「万歳三唱!」の正しい作法が実は冗談での創作だった件
Windows95の登場により一般市民にもインターネットが普及し、ブロードバンドが始まった2000年代、スマホ等のモバイル端末が普及した2010年代と、ネット社会との付き合いも長くなりましたので、インターネット黎明期に知った情報がその後のネット情報によって覆されるという筆者の体験談を、先回のブログで3つほど紹介しました。
その後2週間を経て、同様の事象が見つかりましたので続報してみます。
お題は、万歳三唱!の手のひらはどちら向きが正しいのか?
10/6(日)に、石破新内閣発足の記念写真での着こなしがあまりに醜悪で、「だらし内閣」と称された件をアップしましたが、その直後の10/9(水)には衆議院の解散があり、その模様がTVニュースで放映されました。
これまで衆議院の解散といえば、クビになるはずの与野党議員がこぞって「万歳三唱」を唱える光景が子供心に不思議でしたが、今回の解散宣言に際しては万歳がまばらで、野党の野次・怒号が飛び交うなか異様な光景でのグダグダな解散式となりました。
それはさておき、この「万歳三唱」に際して高々と挙げた両手の掌はどちらを向いているべきか?
考えられたことはありますか?
私は就職して営業職として各地を回ってきた中で、新潟の某卸会社の社長が「新年互例会」の席上で万歳の音頭を取られる段に、次のような講釈を垂れてから万歳の発声をされたことを強く記憶しております。
そして私はその作法を信じ、新年会やお祝いの席ではその雑学を披露し悦に入っていたわけです。
加えて、その雑学をさらに正当化した案件がありました。
2019年に安倍晋三氏が第98代内閣総理大臣に任命された折、「即位礼正殿の儀」の場で安倍晋三首相が天皇陛下の前で万歳した折に手のひらを内側に向けて万歳したのですが、それに対して「これこそ正しい万歳!」、「さすが安倍さん!」とSNSでバズったことがあったのです。
その根拠となっていたのが、当時ネットで出回っていた「万歳三唱令」なる法令です。
この報道を見て、私が「我が意を得たり!」とほくそ笑んだことは言うまでもありません。
ところが…
今回あらためて検証してみると、とんでもない事実が判明しました!
先に挙げた「万歳三唱令」なるものは、熊本県のさる公務員グループ(自称:正しい萬歳三唱を普及する国民会議)が、1989年頃にゴルフコンペの打ち上げで酔った勢いで創作したもので、その後、飲みの席を通じて全国に広まっていったという事実が判明!
2018年には当該のメンバーによる経緯証言が熊本日日新聞に掲載されました。
この「万歳三唱令」があまりにホンモノっぽかった為に政治家の間でもこれを正当と信じる人が多く、2010年の国会では、天皇陛下に向けて「手のひらを前に向けて」万歳をした鳩山由紀夫首相に対してさる野党議員が、次のような質問をしています。
「手のひらを天皇陛下側に向け、両腕も真っ直ぐに伸ばしておらず、いわゆる降参を意味するようなジェスチャーのように見られ、正式な万歳の作法とは違うように見受けられた。日本国の総理大臣として、万歳の仕方をしっかりと身につけておくべきと考えるが、その作法をご存知なかったのか、伺いたい。」
これに対する鳩山内閣の回答は、
「万歳三唱の所作については、公式に定められたものがあるとは承知していない」
でした。
それでも納得いかない質問者が引き下がりましたが、2ヶ月後、当時の官房長官から
「改めて調べましたが、正式な作法というものはございません」
との答弁があったと報道されています。
この件に関しては国会図書館に対して全国の自治体から数十件の問合せがあったとかで、「万歳三唱令は創作ですので信じないで!」と対応に追われたとか…
それでも…
私は、手のひらを内側に向けて、つまり小学校の時の「大きく前にならえ!」をそのまま90度上方に挙げたような万歳がお気に入りです。
その方が、何か意味があって敢えてそうしてそうな雰囲気だから(苦笑)
ただし、他人には強要しません。
万歳にもいろいろと意味合いがあると思います。
心から「おめでとう!」と祝意を唱えたいのなら、手のひらを内側に。
「いやいやマイッタよ。あなたには降参だわ!」という気持ちを込めたいなら、手のひらを正面に。
こんな感じの使い分けでいかがでしょうか?