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医師は発信しない!?【③恥ずかしい・何か言われたくない問題(フォルクスワーゲングループ)】

先日は記名発信が多くない理由は
①ITリタラシーが高くない
②恥ずかしい・何か言われたくない

の2つがあるかも?と書かせていただきそのうち【ITリタラシーが高くない】という問題の方を書かせていただきました。

今回は【②恥ずかしい・何か言われたくない】

勿論、僕も個人のFACEBOOKではややこしいことに巻き込まれたくないので 当たり障りのないことを書いたりシェアするだけです。それはわかりますしそれはプライベートな話なので 全くそれで問題ないと思っています。

しかし、医師が医師として過不足のない発信を控えてしまうのは患者さんや社会に対して無益(有害)であることもあるのです。 勿論 もうこれ以上患者さんが来られると困るという先生もおられると思います。そういった先生は無視してもらって良いと思いますが 基本は患者さんには来てほしい、でも発信しないというのは矛盾が発生します。A先生の登場です。

差分

A先生 「でも、井手先生 私もクリニックWEBサイトで発信しています!」
井手 「えーっと待ってね!先生のクリニックのウェブサイト見てみるね 先生 これ最後にいじったのはいつ? 」
A先生 「先週変えました! この部分です」
井手 「って言っても 前の状態との差分がわからないんですよ」
A先生 「そういう先生はWEB触っているんですか」
井手 「触っていません(キリッ)」
A先生 「私だけ責めて 自分はいつも何もしないんだから 見てやる! あっ でもつい最近年末年始の他のクリニックの開院状況がわかるようになっている。WEBサイト触ってないのに なぜ?」
井手 「それは前にも書きましたが 変更の簡単なFACEBOOK投稿のWINDOWS枠を入れているんです、WEBサイトに。 そうすれば自動で日時が出るので動きがわかるでしょ?ちゃんと更新していますよと」
A先生 「なるほど。そうやって差分が誰にでもわかるようにしているんですね。でも先生いつものブログのようなくどいことは書いていないんですね」
井手 「そうですね。あくまでNYAUWの活動は医師向けの活動ですので 患者さんに診てもらっても恥ずかしくないですが あまりに情報量が多いと患者さんは悩むので
A先生 「僕は恥ずかしいです いつもダメ出しされて」

恥ずかしい専門性?


井手 「情報は文脈依存ですので、患者さんのリタラシーレベルで求めておられるものという枠内で医師が発信すべきものを過不足なくというのが原則です。ですので ベースとなるWEBサイトの骨格を全然触っていないというのはそういった意味です。
地域医療がまずは第一なので眼科一般ということを書きながら、もう少し広域なところからの患者さんへの情報提供として円錐角膜とも書いています」
A先生 「え、先生円錐角膜の手術などもされているんですか? 手術室を作ったなんて聞いていませんよ?」
井手 「いえいえ 外来診療だけです 手術は前職の先生方におまかせしています」
A先生 「そんな事 円錐角膜と書いて恥ずかしくないですか?
井手 「A先生のWEBサイトみてみますね、一般診療とだけ書いていますね。」
A先生 「本当は基幹病院で働いていたときには緑内障を専門にしていたのですが いまは緑内障の手術もしていないですし 外来だけで専門と言えるのか?と恥ずかしいので いろんな病気の中に敢えて埋もれるように書いています
井手 「そうそれが問題なんです 過不足なくというのが大切ですが 先生の場合 緑内障のアピールが不足しているんです
A先生 「でも手術していないので 緑内障というのはおこがましいかな?と」
井手 「先生 でも僕も含めて緑内障で紹介来ないですか?患者さんの」
A先生 「来ますよ。結構」 
井手 「それは先生にとっては喜びや誇りになっていませんか? 患者さんや紹介元の先生に喜んでもらって」
A先生 「そうですね」
井手 「それは十分 他の先生の苦手をカバーしているのです それは緑内障において十分すぎる専門的貢献をしているんです」
A先生 「でも恥ずかしいんですよね 大学の医局の先生から見ると僕なんか なにかレベル低いと陰口叩かれてそうで。大学のように最先端のことをしているわけではないですし。


井手 「それなんです。今回伝えたいことは。でも近隣の先生の困った症例が集まっている実感はあるでしょ? そしてA先生でもカバーできない症例をどこの誰に送ったら患者さんがHAPPYになる確率が高いかご存知でしょ?」
A先生 「えー、まーそうですね 」
井手それで十分なんです。以前も女性医師向けの記事を書きましたが【私の外来】という代えの効かない部分を作ることが大切なのです。となりのクリニックがやったからうちもするというのはあまり意味がないのです。 代えが効きにくい分野でその地域で任されるレベルでよいんです」

「専門医とはスーパードクターや神の手ではないんです。厚労省も専門医を
【それぞれの診療領域における適切な教育を受けて十分な知識・経験を持ち、患者から信頼される標準的な医療を提供できる医師】と定義しています
(専門医の在り方に関する検討会 報告書 概要) 


フォルクスワーゲングループ


井手 「それではフォルクスワーゲングループ(以下 VWG)で説明していきましょう」
A先生 「それで一番上の写真VWだったんですね」
井手 「VWGの車知っています?」
A先生 「ゴルフとかビートルとか?」
井手 「他には?」
A先生 「四輪駆動の車とか?あとは知りません」
井手 「ポルシェもそうです」
A先生 「え?」
井手 「アウディも」
A先生 「え?」
井手 「ベントレーも」
A先生 「え?」
井手 「ランボルギーニも」
A先生 「え? ランボはイタリアかと思っていました」
井手 「イタリアですが VWGなんです。ホームページ見てもらうとわかりますが しっかりターゲットを分けています VOLUME(大衆車) PREMIUM(プレミアム) SPORTS(スポーツ)と。先生は何に乗りたい?」


