社会福祉士養成所課題レポート ソーシャルワークにおける基本的な面接技術 評価A
テーマ「ソーシャルワーカーに求められる基本的な面接技術とは何か説明しなさい」(2,858字)
私の作成したレポートは以下の通りです。評価Aをいただいています。
《 相談援助に用いられる面接は,多くの要素から構成される構造的なものであり,ある一定の状況下において援助者とクライエントとが,特定の目的をもって実施される相互作用のプロセスである.そして,援助者とクライエントとの両者間に結ばれる援助関係を基軸として展開される専門的な援助活動である.この特定の目的とは,「何らかの課題や機能の達成のために必要な情報を得ること」「クライエントのニーズの充足や課題解決に向けての共同作業を行うこと」「アクションシステムの形成」などである.言語,非言語的コミュニケーションによって相互作用を行うため,この点では日常会話と共通しているが,日常会話には意図的,意識的な計画,目的や目標はないとされる.ソーシャルワーカーは,相談援助に用いられる面接において目的をしっかりと理解し,意識し,面接を焦点化する必要がある.
相談援助における面接の目的は,(1)援助関係の形成(2)情報収集(3)課題解決である.(1)は,相談援助の目的の一つであるとともに対人援助の成立に不可欠な基本要件であり,情報収集や問題解決を含めたすべての援助過程においても信頼関係に裏打ちされた援助関係が前提となる.相談援助における面接の過程は,ソーシャルワーカーとクライエントの体面的な援助関係を軸に展開されるため,ソーシャルワーカーには面接技術のレベルの高さが求められる.(2)は,課題解決過程の一つのプロセスとして位置付ける必要がある.ソーシャルワーカーが面接技術を意図的に活用し,相互作用の過程の中で必要な情報を見極めながら情報収集するだけでなく,クライエント本人が自分の課題についての「気づき」を深めていくことも含んでいる.(1)(2)を踏まえた上で,相談援助における面接の最も重要な目的は,(3)である.ここで示す「課題解決」とは,本質的にはソーシャルワーカーとクライエントの援助関係を基軸として,クライエント本人が自分の課題についての気づきを深め,新たな気づきを得ながら課題への対処能力や解決能力を高める過程と言える.
ソーシャルワーカーとクライエントとの相談の場は,一般的には面接(interview)と呼ばれる.ソーシャルワーク実践における面接には、「構造化された面接」と「構造化されていない面接」があり,前者はあらかじめ場所と時間が決められているのに対し,後者はあらかじめ場所と時間が決められていないものを指す.これらは人を理解するための面接であるが,構造化されていない面接の方がより高い専門技術を必要とすることがある.ソーシャルワーカーには,両者に対して意図的に,専門的に対応する能力が求められる.
有意義な相談面接のためには,ソーシャルワーカーの面接技術の向上は不可欠であるが,クライエントがリラックスして面接に臨めるように,物理的な条件を整えることも重要な要素となる.相談面接に適した環境は(1)構造化された面接(2)構造化されていない面接(3)電話相談である.(1)は,相談面接の基本形態である.相談内容が外部に漏れる心配がなく,クライエントが集中して話すことができるため,問題解決に向けた取り組みの過程にスムーズに入っていけるメリットがある.(2)は,クライエントの生活場面で面接を行う形態として位置付けられる.クライエントは自分の生活の場で話ができるため,自分のペースで話がしやすく,ソーシャルワーカーにとっても面接室では把握できない重要な情報をクライエントの生活場面から得ることができる.(3)は,直接顔を合せずに面接を行うことができるため,匿名による相談が可能となる.
また,ソーシャルワーカーは,相談面接において受容的態度と積極的傾聴の姿勢を保ち,クライエントを人間として尊重していることや,クライエントの抱える課題に関心を向けていることを目に見えるかたちで伝えることが求められる.同時に,クライエントとの間に適切な距離と角度を確保し,クライエントの個人的空間を尊重するよう配慮が必要となる.
相談援助職であるソーシャルワーカーには,援助関係(=ラポール)の形成のためにも,クライエントの感情に接近し,適切に応答するための技法が極めて重要となる.話す速さや声のトーン,声質をクライエントに合わせるほかに,面接を展開する技法として,
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