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酒類会社の元セールスが、オーセンティックバーをお薦めする件
昨年末まで、『金曜日にはグルメとお酒のお話しを…』などと洒落た書き出しで頑張ってオリましたが、今年初から週次更新になって、たまに『グルメネタ!』と言いながら『ラーメン特集』で誤魔化してきました。
少しはソムリエというか、酒類にも詳しいところを書き記しておきます。
少し、いやかなり古い想い出話しになりますが、1992年頃から数年間、新潟市に住んでオリました。
人生で初めて実家・親元を離れた瞬間で、しかも京都市民が新潟市という想定だにしなかった土地への赴任でした。
そこでは酒類の営業職でしたが、着任して3年間は新潟市内、主に古町界隈の飲食店を担当していて、無数の飲み屋さんに飛び込み営業や定期訪問を繰り返す毎日でした。
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飲み屋さんといっても、夕方から仕込みに入られている居酒屋や小料理・割烹から、夕方にならないと開店しないスナック、パブ。中でもラウンジやクラブと呼ばれる高級業態の場合は、夕方にチーフという男性が入られたり19時頃に若いホステスさんが出勤されますが、こと商談相手として責任者であるママ、或いはオーナーとお会いするには20時過ぎないしはもっと遅くまで待たねばなりません。
いざ20時にママが出勤されたとして、まずは馴染みのお客様の接客に一巡されるまでは商売のお話しもできませんので、当時27歳から30歳前後の私はカウンターの一番隅っこで、会社経費でボトルキープしてあるブランデーを薄い水割りでチビチビ飲みながら、ひたすらママの手が空くまで待機することとなります。
因みに当時は、キャバクラという気軽な業態もなく(昭和の匂いがするキャバレーが絶滅寸前)、またハイボールなどという洒落た飲み方も一般的ではありませんでしたので(後述するオーセンティックバーではちゃんとした飲み方として存在していました)、常連客が歌うカラオケの演歌を聴きながら、メーカーの若造セールスが黙々とブランデーやスコッチをしゃびしゃびの水割りで飲んでいました。
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この業界に居て当時、不思議に感じていたことが、同じ飲み屋さんに出入りする業者の中でも、おしぼり屋さんやおつまみ屋さん、また玄関マットやカラオケの業者さんは飲み食いせずに納品や商談ができているのに、酒類メーカーのセールスだけは『お話しは座って飲んでからね!』という雰囲気で、商談やご案内だけの訪問があり得なかったことです。
なにしろ、現場で先方責任者とお会いできるのが、先方の営業時間の真っ只中ですし…
余談ではありますが、私が若い頃に疑問を感じたそうした慣習はその後10年・20年を経て大きく変化し、今のセールスはふだんは飲食なしに通常の営業活動をし、ここぞというタイミングで表敬訪問に繰り出して飲食をしているようです。
やはり20世紀はなにかとブラックな働き方も当たり前のように指示・継承されていたのでしょうね。
ただ、酒を酌み交わすだけに人と人との繋がりは商売を超えて濃密でした。
さて話しを元に戻しますと、夕方から居酒屋さんで商談しながら生ビールと刺身をいただいて、パブでジントニックを飲みながら翌月のボトルフェアのお話しをして、スナックでバーボンを飲みながら再来月の5周年イベントの協賛の相談をして、クラブで高級ウイスキーを飲みながら秋のゴルフコンペの賞品の相談なんかをしているうちに、時計は23時を回ります。
となると、最終電車を目指して駅に走る気もなく、最後にもう1軒、気の置けないお店で1杯引っ掛けてクールダウンしてからタクシーで帰ろうか…
そういうことが、普通に認められた時代でもあり環境でもありました。
(因みに翌朝は8時前から卸店の朝礼に顔を出して、新商品の案内をしたりします…)
その最後の1軒にどういう店に行くかというと、ラーメン屋ではなく(新潟では締めはへぎ蕎麦ですが…)、ショットバー(オーセンティックバー)の一択となります。
23時まで商談していた業態では、とかくキープボトルのお取り扱いを得る為に単品ブランドや自社取扱い商品群のまとめ仕入れをご案内するわけですが、オーセンティックバーに於いてはそうした商談は無用です。
たまに、『今月のお薦め』として単品ブランドでのキャンペーンをやってもらうことはあっても、それはお付合いの一環に過ぎず、オーセンティックバーに飲みに行く目的は、無数のブランドの無数の種類のお酒を考えもしなかった飲み方で楽しませてもらうことにあるのです。
『マスター、その一番上の棚の、左から2番目の緑のボトルは何ですの?』
『あ、これはイタリアの●●で、□□□という▼▼のお酒』
『どうやって飲んだら美味しいですか?』
『ま、ロックでもいいけどソーダ割りが無難かな。クセ強いんで、ジンジャー割りもいいけどね』
『じゃ、ソーダで試してみていいっすか?』
こんなやり取りを経て、初めてのお酒を覚えるわけですね。
しかも、スナックやクラブでオーダーする時はボトル単位なので、口に合おうが合うまいが5千円とか8千円とか(それ以上とか)取られるんだけど、オーセンティックバーは1杯800円~1,000円も見ておけば大怪我はしない。たとえ好みに合わなくて二度と飲みたくないような経験をしても、800円の授業料だと思えば、『また一つ、大人になったなぁ』と…
大人になった、といえば、当時、自分の父親ほどのマスターとの会話がとても楽しくて、説教じみずにさりげなく人生訓を教わったりしたものです。
だから、30歳代半ばで営業現場を離れて会社の経費でボトルキープに回ることがなくなってからも、そしてあちこちに転勤して知らない土地に行くことになっても、オーセンティックバーだけは自分のお気に入りの1軒を探すようにしています。
それは、歯医者と美容院とラーメン屋を探すのと同様に、転勤・転居時の大きなミッションの1つなのです。
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というわけで、元プロ目線で見た、オーセンティックバーの魅力の一面でした。
次回、覚えていれば、新潟市で最もお世話になったオーセンティックバーのマスターをご紹介したいと思います。
※タイトルから文中挿入まで、写真は全て拾いもののイメージ画像です。問題ありましたら謹んで削除させていただきます。
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