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ポジショニングを大事にするキャリアプラン
はじめに簡単に自己紹介すると、現在エンジニアリングマネージャーをしている社会人10年目です。キャリアのスタートはエンジニアではなく営業で、エンジニアになるまで全くコードを見たこともなかったのですが、社会人4年目からエンジニアに転向しプログラマを経て、TechLや組織の立ち上げを経験し現在は複数の組織のエンジニアリングマネージャーをやっています。
社会人歴10年と区切りも良いので、自分のキャリアの棚卸をしてみようと思ったのが、 このnoteを書くきっかけです。
対象読者は、今まさに就職活動をしている学生さんや、転職などキャリアチェンジを考えている社会人の方を対象にしています。就職活動時からタイトルのポジショニングを大事にするキャリアプランを意識して現在にいたっているので、 特に学生さんに参考になれば幸いです。
ただ、かなりの長文になってしまったので時間がない方は、以下の
■ポジショニングを大事にするキャリアプランとは?
■最後に
の二つを読んで頂ければ大体の内容を理解していただけるかと思います。
■ポジショニングを大事にするキャリアプランとは?
タイトルの「ポジショニングを大事にする」とは、「マーケット価値の高いポジションを自分なりに考え、そのポジションを目指すために継続して努力すること」を意味しています。
このマーケット価値を高めるためには、
もともと価値の高いドメインや職種を選び、その後に、
①選んだ1つの軸を極める
②自分の強みと言える複数軸を組み合わせる
という主に2つの方法のどちらかを選んで、
より高めていくことになると思います。
結果として、僕の場合はドメインではなく職種にこだわり、
①ではなく②の方法を選択しました。
※具体的な内容は後述します。
②の方法でマーケット価値を高める話として分かりやすいのが、
以下のPodcastで及川さんが話している
- 自身のスキルをレーダーチャートにして可視化していた。
- googleをやめるときに同僚や知り合いも同じようにチャートにして、自身の差別化ポイントや今伸ばすべきベクトルがどこなのか明らかにした。
- 結果としてスタートアップで1から組織を立ち上げる経験を選んだ。
- キャリアを考える上で、似たようなベクトルを伸ばしてもあまりインパクトはなく、ベクトル空間を最大化するような軸/ベクトルを伸ばすキャリアを選択した方がいい。
ということだとか、
上記podcastでも話題になっていましたが、以下の記事で藤原さんが話している
- ビジネスの世界で自分の希少性を高めるポイントは、掛け算で自分のキャリアの希少性を高めるように、編集することです。
- それぞれの分野で「100人に1人」のプロフェッショナルになるためには、まずはその分野で1万時間、懸命に取り組むことが必要だと考えています。
- こうしてひとつ目の軸ができたら、第2、第3の軸を作るべく、それぞれの分野で1万時間の努力をする。そして、それぞれの分野で100人中のトップだと認められるような存在になれれば、100掛ける100掛ける100で、100万分の1の存在になります
のようなレアカードになる話のことを言っています。
2つの話に共通して言えることは、
マーケット価値を高めるためには、複数の軸を掛け合わすことが効果的であるということ。
もう少し具体的に言うと、1つの軸を自分の武器になるまで強めた上でベクトル空間を最大化できるような他の軸を選択してその軸を同じように強めることでマーケット価値を高めることができる
ということかと思います。
■複数軸を組み合わせた経験(高校の部活編)
ここからは自分自身の経験の話をします。
僕がこの複数軸を組み合わせることの威力を強く感じたのは高校の部活での経験でした。
僕は中学からラグビーを始めて、高校はスポーツ推薦で進学したのですが、進学先の高校が毎年全国大会に出場する強豪校だったこともあり、入学早々、周りとの明らかなレベル差を感じレギュラーになって公式戦に出場するのは3年になっても難しいということを悟りました。
そこで自分がとった行動は、主に以下3つでした。
①チーム内で一番層が薄いポジションを探す
②そのポジションにコンバートするための準備をする
③適切なタイミングでコンバートする意思を監督に伝えてコンバートする
