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2025大阪万博ポスターから「たこ焼き」愛を語る件
「2025大阪・関西万博」の開幕(2025/4/13)まで、あと140日となりました!(2024/11/24現在)
ついこの前の9月まで伝統芸能の事務局で四苦八苦していましたので、大阪で働きながらも万博のことをそれほど意識していなかったのが正直なところですが、この10月から少なからず万博に関わる仕事に変わりましたもので、嫌が応にも(苦笑)、関心が高まってきました。
スーツの襟章に「ミャクミャク(EXPO2025公式キャラクター)」のピンバッジを着けてみたり、街を歩いていてもミャクミャクのポスターに目が行きますし、京阪電車等のラッピング車両にもワクワクするようになってきました。関係者からは「今頃かいっ!」とお叱りいただきそうですが…
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10月からは「開幕まで残り半年」を機に新しいポスターが各所に掲示されているのですが、その図案について細かい点に気付きましたので、そのお話しから…
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キャッチコピーは、「想像以上!が、万博だ。」
その下に「ミャクミャク」と女の子と男の子、そしてパビリオンを詰め込んだデザイン。
よく見ると、真ん中の女の子が「たこ焼き」を食べようとしています。
この「たこ焼き」について、私なりの見解をつらつらと…
●なぜ、「たこ焼き」か?
EXPO2025=「大阪・関西万博」だけあって大阪を前面に押し出しているわけですが、全国的に分かりやすい大阪のアイコンといえば、やはり「粉モン」になります。「粉モン」には、「たこ焼き」のほか「お好み焼き」、「うどん」、「焼きそば」等がありますが、「うどん」や「焼きそば」では大阪と特定できない。「お好み焼き」をフィーチャーした場合には、広島の方々の反発を買う。そうなると、やはり「たこ焼き」が分かりやすいということですね。
もちろん、全国各地に「たこ焼き」はあります。ただ、その「たこ焼き」は縁日の屋台やフードコートで売られているものがメインで、家庭料理として認識されているのは大阪を含む関西圏独自の食文化ではないかと。なにしろ、「一家に一台、たこ焼き機」と言われていますから(若年層の家庭ではそうでもないのかな…)。
実際、私は京都市出身ですが、人生初の転勤・転居で新潟市に住むことになった折に、京都のスーパーで「たこ焼き鉄板」を買って持って行ったくらいです。京都のスーパーで売られていた「たこ焼き機」ですが、その箱に書かれていた製造メーカーは新潟県燕市でした…(苦笑)
そう、関西人が家庭で「たこ焼き」を楽しむのに、新潟県(燕三条)や岩手県(南部鉄)のお世話にもなっているのですね。
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●「いか焼き」ではダメなのか?
ご存知ない方も多いのですが、「いか焼き」と聞いてイメージするビジュアルが、東西でというか関西では大きく異なります。全国で多くの方が、「いか焼き」というと「イカの姿焼き」を思い浮かべられるのでしょうが、関西圏と中国四国の一部だけは、「イカの切り身が入ったお好み焼き的なモノ」を「いか焼き」と呼んでいます。特に大阪梅田の阪神百貨店地下の「いか焼き」は大阪名物の1つです。
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しかしながら、万博ポスターで大阪らしさをアピールしたい場合に「いか焼き」の絵だと「お好み焼きみたいな何か」にしか見えず、やはり分かりやすさという点で「たこ焼き」には敵いません。
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●「たこ焼き」は楊枝2本で食べる!ってご存知ですか?
今回、私が最も注目したのがここです。
件のポスターを再掲しますが、女の子が楊枝を2本使って「たこ焼き」を食しているのが見えますでしょうか?
