年末年始の百文字日記(4)
年末の慌ただしさと、年始のお目出度さを感じられるような日記が読みたくてはじめました。みなさまからの百文字日記を募集しています。何日でも送っていただけます。お待ちしています。こちらからどうぞ↓
年末年始の百文字日記は、中の人の朗読を聴きながら読むこともできます。
それではどうぞ。
2020.12.26 Sat.
なんとなく今年はクリスマス気分をまだ引きずり、うきうきしながら外出をしたかったけれど、特に行くところもないので近所の喫茶店で本を一冊読み、二冊目を読んでいると、だんだん淋しくてたまらなくなって、帰った
2020.12.27 Sun.
私にとって言葉は武器ではないので、放棄したりとかはないが、正直とリアルとの間には絶望的に深い溝があり、そこに一生やまない雨が降り注いでいるし、言葉を尽くす誠実さを犠牲にして完全な満足を得てもいる。
彼氏に手紙を書くと喜んでくれるので、たまに書いては渡しているが、いままで渡した手紙を、ぜんぶリュックのポケットに入れて持ち歩いていることが発覚して、なんてかわいいやつなんだろう!と愛おしさがましまし!
2020.12.28 Mon.
ユーチューブがしつこくおすすめしてくる音楽があからさまに予言なので、勇気が出ず再生できなかったが、勇気なんてものは初めからこの世にないことを思い出してスッと踏み出したら案の定人生全クリしてしまった。
2020.12.29 Tue.
人生を全クリしてから一層マインドフルネスの石像となっていたけど、何らかの到達を目的としない人生なら、クリアしても終わりではないと思い出したので、夜に光り歩き回る泥臭い石像に変わる。存在の重みに耐える。
お茶をして、雑貨を見て、本屋に寄って解散する。十二年の付き合いだけど、こんなふうに遊ぶようになったのは、実はけっこう最近のこと。お互いに稼げるようになったらおいしいものを食べに行こうね、と約束をした。
アルバイトの面接の結果が分かり、とても、いや、かなり落ち込んでしまったので、彼氏がベーコンとほうれん草のペペロンチーノを作ってくれて、りょうちゃんは必要な人やで!俺にとっては必要な人やで!と慰められる
2020.12.30 Wed.
今年の始めから撮り貯めて、そのままにしていたフィルムを現像に出した。友だちがいちばん好きだと言ってくれる写真は、好きだった男を撮った写真。すました感じの写真じゃなくて、だだ洩れの写真をこれからも。
今年の穢れ今年のうちに落とすために髪の毛の断捨離をして、毛量が不足している私は、久しぶりに完全無欠の私だ。完全な姿でいることは、私の真心である。私の貢献である。それをあなたがたが受け取ることもある。
映画館で働いていたころの愉快なみなさんとランチをいただき、移動してお茶などして解散したあと、彼氏と梅田から本町まで極寒の中歩いて辿り着いたいつもの焼肉屋さんで、初めて7000 円以内チャレンジに成功した
離婚する同僚の家に遊びに行ったら「明日この家を出る」とのこと。最後の日にわいわいしながら最後のたこ焼きを焼けてよかった。同僚は大晦日に飼ってる犬と魚だけ連れて出ていく。寂しくて忙しないけどなんか素敵。
自分で前髪を切る。少し切りすぎた気もするけどまぁいいか。落ちてゆく毛を払う。身体から離れた瞬間にその落ちた髪の毛はゴミになる。あんなに頑張って手入れしてたのにね。へんなの。小さくバイバイ。
他人にごはんを作って一緒に食べるのが好きだ。でも皿洗いは嫌いで、食べ終わった後に「お皿は僕が洗うよ」って言われたら、なんていい人なんだろうって思う。将来は、料理と皿洗いを分担して生活できたらいいなって思う。
2020.12.31 Thu.
今年起こった出来事たち、いいことも、うれしいことも、悪いことも、変だなって思ったことも、いやだったことも、全部まとめて大切で、ひとつ残らず覚えていたい。そのとき、そんな気持ちだった自分が助かるように。
自分で実際にプレイしたのではなく、後ろで見ていただけのゲームは、背表紙を見ただけの本と同じく、私を育ててくれたもので、永遠の命を私に与えてくれた。経験と肉体と精神を切り離し、それぞれ勝手に生きている。
ネットプリントもぜひ。2021.01.09までできますよ。セブンイレブンの方がおすすめ。印刷品質がいいから。ファミマとローソンは、だいたい1ヶ月先までプリント可能。