具体的には、
①に関しては、ロックというコンタクトの激しいポジションの層が最も薄かったのでロックにコンバートすることを決めました。
ただし、当時の私は、司令塔の役割を果たすスタンドオフという、ロックとは全く異なるポジションでプレーをしていました。ロックにコンバートするためにはそもそも体格から作らないといけない状況でした。
そんな状況だったので②に関しては、結構大変でした。
毎日3時間おきに6回食事をして1日9000カロリーを取りながら、練習後自主的にジムに通ってウェイトトレーニングするなど、出来る限りの努力をしました。
努力の甲斐あって、高校2年の夏には入学時よりも30キロ近く体重が増えチーム内でトップクラスに大きい体格になりました。③に関しては、このタイミングでロックにコンバートしました。
結果として、コンバート前は、3本目のチームでプレーしていましたが、コンバート後は、すぐに2本目のチームに上がり、3年次には全ての公式戦をレギュラーとしてスタメン出場していました。
当時を振り返り、学んだこととしては以下の2点があります。
①1年半スタンドオフでプレーした経験がロックへのコンバート後も活きた
②複数のポジションを経験するのであれば、全然種類の異なるポジションの組み合わせの方が効果が高い
①に関しては、
1年半というある程度長い期間スタンドオフでプレーしていたため、ロックへのポジション変更後も必要に応じてスタンドの動きができたりとコンバート前のポジションを長く経験していることによるチームへの貢献が、想像以上に大きかったと感じました。
②に関しては、
・全然種類が異なるポジションの動きを試合中に行うとそれだけで目立つ
・自分自身、俯瞰して全体像を見ながら試合中動くことができる
など、似た複数のポジションを経験しても得られない効果があると感じました。
ただしこれは、組み合わせるそれぞれのポジションでそれなりに価値のあるパフォーマンスができていることが前提です。
この、複数ポジションを経験してレギュラーになった経験が
複数軸を組み合わせてマーケット価値をあげた経験として、自分の中で整理され、この後の就職活動、および社会人でのキャリア形成に活きてくることになります。
■複数軸を組み合わせた経験(就職活動編)
就職活動当時、自己分析を徹底的にしていく中で、前述した高校での「複数軸を組み合わせてマーケット価値をあげた経験」が整理されたので、就職活動は複数軸を組み合わせることを前提に行いました。
当時、意識したことは以下3点です。
①組み合わせる軸 (職種)は全く種類の異なる軸であること
②①で決めた組み合わせを実行できる仕組みや環境が整っている会社を選ぶこと
③①で決めた軸それぞれがその会社で価値の高いものであること
具体的には、
①に関しては、将来的にモノづくりに携わりたいという自分の思いと、今後市場価値が高まりそうな職種の掛け合わせから、社会人になったらITエンジニアになりたいと考えてました。
なので、エンジニア職と全く異なる職種とは何かを考えたところ、
エンジニア = 「何をどうやって作るか」という職種 と考えたときに
全く違う職種としては、「作られたものをどうやって売るのか」という営業はどうだろうかと当時考え、エンジニアと営業を組み合わせることにしました。
僕は、中学から大学まで体育会で大学は文系でプログラミングは当時未経験でしたので、キャリアのスタートは営業からだろうとこの時点で考えました。
②に関しては、
社内で職種を変える制度があって、ちゃんと制度が機能しているかどうかをOB訪問など通じて確認していきました。
③に関しては、
会社内の価値の高さも意識しましたが、それ以外に、
1、営業に関しては、優秀な営業マンがゴロゴロその会社にいて、その会社で営業を経験すれば他社でも十分通用するような実力が身につけられるかどうか。
2、一方で、エンジニアに関しては、僕自身プログラミング経験があるわけでも理系でもないので、今後優秀なエンジニアが集まりそうだが現在はまだ社内にエンジニアがいないとか、今後WEB企業に変わっていこうとしているが現時点ではまだそうではないなど、自分にもエンジニアとして活躍できる機会が多く巡ってきそうな環境を基準にしました。
