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音楽家がチャイコフスキーから学ぶこと5選!
はじめに
音楽史というのは「史実を正確に学ぶ」ことが目的ではありません。史実とされていることを受けて自分の音楽人生にどのように反映させるかが大切です。私達藝大生は複数の歴史書を暗記していますが、有名歴史書同士でそう反する内容もあるものです。ここを議論する人達は歴史好きであり、私達音楽家が議論する相手ではありません。
音楽家の皆さん、歴史をご自身の音楽人生に取り入れてください。
以下は拙著からの抜粋です。この記事が気に入って頂けましたら是非本書を手に取ってお読み頂けますと嬉しいです。最下段にリンクをご用意します。
チャイコフスキーから学ぶことの一つ目は「お豆腐メンタル」です。
チャイコフスキーは、花びらの水滴を見て美しさに涙をこぼす繊細な感性を持っていました。その副作用として、他人からの評価に傷付きやすいところがありました。しかし、このお豆腐メンタルこそチャイコフスキーの繊細で美しい音楽を作り出す源なのです。強靱なメンタルばかりが良しとされる昨今ですが、弱いメンタルのメリットも覚えておきたいものです。
チャイコフスキーから学ぶことの二つ目は「指導を受ける力」です。
チャイコフスキーは作曲の講師になってからも、自分の曲に対して師匠から指導してもらい、修正を繰り返し作品を完成させていました。成功したら天狗になってしまう音楽家もいますが、チャイコフスキーのように常に指導を受けて成長する力を維持したいものです。
チャイコフスキーから学ぶことの三つ目は「土着の美しさ」です。
あらゆる曲にロシアならではの民謡のモチーフを入れています。交響曲はもちろんのこと、《弦楽四重奏曲第一番》の第二楽章冒頭のメロディはあまりに有名です。チャイコフスキーは心を打たれたウクライナの民謡を題材にしたのです。私達も日本の土着の美しさを自分の音楽に取り入れるのも良いかもしれません。
チャイコフスキーから学ぶことの四つ目は「文章の力」です。
チャイコフスキーは長きに渡り富豪女性からの援助を受けて活動していました。そして1200通以上の手紙のやり取りをしています。音楽や音楽人生に対して真面目にパトロンと文章のやり取りをしたのです。これは「文章力」ではなく「文章の力」を使って資金を得ていたと言っても過言ではありません。現在はパトロンからの援助を求める時代ではないかもしれませんが、私達も「文章の力」を使うべきかもしれません。
チャイコフスキーから学ぶことの五つ目は「マイノリティ」です。
今でこそLGBTという言葉が広まり世界的に理解が求められるようになりましたが、国によってはマイノリティであることで自殺を命じられるような時代もあったのです。チャイコフスキーの死因に関してマイノリティであったことが原因とする説もありますが、大切なのは事実ではなく、そのような論証が成立する時代があったということです。価値観の強要はできませんが、考えるきっかけになればと思います。
この記事を参考にご自身の音楽人生が栄えますことをお祈り致します。
津本幸司
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