オラオラ顔が TOYOTAから BMWにも波及している件
木曜日はクルマネタの日。
依然として TOYOTAの『アルベル』(ALPHARDとVELLFIRE)の人気が凄まじく、アッパークラスのファミリー層からミドルシニア層まで、売れまくっています。
一般ユーザーだけでなく、芸能人の移動用(着替えや食事もできるミニロケバスとして)、或いは政治家や官公庁の公用車両として、さらには反社会的勢力の幹部(特に高齢者)にも、その存在感と高級感、室内の広さや使い勝手で人気が衰えません。
現在は世界中で工場・半導体・物流が停滞して新車の製造・流通が遅延していますので、中古車が新車価格を上回る価格で取引きされていたりします。(因みに両者は兄弟車で、TOYOTAの販売網系列整理の中でVELLFIREは廃止され、ALPHARDに一本化の見込みです)
このアルベルの大きな特徴が、その威圧的な顔(フロントグリル)。
『煽り運転』という言葉が広まる以前から『オラオラ顔』とも呼ばれ、多くの消費者から『下品だ』・『センスが悪い』と叩かれながらも、実際の販売台数は超順調に伸ばしてきたわけです。
まさに、勝てば官軍。
商売ですので、売れたもの勝ち。
尤も、セダン人気が低迷し、ミニバンやSUVなど『顔面積』の大きなタイプが売れていますので、自ずと『顔の主張』は重要になってはきます。
そんなデザインの流れが、哀しいことに欧州車にも波及しています。
先鞭をつけたのは AUDI ですが、追随しそれを凌駕してしまったのが BMW。
同列で語られることの多い M.BENZ や VOLVO では、確かに以前よりもグリルは拡大傾向にありますが、違和感を覚えるほどでもない。明らかに世界中の多くの人に違和感を抱かせたのは、今回の BMW New 4シリーズの顔ではないでしょうか。
ここでこの4シリーズの顔の是非を云々語る気はありません。
デザインの評価は人それぞれですし、何よりあの BMW のデザイナーがデザインし、幹部がOKして市販化された最終形ですから、それなりの台数は売れるのでしょう(実際、日本でもこの新しい4シリを見掛けるようになってきました…)。
ここでは、欧州車や TOYOTA車の顔が何故ここまで肥大化したのか?を、個人的に考えてみました。
私見ですが、現状の世界経済で高級車需要が最も旺盛なのは、依然として中国市場であり、TOYOTA も BMW も、生産台数のうち中国への輸出台数が相当のシェアを占めるのだろうと。
逆に、日本人のアッパー層が幾ら頑張って高級車を買っても、中国市場での販売台数にはケタ違いで及ばないわけですね。
では何故、中国人が『オラオラ顔』が好きなのかというと、中国の方は他人よりもより大きなもの、より派手なものを買って、優越感というか見栄を張りたい心情が強い(筆者が知人の中国人から聞いた個人の見解です)。
クルマのグリルが大きい=たくさんの空気を吸い込める=エンジンの排気量が大きい=高級なクルマ!
みたいな図式が単純にあるようです(実際には前方から取り込んだ空気でガソリンを燃やしているわけでもない…)。
尤も、これからのEV時代。
TESLA車など、空気を取り込む必要がないのでボンネットはトランクスペースで、グリルレスです。
SDGsの流れで排気量を競うことも意味がなくなり、エンジンそのものがダウンサイジング化され、小さい排気量で高トルクで回すことが求められている。
敢えて言えば、小さいエンジンをターボで過給する必要があるから、その分、ラジエーターは大きくする必要があるかもしれませんが…。
グルリレスといえば、’70年代のスーパーカーや’80年代の国産車は、ボンネットフードが低くて、カッコよかったなぁ。
いかにフロントを低く抑えるかの競争みたいで、ヘッドライトの高さを確保する為に『リトラクタブルライト』にしたり(現代の安全性基準では認可されない)、HONDA なんかは F-1に使われているWウィッシュボーン形式の低いサスペンションをコスト度外視して市販車に流用したりしてましたねぇ~。
今となっては懐かしいけど、時代は巡るから、きっとまたリバイバルしそうな予感がします…