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こういうタイプの相性もあるんです

自転車の場合、相性というとパーツの規格の組み合わせの事を言ったりする事が多いのですが、実は摩耗の状態による相性も結構大事なんです。
 
その中でもスプロケットとチェーンの摩耗状態の差で発生する相性は自転車の走行性能を著しく損なう事が多く、気をつけなくてはいけない相性と言えます。

例えばコチラの写真。

チェーン交換直後です。
ピカピカのチェーンに対してスプロケットには汚れがついています。
 
このバイクは約2年ほど普段の移動手段として利用して頂いているクロスバイクとなります。
今回は定期点検という事でライトメンテナンス作業を実施したところ、チェンの摩耗が使用限界を超えていたため交換の提案をさせていただきました。
 
ここで作業の際に気をつけていることがあります。
チェーンを交換した際に、先に書いた摩耗の状態次第でバイクの調子が低下することがあるため、お客様にはその件についての確認もする必要があるのです。
摩耗具合によってはチェーンと合わせてスプロケット両方の交換が必要になる可能性をお伝えします。

ではどのように調子が低下するのか?
それはスプロケットの歯とチェーンの噛み合わせが悪くなり、「歯飛び」という状況が発生するようになってしまうのです。
自転車の駆動システムはチェーンを利用していますが、そのお互いの噛み合わせがピッタリ合っていることが大前提となり、性能を維持するためにはとても大事です。

例えばコチラのスプロケット。
一部の歯の摩耗がかなり進んでいたため交換となったものです。

これだけ見て摩耗に気がつける人はそうそういらっしゃらないかと。

ではスプロケットの摩耗とはどのような状態になってしまうのか。
まずはそれほど摩耗の進んでいない状態がこの写真です。

白い紙の手前、摩耗の進んでいない歯

このスプロケットでも新品に比べれば摩耗している状態です。
では摩耗の進んでしまった歯はというと・・・

サメの歯のような・・・

上の写真のように先端が針のように細くなってしまいます。
コチラのスプロケットを使用されていたお客様は、ほぼこの歯のみを常用していたため、極端な状態で摩耗の差が発生していました。
資料としては最適な状態なんですけどね!

このような摩耗状態になった時にチェーンとの噛み合わせがどうなってしまうのか?
まずは摩耗の進んでいない組み合わせ。
コレはチェーンの片側のプレートを外して歯との噛み合わせを見やすくしたものです。

組み立てに神経つかいますw
赤い線赤い線に注目

上の写真の赤い線を引いた部分でお互いが噛み合っています。
チェーンとスプロケットのどちらも新品では無いとはいえ、このぐらいの面積で噛み合っていれば、ほぼ問題なく使用できるはずです。
スプロケットの歯がしっかりチェーンに噛み合っているため、ペダルを踏む力を駆動力として伝えることができている状態です。
つまり相性としては問題なし!ということです。

では摩耗したスプロケットに同じチェーンを合わせると・・・

おや?
赤い線に注目

明らかにチェーンとの接触面積が少ないことがわかります。
このような状況になると、スプロケットの先端が摩耗している事によりチェーンが噛み合う事ができず、回転方向にチェーンが抜けてしまう症状「歯飛び」が発生してしまいます。
要は駆動力を伝えることができないため、まともに前進することすら危うくなってしまうわけです。
もう相性最悪!

歯飛び現象が発生してなくても、お互いの接触面積が少ない状態では駆動力の伝達効率も下がりますので、ある程度のタイミングでチェーンだけではなくスプロケットも合わせて交換してあげたほうが良いですね。

交換の目安ですが、ハッキリと数字で表すことが難しいのである程度の目安としてにはなるのですが
チェーン  おおよそ3000~5000kmくらい?
スプロケット  チェーン交換3回~5回くらい?

でしょうか。
駆動系の摩耗は状況による差が大きすぎるので、難しいのです。
あくまでも目安ですからね!
 
例えば体重70kgぐらいの男性の場合だとして、月の走行距離が1000kmだとしても・・・
走行する場所が市街地なのか、サイクリングロードなのか、ヒルクライムなのかで全然違います。
市街地ではスタート&ストップが多いため、その頻度が高くなればなるほど摩耗が多くなる傾向があります。
逆にサイクリングロードのように、停止せずに一定速度で長距離を走れるような環境では摩耗の進行は遅くなる傾向が。
ヒルクライムは常に駆動系へ負担が掛かり続けるため摩耗の進行は早くなりそうですが、上りの走行距離はそこまで長くはないので意外と進みにくい代わりにロー側のみ摩耗が進む事が多い、とかとか。

さらに・・・
同じ体重でもパワーのある人、そうでない人。
高ケイデンスなのかそうでないのか。
こんな事でも摩耗に差が発生します。
女性の場合は体重も軽くパワーも男性に比べれば弱いため、摩耗が進みにくい傾向が強いかと。

ではどのように摩耗の状態をチェックするべきなのか?
プロショップに持っていってください。
もちろん購入されたショップに行くのが一番でしょうが、引っ越しなされた場合はお近くのショップを頼るのが一番です。
そして定期的に持ち込むことも大事です。
当店の場合、車体を購入して頂いた方にはこのように伝えています
・初回の点検は1ヶ月前後
・2回目以降は2~3ヶ月ぐらい

定期的に点検することで車体の状態が極端に悪くなることを防げます。
大きなトラブルになる前に、調整や部品交換で対処できますから。

今回は見た目では分かりづらいスプロケットの磨耗。
サンプルとしてパッと見て判断できるぐらいわかりやすい教材が手に入ったので記事として書いてみました。
まぁ・・・、結果よくわからん!!となるかもしれないですが。
その時は遠慮なく当店へご相談ください。
チェックだけでもOKですよ。
ぜひぜひお気軽にご来店くださいませ~。

ちなみに私は所有台数が相当数あってそれぞれちょいちょい乗り換えるため、チェーンを交換タイミングまで使い切る事がほとんどありません(笑)
台数は聞いちゃダメ
  
ヤマモト