AI EHARA | 運動を科学するヒト

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AI EHARA | 運動を科学するヒト

School of Movement®️ で様々な運動関連職種の指導者に対して身体運動の科学を教えています。 理学療法士、公認心理師、修士(東京大学大学院総合文化研究科身体運動科学、学位<学術(バイオメカニクス)>))。https://text.themedia.jp/

マガジン

  • からだ思考

    からだについてかんがえる、あたまのなかを書いています

  • 生まれた子どもと家族を作る

    家族って自然にできるものなのか?と常々疑問に思っています。少なくともそこには、構成員の様々な事情や性格やそれを取り巻く社会の様子というものがあるわけで、そこが多種多様な以上、家族は「作る」ものなのではないかと。その過程の葛藤を文章にしたくて。

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日常生活動作の基本<立つ・座る・歩く>のバイオメカニクス 【全22回講座・無料公開講義付き】

バイオメカニクスってなに?バイオメカニクスを学ぶと動作の基本がわかる  バイオメカニクスは、バイオ=生体、メカニクス=力学、という二つの言葉を合体させてできた造語です。力学の考えかたを生きた身体に応用する学問ということです。  この講座で扱うバイオメカニクスは、人間の運動を理解するためのバイオメカニクスです。  運動を扱う多くの職業では、解剖学・生理学・運動学から運動を考えていくことが多いと思いますが、バイオメカニクスでは身体に外からかかる力である「重力」を考えるとこ

¥39,600
    • 親が子どもにできること

      今朝、Facebookで下の言葉を引用している方がいらした。 子育ては子どもが育つがままに、という言葉は、半分無責任な部分がある。子どもがどう育とうとも、それは子ども自身の課題であるのだ、と信じたい大人たちの犠牲になるのはいつも子どもだ。 人間は、社会生活で育つ生き物だから、他者との関わり無くしては育たない。家族は子どもにとっての一番身近な社会だ。そこから思春期にかけて、少しずつ外の社会への道を自ら切り開こうとしていく。身近な先達たちをできるだけ真似て、社会に順応しようと

      • 身体係数と、健常と、障害と、社会と。

        今週、大学のバイオメカニクスの講義で重心推定のための身体係数についての話をした。重心の推定には、例えば前額面で考えるときには、各セグメントの長さと、体重に対する重さの比と、既に過去の研究で明らかにされているセグメントの重心位置の推定結果が必要になってくる。 全身の重心を推定するためにセグメントの重心が推定されている既存の結果が必要になる、という矛盾はあるが、今のところ教室で基本的なバイオメカニクスの授業をやる上では致し方ない。 身体係数というのは、身体を測定することで得ら

        • ローテーターカフの安定性について改めて教科書から根拠を遡る

          いま、Facebookのグループを作って勉強会を開催しています。 「筋骨格系のキネシオロジー」と「運動生理学20講」という、運動学+バイオメカニクスと運動生理学の、大御所教科書を使用して。 身体の仕事をしている人たちは、この2冊は必読です。教科書以上、各論の専門書未満の知識を得ることができます。 (勉強会ではこの2冊を、元レスリング日本チャンピオンの中村さんと一緒に読み解いていく形をとっていて、そこに20数名の方が参加して議論が進みます。聞くだけもあり、発言もあり。月3回

          ¥100
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        日常生活動作の基本<立つ・座る・歩く>のバイオメカニクス 【全22回講座・無料公開講義付き】

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        • からだ思考
          16本
        • 生まれた子どもと家族を作る
          24本

        記事

          運動の機能軸について考える

          先日「あしか会議」という、フォームソティックスというインソールを日本に導入した会社の集まり?(→これではよくわからないのでこちらをどうぞ)での会話の中で、足部の機能軸は第2指を通るよね、背側骨間筋の配置イメージするとわかるよねって話をしていて、ふと、人間は、進化の最中で「4本足から2本の手を獲得した」のか「4本の手から2本の足を獲得した」のか?という兼ねてからの疑問にぶつかった。 もうずいぶん前に読んだ『想像するちから(松沢哲郎著)』にもその話が書いてあって、その時も、そう

          運動の機能軸について考える

          重さと質量の違いって?

          重さと質量は違う。と言われると、どこかで聞いたことがあるような・・?となる人も多そうです。 質量の単位の国際標準は「kg」ですが(詳しくは国際単位系についてのwikipediaをどうぞー)、これは厳密には「重さ」ではないんです。

          ¥100

          重さと質量の違いって?

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          バイオメカニクスは反力や関節トルクだけの学問ではない

          バイオメカニクスを教えます、と言うと、スポーツバイオメカニクスを思い浮かべる人が多いし、それはもちろんバイオメカニクスの分野のひとつなのだけれど、実は、生体力学、という言葉の英語版であるので、例えば血流の話や腹圧の話なんかも(つまり内臓に関わる何かも)「力」を扱っている以上「力学」の話で「身体の中の力」の話だから「バイオメカニクス」なんですよーというと驚かれたりします。 わたしは最近、お母さんや子どもの運動や姿勢についても少しお仕事で関わることが多いのですが、赤ちゃんの運動

