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『ミニバン』って全然小さくないのに『ミニバン』と呼ばれている件

木曜日はクルマ談義。
前々回の『1.5BOX=ミニバン』議論の続きを。

人気絶頂の『トヨタ・アルファード』、そして姉妹車として人気を二分しながらも『アルファード』に統合された『ヴェルファイア』ですが、全長495cm×車幅185cm×全高195cmという堂々たる躯体で、乗車定員は7~8名。
新車価格はベースグレードの400万円弱から上級グレードが800万円と、日本を代表する高級車の一つです。

昭和中期は、反社会的勢力組合の方々や銀幕スターがキャデラックリンカーン、医者や政治家がベンツみたいなイメージで棲み分け(つかこうへい映画『鎌田行進曲』では主人公の銀ちゃん=倉岡銀四郎が無免許でキャデラックを乗り回してます)。BMWは、王貞治氏くらいしか乗ってなかったかも。
昭和末期のバブル時期には、反社業界の方も芸能人も医者も政治家もベンツ S560SEL のイメージに。財界VIPには BMW 750iLもよく売れました。

それが平成中期以降、反社幹部も政治家も『トヨタ・アルファード』をリムジン代わりに愛用するようになってきます(医者と芸能人はベンツかスポーツカーのまま…)。

アルファードから颯爽と降りる小池都知事(zakzak 2020/10/29)

その大きな理由は、広大な室内。幅も奥行きも室内高も、ベンツSクラスよりも数段の余裕がある広さ。着替えも打合せも、フルリクライニングして仮眠もできる。もう1つの理由としては、反社幹部も政治家も高齢者が多く、セダンの乗り降りがしんどいからとか(苦笑)。
従来は『こんな芸能人のロケバスみたいなワンボックス、威厳もナンもない』と見向きもされませんでしたが、メーカーが内外装の高級化に邁進し、特にシート等の内装はさながらジャンボジェット機のファーストクラス並みにラグジャリー化されています。

アルファード・ロイヤルラウンジ内装(autoc.one)

さて、先週お話ししました流れで『エスティマ』から『アルファード』に繋がる車種を『ミニバン』と称していますが、正直、全く『ミニ』ではなく『巨大なバン』です。
それが何故『ミニバン』なのかは、アメリカのバンの歴史に触れなければなりません。

かつて、アメリカではその広大な国土を寝泊りしながら移動する為に『フルサイズバン』という車格の大型車がメインでした。今の日本で見るマイクロバスくらいのサイズ感(笑)
ただ流石にアメリカでも『フルサイズ』は日常使いに持て余すぞと、1970年代に一回り小さい『Chevrolet Astro』が『ミニバン』との触れ込みで発売され、一大ブームとなりました。機を見るに敏、すかさず YANASE シボレーアストロを日本に導入しています。さすがに、全長5m×全幅2m×全高2mクラスのボディは当時の日本では大き過ぎましたが…。
かくして、そのサイズ感を今でもカタカナで『ミニバン』と呼び続けています。

Chevrolet Astro(Wikipediaより)

因みに現在の日本の慣習としては、『ミニバン』は定員6~9名。5名以下なら『ステーションワゴン』か『トールワゴン』、10名以上なら『マイクロバス』と呼ばれるようです。
軽自動車なら定員4名。呼び方は『軽ハイトワゴン』や『軽トールワゴン』ですね。
あと、『ミニバン』よりやや小さめ (車幅170cmの5ナンバー規格) のファミリー向けモデルは『プチバン』と呼ばれたりもするそうです(正直、あまり聞きませんが…)。

かつてのイギリスの小さな名車『mini』は、ドイツBMW社に吸収されてから、けっして小さくはない『MINI』に変身しました。
そして、アメリカでミニサイズと呼ばれた『ミニバン』も、けっして小さくはないサイズのまま『ミニバン』と呼ばれております。

ここ10数年、郊外のショッピングモールの駐車場だったり、少年野球・少年サッカーのパパ・ママが乗る送迎車両は、ミニバン花盛り。『名が体を表さない』車種が増えているわけですが、そんなことはお構いなしに増え続けているのは事実ですので、『ミニバン』人気は当分衰えそうにありませんね。

※トップ画像のアルベルは、カルモマガジン試乗記 2022/3/1 より借用しました。

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