小田和正の曲が『即今只今』で、『今ここを生きる』ことが大切な件
火曜日は音楽に関する四方山話を…
先週のタイトル『キャンディーズの44年間の謎が解けてスーッとした件』に仕込んだシャレに気付いてもらえましたか?
スーっとしたんですよ、キャンディーズだけに!
はい、という訳でね(笑)、音楽ネタと言いつつお説法のお話しです。
明治安田生命という有名な保険会社がありますが、小田和正さんの名曲・ボーカルをバックに家族や友人との何気ない日常の瞬間を捉えた写真で構成されたTVCMは、きっとご覧になったことがあると思います。
もう何年も前からあるなぁと思って調べたら、1999年に同社の企業イメージCMとして『言葉にできない』が使用されてから、以来20年超の永きに亘り小田和正氏の楽曲を替えながらシリーズものとして継続されているようです。
その最新版というか、現在放映されているのは『風を待って』シリーズで、2020年度のマイハピネスフォトコンテスト応募作品から、いろいろな映像バージョンが昨年から放映されています。
『風を待って』の歌詞から、CMに使われている部分のみ引用・紹介させていただきます。
このフレーズを聴いて、鮮烈に思い出した風景があります。
京都嵐山近くの鈴虫寺(正式名称:臨済宗華厳寺)。
2020年9月、世の中でコロナパンデミックが始まって最初の夏の緊急事態宣言が解除された間隙に、キャリコンを一緒に勉強した名古屋・岐阜のお姉様ご一行と鈴虫寺を訪ねました。
鈴虫寺は、何千匹という鈴虫の鳴き声が季節を問わず一年を通して楽しめることと、1日に何回か、住職による講話=鈴虫説法が聴けることで有名です。
お説法の内容はご住職によって、またその日・その回によってまちまちですが、多くのブロガーが挙げていらっしゃる有名な題目に『即今只今』というのがあります。
即今只今=そっこんただいま、今すなわちただ今です。
簡単に言えば『過去でもなく未来でもなく、今を大切に生きましょう!』という事なんですが、そう簡単なメッセージではない。しっかり理解しないと読み誤ります。
何か失敗してクヨクヨしても過ぎた時間は戻らない。将来の不安に苛まれたとしても、どんな事が起こるか誰にも分からない。それより大事なのは、今を一生懸命に生きること。今、正しいことを積み重ねれば、きっと望ましい将来が訪れる。今を無駄にせず精一杯生きれば、悔いのない未来がやってくる。そんな感じですかね。
往々にして若者はこれを都合良く読み誤ります。
親から『ゲームばかりして、だらだら怠けてたら勿体ないよ!』と言われて、『今は今しかないから、後悔しないように好きな事をしてるんだよ!』と屁理屈をこねる。そうじゃなくて、今を一生懸命に生きたらそれに見合った明日が来るという事を理解するには、あと数十年も掛かるんですよね。
もう少し突っ込んでみると、心理学の世界からも面白く分析できそうです。
例えば『アドラーの心理学』。
アドラーは、事実・現実に即さない生き方を否定し、現実的・即事的に生きるべきだと説きました。過去を手離して今を生きよう、未来の不安を忘れて今を生きよう。今の連続こそが未来になる。
また、ドイツで発達した『ゲシュタルト療法』によれば、未完結の問題や悩みに対して『今ここ』での気付きが大切。『今ここを生きる』力こそが大事とされています。
尤もゲシュタルト療法の大元が原始仏教にあり、そのスタイルが『気付きの瞑想』であった事を考えると、『即今只今』ともあながち無関係ではなさそうです。
あれ?
今日は火曜日だから音楽ネタの日?
調子に乗って月曜日のつもりで語ってしまいました。
小田和正氏が、鈴虫寺に行って『即今只今』のお説法を聴かれたことがあるかどうかは存じません。存じませんが、何も知らずに『今は戻らないから大切なんじゃなくて、今を重ねて明日へつながっていく』という歌詞を思い付いたとしたら、大した思想家であり心理学者です。
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