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増える”似た者同士”のアライアンス

LINE Payとメルペイが提携発表

LINE Payとメルペイの提携が発表されました。LINEから記者会見の案内を頂いていたのですが、他の取材と時間が被っていたこともあって、「行けないな、他の記者に行ってもらおうかな」と思いつつ、当日を迎え、蓋を開けてみたら”メルペイとの提携”という内容で「やっぱり行っとけばよかった」と後悔先に立たずでした。

LINEの事前案内で・・・
“スマホ決済戦争”状態に新しい流れをもたらすアライアンス新パートナー発表、キャッシュレス社会実現に向けた戦略的提携発表会
とあり、何か大きな提携を発表することは告知していましたが、コンビニなど流通チェーンとの連携かなと予測しており、見事に外れました。「メルペイなら言ってよ」と思っても、事前に言えないのは当たり前ですよね。

提携の内容は?

LINE Payとメルペイの提携にインパクトがあるのは、両社が競合関係にあるからです。普通なら競い合って、出し抜きあって行くところを「一緒に頑張ろう」というのですから、「なぜ?」となりますよね。
提携内容を見てみると・・・

今回の業務提携を通じ、まずは2019年初夏を目途に両社にて「LINE Pay」と「メルペイ」の決済サービスを取り扱う加盟店を相互開放し、各サービスのユーザーが双方の加盟店で利用できるようにいたします。これにより、「LINE Pay」および「メルペイ」の決済サービスを導入する事業者
においては、いずれか一方の決済方法を導入するだけで「LINE Pay」「メルペイ」、両サービスのユーザーの利用を見込むことができ、導入負担軽減と多くの潜在的利用者の獲得というメリットを享受することができます。

とのことで、お互いに開拓した加盟店を融通し合うという趣旨のようです。

さらに、両社は今回の提携趣旨・目的に賛同いただける他の決済サービス事業者の参画を促し、パートナーシップを拡大すべく、両社参画による加盟店アライアンス「MOBILE PAYMENT ALLIANCE(仮称)」を設立いたします。今後、本取り組みを他事業者にも広げていくことにより、さらなるキャッシュレスの普及促進に貢献してまいります。

と言っているので、「他の”ペイ”も一緒にやろうぜ」という話も含まれています。

競合だけどパートナー⁉

競合企業同士が手を組む動きは最近増えています。例えば昨年11月には楽天とKDDIが通信や決済、物流などて提携すると発表したり、昨年4月にはロコンドとマガシークがお互いのモールに相互出店すると発表したりしています。グローバルではAdobeとマイクロソフトの連携を強化するという話が直近では話題になっていました。

ロコンドとマガシークの場合は、狙いが分かりやすく、「ゾゾの一人勝ちの状況をなんとかしない?」と言うのが提携の趣旨で、お互いが開拓したブランドを相互出店によって融通し合おうということです。

LINE Payとメルペイもスマホ決済で大型プロモーションが話題を呼んだソフトバンク・ヤフー系の「PayPay」やポイントの優位性もあり加盟店開拓で先行する「楽天Pay」などに対抗するには、手を組んだ方がいいと考えたのだと思います。

なかなかうまくいかない競合連合

「競合企業の提携でうまくいった事例を挙げろ」といわれると正直あまり思いつきません(単純に知識が浅いだけかもですが)。LINE Payとメルペイの提携も「どうせうまくいかないよ」とうがった見方をしてしまいがちですし、内心そう思っている人も多いかもしれません。

しかし、こうした提携は現状の課題を打開する一手としてとても意味があると思います。次のステージ(サービスの本質での戦い)に早期に進めるチャンスは広がります。個人的には競合企業がいがみ合って消耗していくより、補完できるところは補完し合い、それぞれの良いところが伸びていく(際立っていく)指向性には好感が持てます。

とはいってもビジネスの世界は甘くなく、「結局、勝ち残るサービスは二つか三つ」みたいなことも現実問題としてはあります。競合企業のアライアンスが有効なのは、サービスが普及する過渡期に限られた話なのかもしれないですね。


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手塚 康輔/Eコマース記者
EC業界向け専門紙「日本ネット経済新聞」で記者してます。EC、通販、モノづくり、流通、マーケティングなど取材していく中で紙面には書かない自分の考えや疑問について書いていきたいと思います