令和の今も『フェンダーミラー』専用車が作られていて驚いた件
木曜日は、オヤジのクルマ談義で。
乗用車のサイドミラーが『ドアミラー』と呼ばれる形状になって久しいですが、そういえば昭和の時代、ドアミラーの前って『フェンダーミラー』だったなぁと思い出してしまい、フェンダーミラーからドアミラーに変わっていった辺りのお話しをしようかと思います。
お若い方にフェンダーミラーって言っても伝わらないかもしれませんが、今も走っているセダン型のタクシー車両を見てもらえば理解いただけるかなと。
フェンダーミラーを文字で表現すれば、以下のような定義に。
フェンダーって元々は機関車に於ける石除けスカートですので、クルマではフロントバンパーというかチンスポイラーみたいなものを想像していましたが、要するにボディ前部のサイドパネルということですね。その先端に備え付けられた、脚付きのミラーです。
平成以降は殆どの乗用車でドアミラーが主流となるなか、先述の通りタクシー車両はけっこう最近まで、フェンダーミラー仕様がメインに供給されてきました。具体的な車種でいうと、NISSAN CREW (〜2014年)と TOYOTA COMFORT (〜2017年)になります。タクシー車両でフェンダーミラーが残された理由としては下記のようなメリットがよく言われています。
もちろん上記のメリットはタクシードライバーに限った話ではなく、一般のマイカーに於いてもフェンダーミラーの愛好家(ドアミラーが苦手な層)が存在し、一部のファミリーカーではメーカーオプション扱い(受注生産)でフェンダーミラー仕様車が供給されてはいました。
一方で次のようなデメリットも存在していました。
乗用車の歴史を遡っていくと、幌馬車にエンジンを載せたようなクラシックカーでは長い鼻先やタイヤハイスの上に『フェンダーミラー』が確認できます。
1930〜1950年代には、イギリス車を中心にフェンダーミラー車が流行していました。ところが1960年代に入ると欧米各社とも何故か急速にドアミラーにシフトし、フェンダーミラーは一気に終息していきます。
日本では永年、ドアミラー車の製造・販売を認めていませんでしたが、輸入車業界からの非関税障壁との非難が大きくなり、1977年頃に輸入車のみドアミラーが認可。その後、何があったか存じませんが、1984年の日産ローレルを皮切りに、国産車でもドアミラー車が急増していきます。
現代の日本車ではフェンダーミラー仕様を選べる車種は極めて少なく、逆にフェンダーミラー専用車(ドアミラー設定なし)は2017年にTOYOTAがタクシー用に開発した JPN TAXI (ジャパンタクシー)が唯一の車種となります。レトロ趣味としてフェンダーミラー仕様のクルマを探されるのであれば、早い目に昭和の旧車を当たっておく方がいいかもしれません。