【触媒のような倫理委員会】⑮クリニックの後ろ向き研究に特化した倫理委員会設立の可能性⑮
そもそも倫理委員会は何のため?
厚生労働省のリンクを上に貼りますが、
【臨床研究の主な目的は、医療における疾病の予防方法、診断方法及び治療方法の改善、疾病原因及び病態の理解並びに患者の生活の質の向上にあり、最善であると認められた予防方法、診断方法及び治療方法であっても、その有効性、効率性、利便性及び質に関する臨床研究を通じて、絶えず再検証されなければならない。
また、医療の進歩は、最終的には臨床研究に依存せざるを得ない場合が多いが、臨床研究においては、被験者の福利に対する配慮が科学的及び社会的利益よりも優先されなければならない。
こうした点を踏まえ、被験者の個人の尊厳及び人権を守るとともに、研究者等がより円滑に臨床研究を行うことができるよう、ここに倫理指針を定める。】
①被検者の個人の尊厳および人権を守る
②研究者等が円滑に臨床研究できる
特に①のことは強調しすぎてしすぎることはありません。
しかし、今回は【②研究者等が円滑に臨床研究できる】ということを中心に書かせていただきます。
クリニック医師のSTUDYへのマインド:自発性
正直 クリニックに於けるSTUDY発表は 新しいデバイスや治験段階の薬剤ということは多くはないかと思うのです。もちろんデータ提供施設として参加することはあるとしても それは自院で倫理委員会を開催するのではなく 他の医師が提出したIRBの申請の中に名前を入れて頂く形が多いかと思います。
教育機関で勤務している若い頃の専門医試験認定やアカデミックポジションのステップアップのためインパクトファクター(IF)を稼ぐためのどちらかというと義務感で書く論文とは異なるかと思うのです。
クリニックの先生の研究の発露は面白いデータが出そう!患者さんのケアのために他の先生に伝えたい!クリニックの宣伝にも!みたいな自発性からのSTUDYが多いかと思うのです。かつ介入の無い後ろ向きのデータ解析のようなものが多いかと思うのです
Theoretically Possible, But practically Impossible
大学病院で行われるような侵襲性の高いSTUDYに求められるような申請書類レベルのものを画一的に求めることがTheoreticallyにはBestであることは論を待ちません。しかし 上記の介入の無い後ろ向きのデータ解析のようなSTUDYにそこまのレベルを求めると自発性がMOTIVATIONである先生の心が折れてしまうと思うのです。 そういった意味でPracticalな解決策としての倫理委員会がもとめられているのかな?と
そういった視点でなんとなく言語化
背景・ため息
マインドの不活化が医学界にとって損失
バイアスのないデータはローカルに隠れている
大病院のデータはフィルター後Biasデータ
クリニック比率は92%(医科)95%(医科と歯科)
すべてのSTUDYにONE FITS ALLなIRB資料(高めておけば文句出ないでしょ?)が無駄なことも(コンビニにタキシード着ていくような)
考慮したいこと
提出者・運営者・委員の活性化エネルギーを下げたい
GOING CONCERN(継続性)の視点から無理は続かない
インセンティブ設計を適切がむずかしい
INITIAL COSTとRUNNGINコストの見積もり
活性化エネルギーを多大に要する人を鼓舞することはしない(データを発表したいと思っておられない先生をPUSHすることはない)
活性化エネルギーが低い状態の人(開業準備の人など)などがメインターゲット
解決策
2大別します
1-自分でIRBを作ってSHARED REC化
2-他のIRBをSHARED REC化
このあたりは⑥⑦⑧に書いております。 別に自分で作ることが目的では無いので。あくまでSTUDYの活性化エネルギーを下げることなので
※IRB=Institutional Review Board 施設内審査委員会
※REC= Research Ethics Committee 倫理審査委員会
昨日 議論に参加いただいたM先生からも
「開業医へのIRBアプローチハードルの解消」がfirst pain pointなのであれば、そもそも数多ある既存の倫理委員会が、本当に開業医にとってハードルが高いのか把握することも重要。既存の倫理委員会の特徴や委託可否・費用を横目で検索し、その中で開業医がアプローチしやすいものへ橋渡しするような検索サイトやサービスを構築することも一案」とすごく的確なアドバイスを頂きました。 その通りなんです。
これが医療機関の自薦では情報の信頼性が低いので(盛りすぎたり、謙遜しすぎたりするので) 他薦でBEST DOCTORSではない紹介先(一般的な専門性をもつ地域の診療所)というプロジェクトをしていますが
今回の倫理委員会(IRBやREC)プロジェクトの場合には他薦ではなく 自薦は必要になります。
その際にもIRBをお持ちの医療機関の活性化エネルギーを下げてあげる必要があります
・費用
・頻度
・得意な分野
・提出される書類のレベルの担保など
そういった事に納得していただいたIRBを有する施設の情報一括化で十分な場合と提出者の書類の準備の指導などをしてあげるということをしてあげないといけない場合があります
しかし、いろいろなマインドを持つ先生方にいろいろケアをしながら 多施設をあつめるのと 自分で作ってしまうのは長期的にどちらがGOING CONCERN的に善いのか?というのが悩ましい。
まずは うちのIRB公開してもいいよ(ある決まった分野だけで良いですので)という先生方まずはお話を聞かせていただきたいです
(メッセンジャーかメール tokyoeyeasagaya@hotmail.comで)