          ¥100

          バイオメカニクスは反力や関節トルクだけの学問ではない

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          一歩目の出し方の違いと床反力

          先日、Campfire Sessions 第5弾に登壇させていただきました。 https://academy.azcare.jp/news/campfire-sessions05/ ここで話題に上がったのが、野球の走塁の際の「一歩目」です。横方向に進むときには身体を進行方向に向ける必要があるのですが、走塁なので同時に速度を得ることも必要です。 横方向に進むにはそちらの方向へ向かう床反力を受ける必要がありますが、走塁の際の最初の一歩で「進行方向に向くこと」と「速度を得ること

          一歩目の出し方の違いと床反力

          面や軸で運動を考える癖をつける

          矢状面、前額面、水平面、という言葉は一度は聞いたことがあると思います。下の図のように、体を中心として3次元を決定するための言葉です。 この図の中で「基本」(水平)面、などと表記されている「基本」というのは「重心を通る(水平)面」である、という意味です。人体を物体に見立てて、重心を通る面で二つに割る、つまり、基本矢状面で人体を二つに割ると「左右真っ二つ」ということになります。 そう考えると、〜面、とただ言ったときにはど真ん中を通っていなくてもそういう表現をする、ということに

          面や軸で運動を考える癖をつける

          グラフ、好きですか

          先日勤務先の大学の期末レポートを受け取って、採点をしました。毎年、持ち込み可の記述式の試験をしているのですが、内容から言ってじっくり時間をかけて考えてもらったほうがいいので、いつもの試験を時間制限なし(もちろん提出期限はあるけれども)でやってもらった形になります。 その中の一問は、毎回、授業で出したグラフを書き写して説明してもらう課題を出しています。 1設問を読んでどのグラフの話をしているのかわかる 2そのグラフを見て、必要な情報を書き写せる 3グラフのどこに注目したらいい

          方法を知ると数字が見える

          有効数字という言葉があります。ある物事を数字で表すときに、その数字をどの桁まで示したら適切か、それは時と場合によります。 twitterでこんな投稿を見ました。 https://twitter.com/kadamasaru/status/1295847671513538560?s=20 「この遺跡は今から2005年前に…」(←ツアーガイド)というネタを思い出した。「ずいぶん正確に分かるんですね」「私が5年前に入社したときに『2000年前』と…」 この投稿の「面白さ」は何

          方法を知ると数字が見える

          「子ども」と「道具」と「運動発達」

          「この道具は使っていい道具ですかダメな道具ですか」という質問をよくもらう。例えば「食事のときにピンセット型の練習箸を使ってもいいですか」などの具体的なものから、「抱っこ紐ってどうですか」などの漠然とした疑問まで、「子ども」と「道具」をめぐる問いかけは尽きない。そういう質問を受けたときに考えていることが、意外と運動能力の本質と繋がっているような気がしたので文章にまとめてみたいと思う。 万人にとってパーフェクトな道具などないまず大前提として、100人の人間が一つの道具を使って、

          「子ども」と「道具」と「運動発達」

          運動があるということは外からの力があるということ

          目の前で起きている運動、それがボールでも身体でもなんでもいいのだけれど、それは必ず「外からの力」を受けて起きている。 と、考えたことはありますか。 2013年からずっとバイオメカニクスの基礎の基礎を教える仕事をしていて、そもそも物体はなぜ動くのか?ということに興味を持つことが、運動を力学的に理解する、ことの入り口なんじゃないかなーと考えるようになりました。 例えば、万歳をしたら、腕が上がりますよね。それは筋力によって腕を持ち上げているからだろう、と考えるのが「運動学」か

          運動があるということは外からの力があるということ

          歩行分析をするためにまず持っていたら良い本(三冊+α)

          歩行分析、という言葉を使うと、魔法のように経験値から紡ぎ出される何かしらの素敵なもの、がイメージされることもあるのだけれども、歩行というのは周期的で原則的な動きなのでその分析方法は結構形が整っている。 歩行の全体像を捉え、その運動学的基礎を学び、最終的に力学的な視点を持つためのオススメの三冊は以下。少なくともこの三冊の歩行に関わるページに目を通すことが、歩行からトップダウンで動作を分析するのには重要だと思う。

          歩行分析をするためにまず持っていたら良い本(三冊+α)

          提示されたものが死だとしても

          深夜に96歳の男性が「ラーメン食べたい」と言ったら、どうしますか? 「ほどほど幸せに暮らす」を目指す事業者の挑戦 この記事に寄せて。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 病院に勤務していたときに、COPDという慢性の肺疾患を抱えている70代の男性が、誤嚥性肺炎で入院してきて、リハビリの担当になった。 普通の水分を取ると、食道ではなく気管に水分が入ってしまう。その状態を日常的に繰り返しているとそれに対する「むせ」もなくなってしまうのだが、むせがなくなると入っ

          提示されたものが死だとしても

          学べば学ぶほど歩行という機能は。

          「歩行分析のためのバイオメカニクスの基礎」という講座を、2週間に1回のペースで10回講座として行なっている。今週末は9回目の講義だ。この講義では最初の第1回から、歩行がいかに省エネルギーになること中心に組み立てられた運動機能か、という説明をしている。 次回は第9回なのだが、これまで関節運動に注目してきた動作を、もう一度重心移動に照らし合わせて、重心の上下動の制御について話す予定だ。 重心は、上下動しないと位置エネルギーを獲得できない(=自分の力でない重力を使うことが一番省

          学べば学ぶほど歩行という機能は。