スタートアップの採用人事になってから半年、やったことと振り返り
こんにちは、株式会社プレックスでマーケと人事やっております、平井です。
クリスマスにノート書いてるわけですけど(2019/12/25現在)、スタートアップで採用や人事やったことの記録をつらつらと書いていこうと思います。
特に読者層を意識して書くやつではなく、記録的な感じなのでご興味ある方はぜひお読みください。
スタートアップの採用環境
スタートアップだと、ヒトとカネのリソースの制限を受けたり、知名度や社内側の受け入れ体制、人事制度、給与、働き方などの制限があり、「今じゃないこと」が結構発生します。
文字通り「戦略」がかなり重要になり、やらないことを決める必要が、都度都度発生します。
また、PDCAを回すまでの時間軸が長く、1回決めた施策や実行の良し悪しを判断するまで1~3ヶ月程度の検証期間がかかってしまう施策が多く、その上、費用対効果的な概念が見えづらく、「わからんがやってみるか」的な内容も多いです。
しかし、どの企業規模でも同じだと思いますが、人のパフォーマンスが会社の成長に直結するため、会社が生きながらえるため、事業進捗を加速するためには、採用は必要不可欠であることも事実です。
そのため、採用に求められることは「1発で、最速で、最高のコスパが良い施策を当てる」という、スーパーハードモードです。
今後、同じ様にスタートアップで人事を初めて担当する方にとって、なにかしらショートカット出来る内容になればいいなと思います。
半年間のざっくりまとめ
とりあえず先に、下記の観点でまとめていこうと思います。
こんな感じです。それぞれについて、時系列と振り返りを書いていこうと思います。
やってよかったこと
・先人のインプットを入れまくること
最も早くやっておくべきことだったなと、今振り返ると思います。他社採用担当、人事担当の人に話を聞きに行ったのは、2019年7月~8月でした。
人材紹介やWantedlyなどを先にやっていましたが、人生やり直すとしたらインプットを入れに行くのを先にやると思います。
特に複数社のインプットを入れるのが重要で、ビジネスモデルの違いや資本構成、カルチャー、メンバーのレベル感など様々な変数があり、真似できるものと真似できないものがあります。
xxx採用が良いよ!と言われても、必ずしも自社でワークするとは限らないので、複数観点からインプットを入れて、自社に適応させるのが大事だったなという振り返りです。
お話をお伺いさせていただいた方々、誠にありがとうございました。
・自社の情報発信(Twitter、note、採用ピッチなど)
Twitterを始めたのは、採用を本格的に始めた2019年5月頃、noteやWantedlyフィードを書き始めたのは2019年6月頃からです。これに関しては、やってよかったですが、もっと早くやっておくべきことだったという認識です。
スタートアップが、メガベンチャーや大手企業と採用で戦っていく上で、対等に戦えるフィールドは情報です。
給与などの諸条件においては、「高いほうが良い」に決まっているので、スタートアップはメガベンチャーや大手には劣ることが常です。ただし、業務内容や得られるスキル、働くメンバーなどは良い悪いが人によって異なります。
そのため、情報発信においてはSNSなどを使った情報発信の規制が少なかったりするスタートアップが戦いやすいフィールドです。
もちろん、いわゆる「採用広報」はかなり飽和してきているので厳しい戦いですが、「候補者に必要な情報を提供すること」が候補者視点から見て必要なことに変わりはありません。
候補者視点、自社で戦える武器として早めに取り組んでおいて損はなかったなと思う施策です。
自分個人のアウトプットも含めると、結構増えたなーという感覚があり、資産として残っているので、今後より効果を発揮してくれると思います。
・採用要件、採用の評価基準の設計と運用
これらを設計したのは、2019年7月~8月でした。
採用したい人のペルソナ設計や、要件、評価する基準などを整え、社内で共通認識を整えておいたことは、「議論の工数を減らす」「情報発信及び戦略を決める」上でとてもプラスでした。
ここは、関さん、佐藤さんという方からインプットがあり、フォーマットに沿って進めていただいたのが大変助かりました。
「インプットを入れる」に通づるところですが、採用要件の設計方法などは、知らないと出来ない系業務だったので、外部からインプットをもらえたことはとても大きかったです。
・Twitter採用
Twitterで本格的に採用を始めたのは2019年9月以降です。情報発信の文脈とかぶりますが、スタートアップが戦う採用チャネルとしては、まだ余地があるチャネルだったなと思います。
企業側・候補者視点のメリットはそれぞれ下記です。
工数や長期的な採用になる以外の懸念点がなく、双方にとってメリットが多い採用手法だと思います。
・リファラル採用
創業当時からずっとやっています。どこでも語られている内容なので、言うまでもない内容かと思いますので、割愛いたします。
・インターン採用(スカウト)
インターン採用も、創業当時からやっていますが、スカウトは2019年5月から活発に行い始めました。
学生が求めているものと、スタートアップが提供できる価値がマッチしており、とても良かったと思います。
いわゆる高学歴層やインターン経験が豊富な層、起業志望などとてもコミットと能力が高い人も多いので、正社員にこだわりがなく、出勤日数の縛りが少ない事業モデルであればより強化していたであろうチャネルになると思います。
・KPI、ダッシュボードの設計
KPIやダッシュボードなど、進捗管理をしっかり行い始めたのは2019年6月頃からです。
