小室圭さんがスーツのボタンを下まで留めてバズった件
水曜日はファッションのお話しですが、先々週に『新入社員の着こなしについて言いたい事を書きたい!』と宣言してしまいました。
前回の『バッテン族を撲滅したい!』に続く第二弾は、
『一番下のボタンは絶対に留めないで!』の巻!
一般的に、スーツやブレザー等のジャケットの一番下のボタンは留めずに外したまま着用するのですが、それを律儀に一番下まできっちり留めて着ている人が一定数いることは、もう随分前から気になっていました。
ところがその問題が世の中の注目を浴びる出来事が起こりました。
2017年5月17日、眞子さまとのご婚約に際して小室圭さんが記者会見を開いたのですが、その時のニュース映像が世間をバズらせたわけです。
そのTVニュースがネットで拡散されるや否や SNS上でお祭り状態に…
その日の小室氏はダークグレーのスーツにブルーの水玉ネクタイで、よく言えば若者らしい、新入社員にもありがちな装いだったもので、余計に『知らないんだな』という声が殺到したのだと思います。
確かに、世の中の殆どのスーツ(ビジネススーツ)では一番下のボタンは留めないことを前提に作られていて、例えば前2つボタンのジャケットなら上1個を留めて下は外す。3つボタンなら上2つを留めて下の1個は外すようにデザインされています。トラッドやアイビーと括られる、Brooks Brothersや J.Press等のアメリカントラッドの1型と呼ばれるジャケットでは、『3つボタンの中1つ掛け』と言って一番上のボタンは留めずに襟ごと折り返されて見えなくなっていますが、真ん中の1つだけを留めてやはり一番下は外すことが暗黙のルールとなっています。
一番下まで留めてみると分かりますが、身頃の生地にシワがいってしまうのです。
何故そんなややこしい慣習(ルール・マナー)になったのか?
私見ですが、そもそも男性の正装は詰襟タイプの軍服のように上から下までボタンで留めていたものが、中のドレスシャツを見せる為に上部のボタンを外して襟を折り返し、さらに椅子に座った時や馬に跨った時に綺麗に見えるように下のボタンも開けることがデフォルト化していったのではないかと考えています。
では何故、一定数の男性がわざわざ一番下まで留めてしまうのでしょうか?
もちろん、子供の頃からご両親(特に母親)にお行儀よく躾をされ、洋服のボタンはしっかり留めて着るものだと刷り込まれて育った、日本人独特の几帳面な家庭環境がベースになっていることもあるかと思います。
これは私個人の推測に過ぎないのですが、高校の制服として『詰襟』から『ブレザー』を採用する学校が増えるにつれ、一番下のボタンを留める男性の比率が高まってきたと感じるのです。
具体的に男子高校生に於いて詰襟(学生服・学ラン)とブレザーの比率がどうなっているかというと、詰襟41%:ブレザー50%(9%は自由服+未回答)とブレザーの方が多数派となっています。(因みに女子はセーラー服10%:ブレザー75%。2019年トンボ社調べ)
制服に於けるブレザー派増加の理由は、恐らくは少子化の中で高校も生徒(志願者)確保の為に少しでも人気のあるデザインのブレザースタイルに変えてきたのだろうと推測していたのですが、ちょっと調べてみるとその他にも様々な事情があったようです。
例えば不良対策。
ヤンキー映画で象徴的ですが、学生服は時として長ラン・短ランから特攻服のようなものまで、不良のアイコンになってきました。そこで高校側は着崩しにくブレザーを導入した。
最近では、購入費用の問題。
使用する生地が少なければ安くなるという訳でもないでしょうが、詰襟学生服やセーラー服に較べてブレザーの方が少し安い。昨今は入学時にタブレット等も必須となり、少しでも入学時納入金を抑える為にはブレザーの方が保護者にも支持が高いようです。
それと、少なからずLGBTの問題。
詰襟はもろ軍服のシルエットですし、ブレザーなら下にスラックスでもスカートでも問題ないでしょう。
あと、驚いたことに、詰襟の襟の部分に取り付ける『カラー』の製造が終わったとのことです!
私が中高生の頃は詰襟の襟に高さ4cmの白いプラ製(塩化ビニル製?)の硬い芯を取り付けて、襟の形を整えたり、首の汗が学生服の生地に沁みないようになっていました。以前は東大阪市の精巧社が国内で唯一製造していたらしいのですが、昨年2021年初めに『市場が縮小し、厳しくなった』として生産終了となりました(京都新聞2022/3/26)。
従って、詰襟学生服からブレザーへの転換はここ数年で急増しており、今も詰襟学生服を継続している学校でも、カラーなしの柔らかい詰襟に変更しているとのことです。
兎に角、ブレザー制服が定着したことで、学校ではそれを正しく着用するように指導した。
実は学校制服のブレザーだけでなく、鉄道関係者や警備関係、いろんな文化施設や観光施設等のユニフォームとしてのブレザーの多くが、全てのボタンを留めるようにデザインされているのです。その方が、お客様に対して真面目で誠実なイメージを与えるから。
だから、高校で全てのボタンを留めることが正しいと教わってきた若者達は、就職してスーツを買っても全てのボタンを留めてしまう。これが私の個人的見解です。
いずれにせよ、繰り返しますが一般的なスーツやブレザーでは一番下のボタンを外すように作られています。そこだけは間違えないでいただきたいと思います。
既に相当の文字数なのですが、最後に冒頭の小室圭氏に対する面白い擁護記事を…