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今こそ「紺ブレ」復権を声高に叫ぶ件

先週に引き続き、「オヤジファッションの部屋」からです。

ショッキングな記事がありました。
「紺ブレ」という言葉が、若い世代に通じないそうです。
アパレルショップの店員であっても、
「え? コンブレ、ですか?」
という事があるそうです。
「紺色のジャケットで、金色のメタルボタンがついていて…」
と説明すれば、
「あぁ、ネイビーのブレザーですね」
と分かってもらえると…
なら最初からそう言えばヨカッタ…

私個人的には、大学への通学も、予備校でのバイトも、就職して会社に通勤する時も、週の半数は紺ブレにチャコール系スラックスやチノパンを合わせていました。

1986年、筆者21歳。この格好で大学に通う。シャツインがちょっとイタイ。「MENS CLUB 1986/2月号」より

若い頃だけでなく40代でも50代の今でも、週に一度か二度は「金ボタンの紺ブレにグレンチェックのスラックス」というジャケパンコーデで通勤しています。
ただ一般的には、「そういえばここ何十年と、スーツは着ても紺ブレは着ていないかなぁ」という方が多いかもしれません。

紺ブレが日本で大流行したのは、1960年代の「アイビーブーム」と、1990年代の「キレカジブーム」と、2020年代の「ブーム再来」という3つの波があるかと思います。
‘90年代の「キレカジ」は「綺麗めのカジュアル」の略ですが、その根底は1970年代後半に横浜元町で流行した「ニュートラ(New Traditional)」、そこから進化した「ハマトラ(Yokohama Traditional)」にその端を発していて、1980年代後半=バブル期の「DC(Designer's & Character's)ブランド」の流行に疲れて、大人らしい端正な着こなしを求めた結果といえます。
「ニュートラ」の源流は「アメトラ(American Traditional)」と呼ばれるアメリカ都市部のファッション。そしてその象徴が、金ボタンのネイビーブレザー=紺ブレでした。
(私の場合はアメトラからではなく、Campus Ivyアイビー からの流れで紺ブレを愛用していましたが…)

と、これだけの熱量を込めて語れるほどに、私のような昭和世代=バブル経験者にとっては思い入れのあるアイテムであり、「あぁ、昔はよく着ていたなぁ」と懐かしがる人も多いわけですね。

右下のマリンボーダー+白パンの写真、まるで上の筆者21歳・半パン姿がそのまま大人になった感じ…(笑)

ところが…
今の若い世代、具体的には平成生まれには、それほどの熱量も愛着もないらしい。
その理由を考えてみたのですが、どうやら「学校の制服」が「詰襟・セーラー服」から「ブレザースタイル」に変わっていったことが大きな原因ではないか?と見ています。
高校の制服としてブレザーが全国的に広まっていったのは1980年代後半と言われています。つまり、平成(1988年~)はブレザー普及の時代ですね。

中高6年間男子校で詰襟姿の筆者としては羨ましい絵図

そうなると、詰襟やセーラー服からスーツに着替えた世代と、ブレザーからスーツに着替えた世代とでは、自ずとそのジャケットに対する捉え方が違う。
昭和世代なら金ボタンに鮮やかなネイビーのジャケットが「大人の制服」のように見えたのが、平成世代の場合は学校の制服の延長上であって、もう飽き飽きしているわけです。そりゃ、ときめきませんね…

昨今は女子もスカートとスラックスを選べるように…

余談ですが…
制服のブレザーは3つボタンであれ2つボタンであれ、全てを行儀よく留めることを前提としたシルエットになっています。ところが社会人男性向けのスーツやブレザーは「アンボタン・マナー」といって一番下のボタンは留めないように身頃がカーブ状に裁断されています。
ここ最近、「アンボタン・マナー」を知らずにスーツの全てのボタンをきっちり留めているサラリーマンが多いのは、高校時代にブレザータイプの制服を着ていた弊害かと感じています…
(※女性用スーツは全て留めるようになっています)

ところで、先ほど「大人の制服」と書きました。
「ブレザー」の起源は遡ること18世紀。
イギリスはケンブリッジ大学がオックスフォード大学とのボートレース大会用に作ったジャケットと、イギリス海軍がポーランド騎兵隊衣装を仕立て直した将校制服、この2つが今のブレザーの原型と言われています。
語源としては、前者に従えば、ケンブリッジ大学のクルーの上着の色が炎のように輝く真紅(緋色)=blazeブレイズだったという説と、後者に従うならば、英国海軍の帆船の名前が BLAZER号だったという2つの説が伝わっています。

因みに、大学由来のジャケットはシングルブレスト、海軍由来のジャケットはダブルブレスト。海上ではピーコートと同様に、強風に対して左右どちらでも閉じられるようにダブルにしたのでしょうね。

またブレザーは、今も由緒正しいゴルフ大会やテニス大会で優勝者に贈呈されるなど、スポーツ・ジャケットとしても重宝されています。

サントリーレディースオープンゴルフ表彰式

そもそもは学生たちのカジュアルなジャケット。それなのに、スーツやタキシードと同様にドレスウェアとしても認められる。
加えて、生地や素材を変えれば通年で着用できる(春秋はサキソニー、夏はトロピカルウール、冬はフラノ)。
こんなに使い勝手のよい万能のジャケットは、そうそうないと思います。
いかがですか?
ちょっと奮発して、Brooks Brothersか J.PRESS の紺ブレを1着、買っておきませんか?

おまけで、若手向けの紺ブレコーデを。うちの息子も、こういう着こなしをしてくれたら嬉しいんだけどなぁ…

左下の「素足ローファー」、私は全面的に応援しています!

※今回も、年初に誓った文字削減目標(1,800字)を下回る1,730文字に収まりました。

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