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インドの魚が食べたくて #7
(前編までのあらすじ)
24日にコルカタに入り、25日早朝にベンガル湾にほど近い農村ゴブラに着いて、活〆牛、雷魚、小魚ケチキ、ググニ、ミルク麺、ストリートタンドリーチキン、ロールなど、一気に超ローカルフーズを詰め込み食い倒れた今回のキーマン、アリやん(料理人のアリムルさん)と僕。本日27日の予想最高気温は44℃って(汗)。さてどうする!?
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気温44℃でも元気なベンガル野菜
朝8時頃、チャイを飲みに行く。今日もルンギ一丁姿のババさんが小屋の中で鎮座し、僕の顔を見るやいなや「おおぅジャパニ!グッモーニン」と片手をあげる。気温はすでに35℃を超えている。
実は昨日から喉が痛い。アリやんの3歳の息子アラームくんも風邪気味とのことで、もしかしたら僕が持ち込んだのかもと心配している。
「いや、違いますよ。僕たちがコルカタの空港に着いた24日にすでに咳き込んでいたというから。カワムラすぁんは大丈夫ですか」
「それが気温と湿度が高過ぎて熱があるのかわからんねん」
キョトンとしているババさんに、アリやんがベンガル語で通訳して、再び僕に言葉が返ってくる。
「マンゴーを食べてルンギーを着ろと言ってます。身体に熱がたまってしまってしんどいのではないかと。あとで僕のルンギ―貸してあげますからそれを着てください。マンゴーも買いましょう」
マンゴーは精神を癒す、とアーユルヴェーダに通じる友人から聞いたことがある。栄養学的にもビタミンCやβ―カロテンたっぷりで疲労回復には最高の果実。
「ほな、今日も稲刈り作業は無理かな」
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「無理無理、倒れてしまいますよ。この気温の高さはベンガルでも異常。昼間は誰もファームにいないでしょ。夜に大きなライトをつけてやってるんですよ。これは昔からそうだけど今みたいに熱波の時は特にそうなります。だから近くのファームへ見に行くだけにしましょう」
今回の旅の目的の一つに稲刈りを手伝う計画があった。この辺りは二期作で11月頃から初夏までずっと収穫期らしいが、特にこの4~5月に集中するというのである。
「あ、そうだ。僕の友達がそこで野菜ファームをやっています。今から見に行きますか。家はすぐ後ろだから呼んできます」
2,3分後、アリやんと一緒にやってきたのはサイマット君。うちは元々農家だったが現在はプライベート用の作物のみ育てているという。
さっそく見せてもらうことに。ババさんのチャイ小屋の横の路地を入って100mほど先にファームはあった。ぱっと見一反(約1000㎡)ほどの広さがあるだろうか。
まず目が行ったのは、菜園のど真ん中にぶらさがっているツル系の果菜。同じものを市場でもよく見かけた。キュウリのようでそうでないような。
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「そう、これはカドリ(Kundri/コドリ、クンドリとも発音する)です。ベンガル人が大好きな野菜。東南アジアでも栽培されているみたいです。すぐに大きくなるし、どこででもよく育ちます。暑さにも強い。小さなウリだから食べやすいし味もグッド」とアリやん。
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そしてひときわ大きなヒョウタンのようなものもぶら下がっている。
「これはコドゥ。ラオゥキ(ベンガル語:Khodu, Lau ヒンディー語:Lauki 英語:Calabash, Bottle bourd)ともいいます。日本の、そうヒョウタン、ユウガオ。たぶんインドから始まった野菜。これもみんな大好きです」
「この一番大きなコドゥ持って帰って食べてください」とサイマット君が鎌で切ってくれました。
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すぐ隣にニガウリ(ベンガル語:Tikta ヒンディー語:karela)もぶらさがっていた。それにしても足元にも所狭しといろんな作物が植わっている。緑ナス、ペパーミント、ピーマン、まだ青いトウガラシなどもある。
なぜこのような密集混植をするのか。やはり暑さ対策か。
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サイマット君が話す。
