BLUES‐ette CURTIS FULLER’S QUINTET featuring Benny Golson
単身赴任の経験はありますか?
それとも単身赴任中ですか?
私は、40歳をはさむ数年間、仙台と名古屋での単身赴任を経験しています。
ある日、役員に呼び出された私は、転勤の内示を突きつけられしました。その時すでに東京を生活の本拠地と定めておりましたので、即座に単身赴任を決意…そんなわけはありません。妻に「みんなで行こうよ!」などと猫なで声で相談したところ、「一人で行けば!?」とあっさり同行を拒否されたのです。
そのようなわけで、行く手にどんな冒険が待っているのだろうか!?とワクワク・ドキドキ。期待に胸をパンパンに膨らませつつ新天地に赴いたのですが、いざ着任してみるとけっこうモテない。自由を謳歌するはずだったのですが、イメージとまるで違う生活。料理をしない私は、毎晩どこかの安いお店に立ち寄って一人で晩ごはんです。上司の悪口に話がはずむ若手サラリーマンの楽しそうなテーブルを横目に、チューハイと焼き魚定食のような日々でした。
そんな時代、私を慰めてくれたのがハードバップの代表作、名盤の中の名盤、BLUES‐etteです。サイドメンとしての録音が多く、目立つ機会の少なかったトロンボーン奏者カーティス・フラーとテナーの名手ベニー・ゴルソンの絶妙なハーモニーが素晴らしい仕上がり。収録曲の中で最も有名なのがFive Spot After Dark でしょう。CMやドラマで使われた有名な曲ですから、イントロを耳にすれば、みなさん「ああ、これ!」と反応を示してくれると思います。
仕事で疲れた体を引きずるようにして部屋にたどり着く。いざ寝ようとしてもなかなか眠りに落ちない孤独な夜、小さな音量でこの曲を聴くと、
「がんばってる人って、かっこいいんだよ!」
「眠れないなら、バーボンをキュッと飲んで休みなよ!」
という石田ゆり子の声が聴こえるような錯覚を覚えます。
ある時、大切な取引先の担当者が南米ペルーに転勤。しかも単身赴任とのことでしたので、餞別のかわりにこのアルバムをプレゼントしました。その方も気に入ってくれたようです。
現在、単身赴任をされている企業戦士(最近、耳にしなくなった言葉ですね)のみなさん、健康に留意して、明るく、前向きにいきましょう!
HERE WE GO!