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【射殺アプリ】
スマホからいつものシャッターの音が鳴った。
同時にバタンと男が倒れて、頭のない体をコンクリートに打ち付けた。
とても呆気なかった。
ネットで噂だった射殺アプリは本当だった。
「どうよ竹田。これ良いっしょ」
「俺……殺したの?」
俺に射殺アプリのインストールを勧めてきたの同級生の弘真だった。
ガラが悪いヤツで、こいつは学校が許可してるのにバイトはしない。
射殺アプリだけで小遣い稼ぎしてる。
「殺したに決まってんだろ。とりあえずこいつの金でマシンガンに課金した方が良いぜ」
「やだよ……人殺しのために課金するなんて」
弘真のヤツは男のスーツから取ったのか、財布を投げ寄越してきた。
財布の中身はあんまりと言ったところだ。
むしろ財布の金のちっぽけさで、余計に怖くなってきた。
後ろでピピッとスマホカメラの起動音がした。
弘真を抑えようとしたけど、遅かった。
シャッターが鳴って、弘真は悲鳴を上げた。
あいつは頭の半分を消し飛ばされて、さっきまで話してたのが嘘のように倒れた。
「ハイ、チーズ」
後ろを振り返ると、自撮り棒をアサルトライフルみたいに構えた女子高生がいた。
そいつは舌なめずりした。
「噂の弘真くん、呆気なかったなあ」
「え……」
女子高生のやつはため息をついて、俺を品定めするように見てきた。
端正な顔立ちで可愛いと思った。
しかしその瞳は殺人者の目をしてた。
ブレザーに血が似合う女だった。
「じゃ、君も死んでもらおっと」
腰が抜けるなんて生まれて初めての経験だった。
だがその感覚は変だった。
誰かが俺を抱えていた。
シャッターの音が次々に鳴って家の窓ガラスや街灯が破壊された。
そのせいで辺りは暗くなって見えづらくなった。
だけどその誰かの顔ははっきりと見えた。
「ここで待ってて。すぐ片付ける」
「ちょ……待って……!」
綺麗な顔立ちをしたコートの少女が、そう言って去った。
シャッターの音が次々に鳴る。
俺は思わず彼女を追った。
【続く】
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