いのちの星屑
第三話 トラウマ 一九九一年
施設では、月に一度、スタッフとコンビニでお菓子を買出しにいくことを許されていた。ウシオ先輩に無理やりやらされていたことのひとつが、商品をパクってくること。パクリとは、万引きである。施設を出てからも、僕は窃盗癖に苦しむことになるのだが。
今思えば、当時、心のモヤモヤした苛立ちを抱えていたんだと思う。それを放置しておくと、ドブネズミが大繁殖するように自分で自分をコントロールできなくなっていた。なぜパクリをやめられなかったのだろうか。口から心臓が飛び出てきそうなほどの緊張が、すべて嫌なことを忘れさせてくれたってことかもしれない。
つづく
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