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『MOURNING into DANCING』 #8

"Thou hast turned for me my mourning into dancing" Psalm 30:11

「あなたは私のために、嘆きを踊りに変えてくださいました。」詩篇30:11

不慮の事故により、両足切断も免れないというほどの重症を負う。先の見えない日々、血の滲むようなリハビリ生活、しかしその中で受け取った多くの励ましと愛が障害を乗り越える力となっていく。福原タカヨシの手記。毎週金曜日更新。


第8話 『Take It Easy!』


…合わせると二十年を越える闘病生活だ。ある一時期は臥(ね)たっきりの幾年間もあった。微熱に悩まされる果てしない年月もあった。
が、よく考えてみて、私が病気で失ったものは何だったろう。そう思った時、私は驚いた。何と私が失ったものは、健康だけと言ってよいほど、失ったものは少なかった。むろん金もかかった。家人にも迷惑をかけた。しかし私には、失うものより与えられたものが多かった。周囲の 人々の愛、幾人かの友人、恩師、そして、何ものにも替え難い夫 三浦光世、いや、それにもまして、命の命なる救い主イエス・キリストの愛。こう考えてくると、私の病床生活は宝の山であった。
(三浦綾子 『生かされてある日々』より)


春夏秋冬、どの季節が好きだろうか。学生時代、僕は夏が好きだった。だんだんと歳を重ねていくうちに、枯れゆく秋の哀愁が身に沁みるようになった。
2015年8月。この年、身体障害者になってはじめての夏がきた。朝いちばんに整形外科へ向かい、お年寄りの常連さんとともに開院を待ち、トータル2時間のリハビリコースを歯を食いしばって乗り越える。それが終わればお昼ご飯だ。ストックを使って20分ほど歩ければ、美味しい食事にありつける。とにかく、身体の快復のために筋力をつけて、上質のタンパク質を摂る。それが自分の務めだと思っていた。汗をかいて、そして旨い飯を食らう。まるで二度目の青春時代が訪れたような気分で、僕はまた夏が好きになった。

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