当たり前ですが、定量で振り返りをしないと戦略の意思決定やリソース配分の最適解を出すことが出来ません。
スタートアップの採用立ち上げ期であれば、kintoneやSpreadsheetで十分事足りたので、ATSなどの固定費を払わずに進めたのは、良かったかなと思います。
詳細は下記の記事に書いてあるとおりです。
・採用候補者管理、プール管理
こちらも、上記のKPI、ダッシュボード設計と同時期に行いました。プール管理については、まだまだ試行錯誤の途中です。
今後の採用は、管理というよりも、情報を蓄積してデータベースとして持っておくことが重要になっていくと感じています。
緩くつながって、長期的な関係性を構築し、人生において必要なタイミングで転職や副業をする。という働き方や人の流動が起こっていく風潮が、より強くなっていくかと思います。
その文脈に乗る意味で、一度会った人やいつか一緒に働きたいと思う人の情報はデータベースで持っておくことは、かなり重要です。
その環境を、採用初期から作っておいたのは、プレックスのセールスやマーケティング、CRMのインプットがあったおかげかと思います。
まだ効果がわからないor今じゃなかったかなってこと
・個人の情報発信(Twitter、note)
こちらも、自社の発信と同じく、2019年6月頃から開始し、11月、12月に強化していました。
人事の方と繋がれたり、インプットが入ったという意味では、間違えなくやってよかったと思うんですが、採用の進捗をするという意味では、まだ判断が難しいところです。
個人の存在感が増すことで、企業の認知も広がっているとは思うのですが、明確に数値で判断できたり、定性で判断するのはなかなか難しい領域でもあります。(PVやインプレッションが多ければいいってもんでもない)
自社の情報発信と被るところもあるので、引き続き継続して行っていく方針です。
・人材紹介
こちらは、2019年5月から10月頃まで精力的に力を入れていました。
1名の採用につながっていることから、効果があったと言えるのですが、場合によるという感想が正直なところです。
やはり、紹介側もKPIを持っていること、他社と条件面で比較されてしまうこと、採用のコストなどがネックとなってしまうケースが多かったです。
小規模な人材紹介会社さん、スタートアップ専門の人材紹介会社さんなどはとても相性が良かったです。
ただ、弊社の情報が少なかったこともあり、人材紹介会社さん側のパフォーマンスを最大限発揮してもらうには、少し早かったかなと言うのが振り返りです。
資金調達をしており、短期で採用しなければいけない事情があったりする場合には間違いなく有効なチャネルだと思います。
・Wantedlyスカウト
2019年7月に1ヶ月分だけ契約して行いました。こちらは、完全に時期尚早だったと反省です。
・自社の情報発信が少なかったこと
・採用ペルソナが固まってなかったこと
・スカウトのインプットが少なかった
など、「なんとなくいけるんじゃね?」的な感じで検証がメインになってしまっていたなという感じです。
自己応募が一定増えてきたり、自社の情報発信が整った段階で使うのであれば、とても有効なチャネルだと思いますが、当時の状況としてはタイミングを間違えてしまった施策になります。
・Wantedly運用
こちらは、Wantedlyの契約自体は創業当時から、運用を始めたのは2019年5月~6月、9月~10月です。
5~6月はコストがかからない取り掛かりやすい施策だったので、検証を回し、7~9月にインプットを色々入れた結果やってみたのが9~10月になります。
結論、「多分、本気でやればうまくいくんだけど、リソースを投下する意思決定出来るほど自信がない」という状況で、今は更新に力を入れておりません。
一定パフォーマンスさせるための手法はインプットできたんですが、自分の力量不足もあり、採用に至るまでには持っていけませんでした。
運用していた限りでは、採用したい像と若干ずれることが多発し、運用工数と対応工数で爆発しそうになったため、縮小しました。
ただ、インプットを入れた限りではかなり上手く行っている企業さんも多いので、LIFE PEPPERの吉田さんの記事を見てオペレーションを回し、チャネルにいる採用候補者の特性とマッチすれば、とてもオススメだと思います。
・人事制度設計と運用
こちらは、2019年9月頃から弊社取締役の植田さん起点で進んでいます。
あまり自分はタッチしていないのですが、人数が少ない段階から検証を回していることはとても良かったと思います。
ただ、効果の面は最低半年は回さないとなんとも言えないところなので、今後の運用次第という感じです。
やりたかったけど、やれなかったこと
・社内側のエンゲージメント向上
いわゆるEX的な話ですが、社内人事的なところに工数を避けなかったのはとても反省です。
これ単体でどうこうという話ではなく、すべての採用施策に×1.1倍みたいな効果があると思っています。
社内を整える、活発化するというところが、来年以降ずっと続くかなーと、昨今の採用市場の潮流を見ていて思うところです。
・選考フローの候補者視点での最適化
こちらは、CX的な話ですが、企業視点での採用が結構多かったなーというのも反省の1つです。
多分、いわゆる堅苦しい面接的な選考フローは今後減っていく流れがあると思っていて、自分が求職者視点でもなかなか面接を受けたり、履歴書を作ったりは億劫になってしまうな、という感覚があります。
理想は候補者ごとに最適なタッチポイントの設計ですが、その辺りはオペレーションの工数と鑑みて調整していくのが続くんだろうなと思っています。