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高額な一錠の重み〜医療費上限の引き上げ〜

残念すぎる。
ちなみにこの記事には年収の目安で区分が記載されているから、年収で算出されると誤解してしまうけれど、正確には4,5,6月の標準報酬月額(賞与は含まない)で決まる。
年俸制には不利だ。そして私は年俸制。
算出方法を本当に年収ベースにするようにも検討してもらいたい。

本来の記事内容に戻って。
制度維持に財源のさらなる確保が必要なのは理解できるけれど、限度額上限の引き上げで対応することには反対だ。
どういうときに限度額に達するかを考えて欲しい。

まだ乳がん告知を受ける前、婦人科良性疾患の手術で入院したことがある。
そのときに初めて、限度額認定証を使用した。
入院月以外にも認定証を提示した方が良いか、会計課で聞いたときのこと。
(どの区分に属しているかにもよるけれど)がん治療以外の通院治療で限度額に達することは稀だと聞いた。

良性疾患でも手術や入院をすれば、限度額を超えることはある。
実際、私もこのときに初めて超えた。
ただ良性疾患であれば手術後は経過観察のみのこともあるし、通院治療を続けるとしても、たとえば婦人科の良性疾患で行うホルモン治療では上限額には達しない。

自分ががん患者となり、会計課で聞いたことを痛感した。
がん治療では限度額は身近な存在だ。
私は抗がん剤治療をしていないけれど、術前検査、手術入院、放射線治療をした月は限度額に達した。
抗がん剤治療でも達すると思われる。

現在も続けている、その後のホルモン治療では限度額を上回ることはないけれど、万が一にも遠隔転移をしたらエンドレス抗がん剤になり得る。
転移した乳がんに使うことがあるイブランスという薬は、一錠で2万円以上する。
亡き母もそうだったけれど、転移した乳がんの治療をしている患者さんはエンドレス限度額という方が多いと思う。
他の癌については詳しくないが、おそらく同じような状況ではないだろうか。

限度額を上げるということは、その一錠の高額な薬に命がかかっている人たちから、財源を得るということ。

健康な人からしたら「より多くの医療費がかかっているわけだから当然だ」と思う人もいるかもしれない。
それはある意味では正しいのかもしれない。
でもそれが社会の進む方向だとしたら、あまりにも悲しいと思ってしまうのは私が健康弱者側だからだろうか。

それに今現在は健康だという人も、いつ病気になるかはわからない。
2人に1人が癌になると言われている時代、誰しも明日は我が身だ。

私の周りでは、医療保険に入っているという人は結構いるけれど、がん保険に特化して入っているという人はめったにいない。
良性疾患の手術入院で1,2月限度額に達したくらいであれば、医療保険で補えると思う。でもがん治療となると、医療保険では完全には補えないことが多い。

そんな状況で限度額が上がるということを、政治家の人たちにはよく考えてもらいたい。

もちろん、無い袖は振れないという現実はある。
財源確保は必須だとすると、本当に困っている人からは取らない = そうではない人から取る、とするしかない。
ただ保険料を上げると、高額所得の人たちはより負担が多くなる。
当然のようで、すべてをそういう仕組みにしていくと、優秀な高額所得の人たちが日本から脱出してしまう未来を招きかねないというジレンマがある。

そうなると、窓口負担額を引き上げるしかない。すでに後期高齢者の方の引き上げはあったけれど、現役世代含めて検討するしかないか。

それでは先に述べた、がん治療の人たちの負担も増えるように思うが、元々限度額に達しているから変わらない。
ただ私のような治療をしている人には負担増となり、当然痛手となる。
でも苦肉の策として、限度額引き上げよりは良いように思う。

国民皆保険、窓口3割負担、病院にかかりやすい。
このあたりは日本の医療制度の素晴らしいところ。やはり現役世代3割負担は維持したい。
煙草やお酒など、一般的に健康にあまりよろしくないとされているものの税率を上げて、医療費財源に回すとか。

これ以上考えると、堂々巡りとなりそうだからこの辺にしておこう。
こんな私が思いつくようなことは、検討し尽くした結果の限度額引き上げ案なのかもしれないけれど。検討し直して欲しい。

あくまで一個人の意見として。







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