生きること、活きること
姪っ子が遊びにくると毎度いつかの金曜ロードショーを録画した「魔女の宅急便」を観ている。というか観せている。
何回観ても飽きないからやっぱり駿さんはすごいなと思う。
物語の中でキキが「生きるって物入りね」とこぼす。
確かに。
暮らすために必要なものって思ったより多い。ちょっとした便利アイテムとか使い出すともっと増える。
あると便利はなくても暮らせる。これは羽仁もと子の言葉だったかどうだったか。
それに持ち物にはその人が顕れる。
中等科の時は先輩の持っているものがヤケに格好良くってめちゃくちゃ憧れた。
自転車や服に鞄、iPodでもなんでも。
寮生活だったから尚更その人の身の回りにあるものが丸見えだった。
世間じゃミニマリストなんてのも流行っている。
なんだか自分には彼らはファストライフを送っている様に見えてしまう。ファストフード、ファストファッション、ファストライフ、、大量生産大量消費の価値観世界観。使い捨ての人生。そんなに生き急ぐことないんじゃないか。必要かどうかを見極めるのが時期尚早だと思う。
YouTubeでみた自称ミニマリストが服と洗濯についてのこだわりを話していた。
彼は会社に来ていく服は黒いポロシャツと決まっていて1枚しか持っていない。
帰ってきたら脱いで洗濯機に入れて乾燥までしてくれるボタンを押す。
起きたら取り出して袖を通して家を出る。終わり。これの繰り返し。
曰く、洗濯して干して取り込んで畳んでアイロンをかけるのが時間の無駄だというのだ。その時間を自己研鑽に充てることで成長できると。
理にかなっているんだけどなんだか愛がないなと思った。
その理屈でいけばセックスする時も必要最低限の動作で子どもをつくるという本来の目的を達成できればいいじゃないか。ズボンを下ろせば済むではないか。
流石に極論だよね、分かってる。
まあ優先順位の話だと思う。
家事に時間と体力を消費されてしまわないでやりたいことをやろうって言いたいんだと思う。そりゃ、やりたくないことやっている時間はねえ。
無駄がないってのは素晴らしいことだし、効率的に生きていきたいとは思う。
でも物を大切にしたいし、生活に余白を持っていたい。
物質的な豊かさや忙しさで充足感を得たい訳ではなくて自分が本当に良いと思うもので生活を囲みたいしその手入れにだって時間をかけたい。
死なないために必要なものと生きるために必要なものはイコールじゃない気がする。
食べれて寝れれば死なないけど生きるためには物が必要だ。人生には色が必要なんだ。
昔は誰かが持っていていいなと思うものが欲しいものだった。
その感覚は今もあるけど少しずつ自分の目でこれがいいなって思えることが増えてきた。
きっとあの先輩たちも自分自身の目で持ち物を見極めてたから格好良いんだと思う。
ぼくの生活にはまだ物が足りない。いいなと思えるものを探しに行きたいし、手に入れたい。まだまだもっと囲まれたい。
生きるって物入りね。
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