カップ麺とラーメン店はやはり『似て非なるもの』として仲良く共存している件
金曜日はグルメ&酒カテゴリーで。
前回は『コーヒーは好きやけど缶コーヒーは飲めへん友人』のお話しでした。カフェのコーヒーと缶コーヒーは似て非なるもの、ないしは全く別のものと思って楽しむのが人生を楽しく生きるコツかなと思います。
そんな似て非なるものの第二段、カップ麺とラーメン屋のラーメンの関係を見てみます。
コンビニをよく覗く方ならご存知かと思いますが、全国の有名チェーンの店名を冠した即席カップ麺が何種類も棚に並んでいます。
北海道『山頭火』・『すみれ』、東京『蒙古タンメン中本』・『ホープ軒』、富山『富山ブラックいろは』、京都『来来亭』、奈良『天理スタミナらーめん彩華』、福岡『一風堂』・『元祖長浜屋』・『元気一杯』、熊本『桂花』…。
多くは、商品名になっている店舗の『監修』あるいは『協力』と書かれていますが、実際に作っているのは日清食品・明星・東洋水産・サンヨー・マルタイ等の名だたる即席麺大手であり、それぞれプライドに懸けて製造者名を明記してあったりします。
中には名古屋の『スガキヤ』のように、リアル店舗も構えながら即席麺メーカーとしての歴史も古く、『監修』や『協力』ではなく全く自社で開発できるメーカーもあります。
因みにスガキヤは、1962年に日本で初めて粉末スープを開発・発売した会社であり、即席麺は『寿がきや食品』名義でテーブルマーク(旧;加ト吉水産)に生産委託していましたが、2020年に内製化しています。
最近の話題で私が気になったのは、京都『天下一品』と福岡『一蘭』のカップ麺発売ですね。
『天下一品』については、あのポタージュにも比喩される濃厚なスープを、如何にカップ麺で再現するのか?
また『一蘭』については、リアル店舗の価格が高過ぎるとバッシングが吹き荒れる中で、カップ麺も490円(税込)とかなり強気な値付けがどう評価されるのか?
その辺の探求心が抑えられず、発売から速攻で試食しております。
まず『天下一品』のカップ麺(サンヨー食品・税別260円)については、味と香りはかなりホンモノに寄せてはいるものの、やはりあのドロドロ感の再現には苦労していると感じます。片栗系や増粘剤を用いてトロミを表現しているものの、粉末スープの限界もあり、舌にイヤな感じがまとわりつきます。
ネット上では『お店のスープにより近づけるには、お湯を規定量よりもやや少なめに!』という投稿が散見されましたが、なるほどお湯を減らせば味はより近づくものの、まとわり感と粉っぽさが気になりました。
『一蘭』についてですが…、一蘭の公式HPで如何にも自家内製のように訴求していますが、製造はエースコック社です。餅は餅屋、当然ながら即席麺に精通した大手メーカーの工場の方が効率的に供給できます。
一蘭カップ麺のこだわりは、『具なし』ですね。
490円という価格で一切の具なし。発売前から話題性充分であり、同社が一切の宣伝を打たなくても、ネット記事が恰好の宣伝媒体となり、かつSNSでバズりまくりました。かくして発売2ヶ月で100万食を突破。
もう1つのこだわりは、麺とのこと。『博多ラーメン』最大の特徴が、あのハリガネのようなストレート細麺でありその硬さですが、『博多ラーメン』・『長浜ラーメン』を謳うカップ麺の多くがその再現に苦労しています。どの商品も、イマイチ粉っぽい。ただ、博多ラーメン好きな人は往々にして『バリカタ』・『ハリガネ』というスーパーアルデンテでオーダーしますので、その粉っぽさは却って食感のリアルさに貢献しているかもしれません。
結論から言うと、大手各社が満を持して発売する『有名店監修カップ麺』も、リアル店舗のカウンターでいただくラーメンと較べると、『似て非なるもの』の域を脱しないということです。
リアルのラーメン店でいただくラーメンは、麺は大釜で茹でられ、スープは寸胴鍋で丸鶏やゲンコツや大量の野菜から煮出して作られます。手間ひま掛けて千円弱で提供されます。
一方で家庭でいただけるラーメンには、即席の袋麺、即席のカップ麺、或いは乾麺や生麺を茹でて濃縮スープをお湯で薄めて作るものがあります。カップ麺には最低限のフリーズドライ具材が添えられていますが、袋麺や生麺の場合は各自であり合わせの野菜や肉類を載せたり、或いは『坊主(具なし)』で我慢したりします。
どれもが子供の頃から親しんだ『ラーメン』であって、どれもが美味しい。
お店のラーメンが精巧に再現できなくてもいい、似て非なるものですが充分にご馳走ですね。
なんだかんだ食べてきましたが、私の個人的トップ3は『日清カップヌードル』・『日清きつねどん兵衛(W版)』、そして袋麺の『明星中華三昧・四川風味噌』です(笑)
※トップ画像は、広島屋 rakuten shopより借用しました。