を3年間経験し、マーケティングのフリーランスとして独立。フリーランス1年目で年収1000万円を達成。
取材・執筆:だい