心霊マスターテープ EYE の考察を追加
久しぶりにアマプラで「心霊マスターテープ -EYE-」をイッキ見した時に、新たな発見というか見落としというか、気になったことが出てきたので、それらについて考察してみたいな、と思います。
どんな作品?
以前に書いた感想・考察記事をご参照ください。
新たに気になった事とは?
ひとつ目は、ツカサの死に様です。亮たち直接の加害者3人は、動画に込められた“呪い”に操られて自殺行動を取りました。
それに対して、ツカサだけが自殺ではなく、目と口から血を流すという、まさに呪い殺されたような死に様でした。これはなぜでしょうか。
単純に考えれば、ツカサが瞳の眼球を踏み潰した事で彼を操ることができなくなり、呪いの力が直接働いた、つまり呪いの例外処理による死。もしくはシステムが破壊された時の予備策として、はじめからそのようにプログラミングされた呪いだった、と推察できます。
しかし、感情的な観点で見ると、ミコがシンに対して放った言葉にあった通りで
「あんたがいちばん悪質だからね」
が鍵になります。
ミコからすると、恋人でも同僚でもあるシンへの失望から前述の発言になりましたが、瞳からすると、後述のとおり好意を持つシンの側にべったりと張り付き、瞳への加虐の様子を常に撮影していたツカサこそ最も悪質だ、と思っていたのかも知れません。
ゆえに、ツカサがどう足掻こうとも直接手を下して復讐を遂げるつもりだったのではないでしょうか。そのために瞳はミコに憑依して現れたのではないでしょうか。それを示すように、ミコがツカサを睨むように凝視した後、彼は血を流して倒れました。
え、じゃあシンはどうなの?となりますが、シンに抱いていた好意は拭いきれなかった、ということでしょうね。手酷くあしらわれた上に隠し撮りで小バカにされていたにも関わらず、許せはしなくとも憎めなかった、というところでしょう。ミコとして彼に抱きしめられた時、瞳の顔になった彼女の無表情の中には微かな喜びがあったように見えてなりません。
しかし、結果的にシンが死んでしまうことに変わりはありません。見方によっては、加害者一派を葬ってしまえばシンは自ら死を選ぶことが分かっていて、彼を“呼んだ”と捉えることもできそうです。
ふたつ目は、谷口さん徳丸さんコンビの役割について。彼らはシンを監督に迎えた作品のプロデューサー、という役割が物語の上では与えられています。
しかし、紆余曲折を経たものの彼らは最終的にシンたちを瞳の兄のアジトに向かわせ、更には杏の自殺にひと役かってしまいました。
他人あてとは言え、彼らも例の動画を見ているので、呪いと無関係でいられたとは思えません。
シンとツカサの過去の所業を知ったことで、徳丸さんは「カメラを持たせるべきじゃない」旨の発言をするほど危機感を持っていたにも関わらず、なぜか決断を谷口さんに無言で委ねました。当の谷口さんは逡巡した表情を見せつつも、なぜか彼らを送り出します。これまではこのシーンを、シンとツカサの覚悟を汲み取った、と受け取っていたのですが、その後の車中の会話を聞いていると、明確な意図はなかったように感じます。
きっと、彼らも瞳の意のままに操られて、意に反しつつもなぜか兄のアジトにシンとツカサを送り込み、誘き出された杏を轢いてしまったのでしょう。兄の住所を逆ハッキングできたタイミング、ミコが過去のテープを谷口に持ち込んだこと、兄の行動、全てが瞳に操られていたのではないでしょうか。
それにしても、劇中ずっと徳丸さんの目がバキバキにキマっていて怖かったです。(了)