よほど拡大しないと見えないかな…
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公式なポスターですので、内外からクレームがつかないように細心の注意を払ってデザイン検証していることは想像がつきます。つまり、生粋の大阪人から文句を言われないように配慮した結果が、この「楊枝2本使いの図」なのです。
「たこ焼き」を買うと多くの店で楊枝が2本ついてくることは、全国各地で共通の習慣でしょう。では何故2本か?というと、多くの方が、
・1本を落としたり折れたりした時のスペア
・2人でシェアできるように
等と考えていらっしゃると思います。
実は、2本ついてくる理由というか正しい使い方は、2本の楊枝を同時に「たこ焼き」に突き刺して食するのです。たこ焼きがクルクル回らないように。その時、2本は並行に持つよりもやや角度をつけた方が固定度は高まると期待できます。
尤も、今どきは当の大阪人・関西人でもそのように正しく使えている人は多くはないのですが、少なくとも私は幼少期に父からそう教わりました。
このポスターにはその正しい使い方が描かれており、小煩い大阪のおっちゃんも文句言わないと思われます。
その時の楊枝は普通の爪楊枝でも構わないのですが、理想的にはもう少し長くて太い竹楊枝が本格的ですね。
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●「築地銀だこ」が変えてしまった「たこ焼きのスタンダード」
「たこ焼き」をソウルフードとする大阪には「くくる」・「わなか」・「会津屋」等の有名チェーンがありますが、全国で見れば、約500店舗を展開する巨大チェーンが「築地銀だこ」です。
その発祥は関西ではなく、実は群馬県だったりします。
「築地銀だこ」の公式サイトには、
「皮はパリッ、中はトロッ、タコはプリッ」
と書かれているのですが、その影響でしょうか、最近のグルメ番組で「たこ焼き」を褒める時の食感レポートでは「外カリ、中トロ」というのがキーワードとなっています。
私の記憶が確かならば、小学生の頃に屋台で買ってもらった「たこ焼き」は、「外はフニャ、中はドロ…」みたいな感じでした。
売れ残りでやや焼け過ぎの場合には、「外はしっかり、中はもっちり…」でした。
それが、「築地銀だこ」のヒットで「外はカリッ」が正義となってしまった。
いやいや、実は私も「銀だこ」が大好きなもので、否定はしません。実際、美味しいです。ただ、昭和の頃の関西のフニャフニャの「たこ焼き」とは違うものだと思っています。
「築地銀だこ」は焼き台がガラス張りの店が多いのでご存知の方も多いかと思いますが、焼き上がった「たこ焼き」に油を回し入れて、「揚げ焼き」で仕上げています。これがあの美味しさと食感を生んでいるわけですね。
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因みに「築地銀だこ」の「揚げたこ焼き」には、ビールよりも「角ハイボール」がバツグンに合います!
●タコの価格上昇…
庶民の味方である「粉モン」も、小麦粉の値上げもあって随分とお高くなってきました。
思えば、東京下町の「もんじゃ焼き」は、薄く解いた小麦粉で鉄板に文字を書いて子供を楽しませた「文字やき」が語源ですが(諸説あり)、今や多彩な具を入れて高級料理になりました。
「お好み焼き」も、当初は「一銭洋食」と呼ばれていましたが(鉄板+ソース味の料理を須く洋食と称していた)、今や有名店で具沢山のお好み焼きは1銭どころか1千円します。
同様に「たこ焼き」もまた、最近はお高くなりました。
私はその理由の1つに、欧州や中国でのタコ人気があると考えています。
「タコは英語で devil fishと呼ばれ、多くの国で忌み嫌われている」という話しは聞かれたことがあるかもしれませんが、実はこれ、ガセネタ。英語圏の各国でふつうに octopusであり、好んで食べはしないがそれほど嫌われてもいなかった。
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それが、ここ10年の和食ブーム+インバウンドのせいで諸外国の富裕層がタコの味を覚え、欧米、特にスペインや中国でのタコの消費量が爆発的に増えていると…
日本で食されているタコは、そもそも明石等の名産地だけでは量が賄えず、スーパー等で売られているタコのうち約7割強がモーリタニア産とモロッコ産です。モーリタニアはアフリカ西端の最貧国の1つですが、沿岸でタコが豊富に生息していることが分かり、1970年代から日本政府によるODA(Official Development Assistance=政府開発援助)の一環として JICA(Japan International Cooperation Agency=独立行政法人国際協力機構)がタコ漁を指導してきた歴史があります。当のモーリタニアの人々は相変わらず畜産肉を食べているのですが、水産業は国の産業の4割を占めています。そして、日本が支援して獲れたタコが世界で引く手数多となり、価格が高騰してしまった!ということです。
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なんだか寂しい話しですが、これも人間の営み、仕方ないですかねぇ…
●最後に、筆者の好きなたこ焼きは…
いや、そんなもん興味ないと思いますが、ご参考情報として。
一般に「たこ焼き」といえば、舟型の容器に8個ほど並べて、どろっと濃い目のソースをふた塗りして、青海苔・鰹節、そして最近ではマヨネーズをピャーっとかけて提供されるわけですが、筆者が幼少の頃から家庭で焼いて食べてきた「たこ焼き」はこれではありません。
ボウルにタネ(ネタ)を作る際に、少量の醤油を仕込んでおきます。
醤油の味がベースにありますので、ソースは塗りません。ネタの中に青ネギや紅ショウガが大量に入っていますので、青海苔も鰹節も割愛します。マヨネーズも邪道です。
見た目からしてサッパリしており、ソース味と違って口がベタつきませんので、10個でも20個でもどんどんいただけます。ただし、塩分はそれなりにありますので、食後にやたらと咽喉が乾きますが…
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この「醤油仕込みのたこ焼き」は、「会津屋」というチェーンが元祖を名乗っていますが、拙宅のものは大阪道頓堀の「たこ昌」の味に近いです。「たこ昌」は若い頃に何度も通いましたが、今やインバウンドの行列が絶えず、1時間並んでまで食べる必要もないので(うちで作ればよい)しばらく食べていません。これもちょっと寂しい話し…
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はい、「たこ焼き」で4,000文字、呟いてしまいました。
食べたくなりました?
まずは家庭用のたこ焼き機とたこ焼きグッズから揃えてくださいませ。
具材に何を入れるか、どんな焼き方をするか、あくまで皆さんの自由です。
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