A先生 「ランボルギーニかな?」
井手 「先生、ランボルギーニばかりの駐車場にフォルクスワーゲン ゴルフで行ったらどう思う?」
A先生 「ちょっと恥ずかしい」
井手 「先生が自分の緑内障の専門性を恥ずかしいと言っているのはそんな感じなんです。勿論 値段やスピードやブランド感は違いますからね。学会行くと重鎮DRが最先端の発表していますから。でも先生VWG社内の人々はランボルギーニ担当の人がフォルクスワーゲン ゴルフの人をバカにすると思う?」
A先生 「しないかと思います。」
井手 「それは狙う購買者ターゲットが異なります。例えば レース場ではランボルギーニが早いけど ちょっとしたお買い物で狭い駐車スペースしかないところではゴルフの方が便利ですし。つまり先生は医療提供者視点に立つ必要があるのです。つまりVWG社内の人間が担当する車ブランドによって役割は異なっていてもそれそれがそれぞれの顧客ターゲット(患者さん)にたいしてプライドを持って仕事をしているのです。大学ではローカルでカバーできなかった症例を担当できますが 我々クリニック医師がするような人間的なつながりや小さな疾患のケアなどはできないのです 棲み分けなのです
A先生 「ローカルなクリニック開業医と広域から患者さんを集める基幹病院ではVWG内の車ブランドが異なるように役割が異なるということですね」
井手 「そうです。先生はクリニックというリソースの少ない中でも緑内障に関しては 他の近隣眼科よりも専門をもって地域で診てもらえる利便性を提供して 大病院がパンクしないように。それでもケアできないレベルの緑内障になれば 大病院に送るという大切なゲートキーパーになっているのです。」
A先生 「なるほど 私は大切なんですね。
井手 「ここで過不足なくと言ったのはそういった意味なんです。 皆さん 上には上はいることをご存知なので 私なんかと 自分を卑下しすぎると 先生の存在が知られずに 本来ローカルで患者さんを診れるのに 大病院に患者さんがあふれるということになります。逆に得意でないことを広く標榜すると 自分の得意でない分野はフィルタリング能力が高くないので 大病院に紹介するタイミングを間違えてしまう可能性があるので そういった意味でやはり過不足なく自分をアピールする必要があります。患者さんに関しては地域の医療医療機関に来てしまうことは仕方ありませんが 医療機関が医療機関を紹介する場合に  自分を卑下しすぎたWEBサイトや 自分をもりすぎたWEBサイトだと適切な紹介ができないことになり 患者さんも不幸になりますし そのクリニックを紹介した医療機関の評判も下げてしまうことになるのです」
A先生 「なるほど 過不足なくですね
井手 「でも 地域医療を担うという役割もあるため 診療科一般を診るという姿勢は大切ですのですので一般向けのWEBサイトが多少過不足あるようになってしまうのをゼロにはできないでしょう。しかし、医療従事者向けにはリアルな専門性を表明するのは大切かと思います。」
A先生 「でも、それって一般向けと 医療機関向けの2つのWEBサイトを作るってこと?」
井手 「そんなことは現実的ではないので CLOSEDな医師のCOMMUNITYの中で表明するということです。でもなかなか難しいんですよー。自分で過不足なくというのは「自分なんか小さなクリニックの医師だから恥ずかしい」「自分なんかよりも大きなXX病院のYY先生がいいですよ」みたいな先生が多発して 以前専門性登録プロジェクトがあまり集まらなかったことがあります。大切なのは地域のクリニックで一般的な専門性情報なんです
A先生 「わかります それ! でもそれは結局 自分のためにも 患者さんのためにも 大病院の負担を減らすためもなっていないんですよね?」
井手 「そのとおりです。でも自分のことがわからないけど 自分が苦手な分野についての紹介先はわかるのでそれを紹介先登録してもらうというのが今回の目的なんです」
A先生 「なるほど こう言われると意味がわかりますね 先生の訳解んないプロジェクトも」


このシリーズ【医師は発信しない!?】

医療はチームで行うという意味では農耕社会的な文化があるのかもしれません。勝手な人が出てくると 医療の存続が危うくなるという意味で村八分を行うというのはREASONABLEな判断だったと思います。村の中だけで自給自足ができているという時代であればその村の法律としての村八分は機能していた可能性があります。抜け出すと生き残れないので。 

しかし、今は1つのギルドでなくても情報は手に入ります。患者さんのためにもっと良いルールや技術があればそこを利用したほうが良いので ミツバチのように 腰振りダンスの大切なルールに従いつつも 新しい食料源を探すようなメンバーも内含する新しい形態も一部あっても良くないですか? 

そういった意味で 皆さん医師として優秀な方が考えることを発信してほしいなというのがこのシリーズの趣旨です。しかし、いきなり自分の考えを発信するのはハードルが高いのはこれまでの経緯から十分理解できますので 患者さんに取って有益なものを!

十分有益な情報はWEBで発信しているという先生もおられると思います。 しかし、そこで患者さんと医師のリタラシーの乖離があるので 十分にその情報が利用されていないのです。であればリタラシーがある医師向けに情報発信してほしい CLOSEDな中で。それが【苦手なものの表明】です。これも抽象的すぎるので、もっと具体的にいうと 紹介先という苦手情報です。紹介というのは 苦手な専門性 苦手な地域という苦手情報です

2021年10月28日14時31分31秒

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