2に関しては予想するのは難しかったので、会社の売上のポートフォリオと組織体制のそれぞれの最近の変化を確認して、ITに力を入れていきそうかどうかをなんとなく判断しました。具体的に選んだ企業名は省略しますが、上記基準でピックアップした企業のうちの1つから運良く内定を頂けたためその企業に就職することにしました。
■複数軸を組み合わせた経験(社会人編)
社会人になってからは、
・1つ目の軸である営業からキャリアスタート
・社会人 4年目で2つ目の軸であるエンジニアに転向
と、ある程度就職活動時に想定していたキャリア形成ができているわけですが、ここでは想定していなかったことやキャリア形成する上で難しかったことをメインに以下3つ記載したいと思います。
①2つ目の軸への転向タイミングと転向すること自体の決断の重さ
②2つ目の軸を自分の強みと言えるレベルまで引き上げることの難しさ
③種類の異なる複数軸の効果はすぐには現れない
まず、①のタイミングに関しては、
高校の部活と違って、社会人だと期間が長く転向タイミングを決めにくいといったことがあるかと思います。僕は、全国で1番の営業成績を獲得し、営業に対して自信を持って得意と言えるようになったら転向しようと決めました。
実際に社会人3年目で、月間で全国1位の営業成績を2ヶ月連続でとり、ある程度自分の中で営業の型が確立できていたので、このタイミングでエンジニアに転向することにしました。
ただし、いざ転向するとなると以下2点の理由からかなりの勇気を伴いました。
・営業が楽しくなってきて、単純にこのまま続けたい
・エンジニアに今から転向して遅れを取り戻せるのか
まだ、今みたいにエンジニアの市場価値が高くない時代だったので、うまくいっている営業のキャリアを捨てるのに当時かなり悩んだことを覚えてます。
最終的には、「悩んだ時は、より困難だと思う道を選んだ方が良い」という妻のアドバイスに従って入社当時に計画したエンジニアに4年目になるタイミングで転向しました。
ということで、②に関しては、めちゃくちゃ苦労しました。細かい話はこのnoteには書きませんが、エンジニアになってから最初の2年間は、業務時間も含めて年間6000時間コードを書きました。土日も平日も関係なく、ひたすら書いてました。そんな感じでひたすらコミットしてコードを書いてたら、エンジニアに転向して1年半後にはTechLを任されるようになり、3年後には開発組織の立ち上げを経験して、5年後にはエンジニアリングマネージャーになってました。
③に関しては、営業×エンジニアの軸の効果を感じたのは、組織の立ち上げやマネージャーになってからという話です。エンジニアとして現場でコードを書いていたりTechLをしていたときは、どちらかと言えばフロントエンドとバックエンドやインフラとアプリといったエンジニアとして種類の近い軸の掛け合わせによる効果の方が大きかった様に感じています。ただし、組織の立ち上げの担当やマネージャーのときに、何か物事を推進する際にエンジニアとビジネス双方の力学を理解した上での最適解を出せるスピードなど、営業とエンジニア両方を経験したことによる恩恵は、後々ですが非常に大きかったと思います。
■ 最後に
非常に長くなりましたが、以上が僕が複数軸を組み合わせてマーケット価値を上げた経験になります。一点、留意点として伝えたいのは、マネージャーはただの役割なのでマネージャーになったからといってマーケット価値が上がったと言っているわけではないです。僕自身が感じていることとして、あのまま営業を続けていたり最初からエンジニアのキャリアを選択していた場合よりも営業×エンジニアの軸を組み合わせたことによる自分自身の成長やさまざまな機会を頂けた経験から、僕自身としてはこの軸の組み合わせによって今の自身のキャリアがあると強く感じる。という話です。
最後に、僕が複数軸を組み合わせてマーケット価値を上げた経験を通じて大事だと思うことを以下3点記載しておきます。
①ポジショニングを考えたときにマーケット価値が高まる軸としてどんな組み合わせがあるのか、将来自分がなりたい像を踏まえながら事前に考えてキャリアを計画する
②1つ目の軸から2つ目の軸に転向するときは1つ目の軸で何かしら成果を上げてから転向することが大事である
③2つ目の軸を自分の強みと言えるレベルにまで引き上げるには、原則遅れを取り戻すところから始まるので余程の覚悟と努力が必要になる
以上になります。
最後まで読んでいただいありがとうございました。今後のキャリアを考える上で参考になれば幸いです。