SOMETHIN’ ELSE / CANNONBALL ADDERLEY
寂しいですね!夏が終わってしまいました。
「地球温暖化」という言葉が取り沙汰される以前、東北では夏祭りが終わると秋に向かって季節が一気に加速する感じでしたが、近年は状況が変わってきましたね。しかし、そのようなことを心配してもしなくても、間違いなく秋になり、やがて冬に突入します。
そこで今回は季節を先取りして、名曲「枯葉」を聴きましょう。
Somethin’ Else は、名盤の中の名盤です。
Cannonballのアルバムとして発売されていますが、これはレコード会社との契約上の問題があってそうせざるを得なかったのであり、実際にはMiles Davisがリーダーです。
この演奏が録音された1958年当時(私が生まれた年です)、マイルスは麻薬中毒で体調最悪。周囲の人達にも散々迷惑をかけたのでしょう。「これじゃいかん!体に毒だ!」と反省した彼は、慣れ親しんだヘロインに別れを告げ、コカインにチェンジしたそうです。
きっと「コカインの方が体にいいんだよ、ブラザー!」と嘯くアホな人間が周囲にいたのでしょうね。これで体調が良くなると考えてしまうとは、何ともおめでたいですね。当時のジャズマンは、みんな不健康な暮らしをしていたわけです。
さて、このアルバムSOMETHIN’ ELSEには、シャンソンの名曲「枯葉」が収録されています。世界中で愛されているポピュラー・ソングですから、みなさんもメロディーはご存知でしょう。今ではすっかりジャズのスタンダード・ナンバーとして定着し、多くのミュージシャンによって演奏されていますが、そのきっかけを作ったのがこのアルバムというわけです。演奏しているメンバーはCannonball Adderley(as)、Miles Davis(tp)、Hank Jones(p)、Sam Jones(b)、Art Blakey(ds)と、いずれ劣らぬ名手ぞろい。ジャズ入門編としてもおすすめの1枚です。
ジャズを知ろうとする場合、気に入った1枚のアルバムの参加メンバーが、他にどのような演奏をしているのか、ほじくっていく方法がいいでしょう。マイルスに絞ってもいいし、アート・ブレイキーを追いかけてもいいと思います。すると芋づる式に名演奏と出会うことになり、ジャズへの興味が更に深まってまいります。
去りゆく夏の背中を追いかけたくなるような、どこか恋慕に似た気持ちを抱く夕暮れ、ビールを片手に「枯葉」を聴きましょう。心にぐっときます。