「え、日本では違うのですか。この辺りでは普通のやり方です。そう、ウリ科もナス科もぜんぶ水が命です。足元を掘ってみてください。ね、土が黒いです。土には水分がたっぷりと染みこんでいるのです。ほら向かいに沼があるでしょ。向こうにも、あっちにも。全部人が作った沼です。食用の魚も育てています。この辺りの人は昔から野菜と魚の両方を育てているんですよ。魚を育てることで栄養豊かな水になり、それが土の中に染みこみ、さらに栄養が豊かになっていく。一石二鳥、魚とファームはセットなんです」
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日本では敬遠されがちな、というかご法度なミントの混植。しかしここでは強い日差しと乾燥、病害虫の対策も兼ねて混植していると思われる。またチャトニ(揚げ物、焼き物のツケダレのようなもの)に多用するため、消費量もすこぶる高い。
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ナスは畝をあげているが、幅は30センチほど、高さは10センチあるかないかのささやかなもの。おそらくそれくらいが水分を吸い上げやすいのではないかと思う。
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トウガラシはナス科。ある程度の水分と日陰が必要。ということで壁際に植えている。
一通り見せていただいた印象としては、まずウリ科が多く次にナス科という感じだった。やはりウリは熱波でも条件さえ合えば耐えられるようだ。ここの土は完全に砂質である。僕が日本でやっている畑はディープな粘土質である。保湿・保水性を考えると粘土質の方がやりやすいと素人知恵ではそう思うのだがどうなのだろう。よし、とにかく日本に帰ったらウリ科に励もう。
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ちなみに市場でよく見かけた東インド名産のポトル(ベンガル語:Potol ヒンディー&ウルドゥー語:パルワルParwal)はなかった。長さ10センチ程度の緑色のラグビーボールのような形をした、これもまた多年生のウリ科である。これについてはまた後日書くとしよう。
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サイマット君ん家の沼を見て「子供の頃ここでよく遊びました」とアリやん。なんとワイルドなことか。インドの子供たちはこのような沼でも平気で入る。今回もあちこちの沼で子供たちを目撃している。
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☆超希少な写真のため無断転載は固くお断りします
一度外に出て50mほど離れたところの畑も見せてもらう。
「ほら、これがグリーンカルダモンの花です。面白い形をしてるでしょ。子供の頃、うちの家でも育ててました。この辺りの人はみんな育ててると思いますよ。ウエストベンガルみたいに年中蒸し暑いと簡単に育ちます。収穫するまで3年くらいかかりますけど」とアリやんが指さす。
グリーンカルダモンが庭に咲いてるなんて、夢みたいな話だ。うらやましい。
が、気になるのは「花」。葉は確かにショウガ科ならではの形をしているが、グリーンカルダモンの「花」ってこんなんだっけ。というのも僕は昔、東京都薬用植物園で開花中のグリーンカルダモンを見たことがあるのだ。それは株もとに房状となった花が何本もでているものだった。
しかし今、目の前にあるそれは直系2,3センチもある大きな球形で、確かに花をつけているが東京都薬用植物館のそれとはまったく違う。本当にグリーンカルダモンなのか、何度も聞き直したが二人ともそうだと大きく頷く。
ネットで見てもよくわからない。同様の大きく丸い形で上に向いてついている写真もあれば、薬用植物園で見たような株もとに連なっている写真もある。アリやんに聞いても「なんだろうね」だって。おいおい、さらなる研究が必要だ。
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他にニームの木やドラムスティックの木、カボチャやらも見せてもらって畑を後にする。帰りババさんの家の庭にカレーリーフの木があるのを発見。アリやんの家のニームやジャックフルーツ、ドラムスティック、ココナッツといい、このあたりの人はみんな自然と食がセットの暮らしをしていることがよくわかる。
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以上、気温44℃のサイマット家のファームの様子であった。
他にもいくつかの未確認の野菜の写真があるので、確認出来次第、随時加筆していきたい。
つづく
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