【医療データとAI】⑨外来で質問に「ある程度」答えられるように<6>「よしっ!でも、、、(倫理委員会問題)」
再び私の役割
この【医療データとAI】シリーズは医療データやAIの最先端を追いかけることではありません。
そういったことはひとまず一部の最先端研究を行っている先生に日本や世界を引っ張って行ってもらいましょう。
私の役割は、次世代医療基盤法についての背景などの自分なりのイメージや理解を皆さんにお伝えして、先生方が外来で患者さんとコミュニケーションする際に役立ててもらおうということです。
なぜ私がその役割を?正直、全く詳しくないからです。
詳しい方にとっては当たり前過ぎで「どこが分からないかが分からない」状況なのです。
私にとっては正直「何も知らなかった」といっても良い状況ですので「分からないことが分かる伸びしろのある男」なのです。そういったことで良いモデルだと思います。
次世代医療基盤法はデータを「集めて」「つなぐ」
「データフローを良くすることでデータを集めやすくする」ということを目指したものが次世代医療基盤法であると書かせていただきました。
しかし、データを集めただけで成果物がないと意味がないので、そのデータを様々な関連データを「つないで」
・意味づけを行う
・新しい知見を探す
・新しい商品・製品を作る
そうやって患者さんのためになるようなデータ利用を行うということです。
医師にとって情報の提供や利活用となると「倫理委員会は?」というのが一番気になるところです。
「認定事業者による医療情報の取得、加工、匿名加工医療情報の提供の一連のプロセスは、法に基づくもので必要な手続がとられているため、医療機関等が医療情報を提供する際、認定事業者が医療情報を収集する際、認定事業者が匿名加工医療情報を提供する際、及び利活用者が匿名加工医療情報を利活用する際に研究倫理指針で求められている倫理審査委員会の承認等の手続は不要。」
そして改正次世代医療基盤法でも
仮名加工医療情報の提供を行う場合や、提供を「受けた仮名加工医療情報のみを利用して研究開発を行う場合は、「人を対象とする生命科学・医学系研究に関する倫理指針」(倫理指針)の適用対象外となり、認定作成事業者又は認定利用事業者において、倫理指針で定める倫理審査委員会の承認を得る必要はないものと整理する。」
https://www.kantei.go.jp/jp/singi/kenkouiryou/data_rikatsuyou/dai11/siryou1-2.pdf
とあります。
しかし、認定事業者では審査委員会を行う必要があるので、利活用者が自身で倫理委員会を作らなくてもよいという意味ではよいが結局は審査書類を作成というものは必要になります。
学会やジャーナルは倫理委員会を要求してくる
以前書いた記事ですが
論文作成自体もため息でしょう。しかし、私はそこはハードルではあまりないのですが、データ集自体をためらわせることがあります。 それは研究時の運用と論文作成時の乖離です。 研究時には倫理委員会の承認が必要ない研究もあります。
例えば以下は慶応大学のFAQサイトですが
Q:症例報告を学会で発表する場合、倫理審査は必要ですか?
A:症例報告については、人を対象とする医学系研究に関する倫理指針の適用外であり、倫理審査は不要ですが、症例報告対象者には同意を得ておく必要があります。また、発表先・投稿先が倫理審査を必須とする場合は審査を受け付けています。
この乖離が問題なのです。
ジャーナル側はリスクを避けたいのと 倫理委員会の承認の有無の可否について調査するコストの問題もあるのかもしれません。 多くの場合には一律に倫理委員会の承認を求めてきます。
つまり
次世代医療基盤法で倫理委員会は不要で、日本の雑誌や学会ではそれを踏襲して将来的には倫理委員会不要とするかもしれませんが、海外はその日本の法律を知ららない場合「日本の次世代医療基盤法という法律があってブラブラブラ」と書いてNARROW ESCAPEを探すよりも
・「倫理委員会通しちゃえ」と頑張る人
・「倫理委員会諦めた&論文も諦めた」という諦めの人
に2極化するんだと思います。
最近はそのあたりの状況を鑑みて海外のJOURNALでも
Institutional Review Board
If the study involved human subjects, human-derived materials, or human medical records, please include one of the two following statements in the Methods section: “Institutional Review Board (IRB)/Ethics Committee approval was obtained” OR “IRB/Ethics Committee ruled that approval was not required for this study.”
For Report submissions only: If institution's IRB does not require approval for case reports, provide an exemption letter or public URL that reiterates the policy that approval is not needed.
https://www.aaojournal.org/content/authorinfo
このように倫理員会が不要な旨が記載された公的URLを記載してくださいというところも増えているようです。しかし、そういったJOURNALにACCEPTされるかわからないので 保険として倫理委員会を通しておこうとなった場合にはやはり研究のハードルが上がるのです。
そのあたり、MAJORITYのJOURNALの投稿規定に「倫理委員会の承認が不要なものもある」という記載が増えてこないとまだまだ変わらないのかななどと考えてしまいます。
でも、まずは倫理員会をすべてに求めるわけではないという流れが世界的に徐々に増えていくことを期待して一歩ずつ世界の情勢と日本の文化を鑑みて少しずつ国も制度を変えていってくれるのだと思いますので未来に期待しましょう。
今日はここまで
シリーズ【医療データとAI】について
先生方とともに自分も学習したいので新しいシリーズ【医療データとAI】を開始しました。私にとっても未知の分野で認識の誤りなどもあるかと思いますがお許しください。
そしてNYAUWのブログの目的は難しいことが理解できない自分自身が学習の過程で掴んだイメージを皆さんにもお伝えすることですので
・卑近すぎる例 失礼に見える表現
・プロから見るとそうでないこともある
などがあるかもしれません。
しかし、できるだけイメージをつかみやすいように、内容を難しくしすぎないようにを心がけていきます。受験勉強の語呂合わせのようにイメージやストーリーを伝わりやすくするためにという悪意の無い目的ですのでお許し下さい。
AIという誰も経験したことのない分野と医療のクロス分野では倫理や哲学もまだ統一されたものもないため議論が世界中で多方面にこれから行われることになると思います。
そういった中で私個人が考える長期的なマクロの医療という視点でこのブログを書いてまいりたいと思います。ミクロな意味・短期的な意味では「不適切だ」か「反対」と思われる方もおられると思います。
・これはあくまで個人としての見解のブログであること
・世間的な未来予想に則ったもので、他の方の考えを否定するものではありません。
その点をご理解下さい。
今後はこの分野【医療とAI】のプロフェッショナルな方々に教えていただきたいので「教えてやるよ!」、または、まだまだ知らないので「一緒に勉強したい」という方まで連絡お待ちしております。
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