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土地とブローカーとわたし

不動産ブローカーといっても、ピンからキリまでいるわけで。

ぼくに会いにくるのは、当然、キリのほう。
資料はコピー→コピー→FAX→コピーしたものを持ってくるので、文字が潰れて読めるわけがない。
これ、6?8?まさかの3? ってわけです。

資料が複製された数と同数のアンコが存在するわけですから、所有者に辿り着くのに数日要することもありますし、辿り着かないことだってあります。

所有者が必要としている金額に、勝手に取り分を乗せるやつらです。
乗せたことが発覚しないように、お金を貸すぼくと、お金を借りる所有者をなるべく会わせないように企てます。会えたとしても短時間で強引に終わらせようとします。

ムカつくんです。やつらの言動すべてがムカつくんです。

でも、ある出来事がきっかけで、ぼくはブローカーとの共存の意味を知ることができ、いまはブローカーの皆様に生かされています。


ぼくが営業でがんばってた頃、付き合いのあったブローカー乙に案件を紹介してもらいました。
「八重洲のビル担保でお金借りたいひといるんだけど。」
「いくら欲しいの?」
「3億って言ってました。」
「いけるんじゃない?所有者会わせてよ。」

数日後、ブローカー乙から入電。

「面談会場ですけど、ホテルの会議室取りましたので。」
「は?うちでいいじゃん。誰が会場費払うの?」
「大丈夫です、所有者に払わせますので。」
「あっそ。じゃ行きますけど。」

当日、約束の時刻13時ちょっと前に指定されたホテルの会議室のドアを開けて愕然としました。

ブローカー6人もいるんですけど。
みんなお弁当食べてるんですけど。

「…えっと、誰が所有者?…」
「実はですね、急遽所有者来れなくなりまして。代わりに話を詰めてほしいと頼まれまして。」
「は?なんでこんなに集まってんの?誰?このおじさんたち。」

「すいません、ご挨拶遅れまして、わたくし○○(ブローカー丙」
「わたくし、○○(ブローカー丁」
「わたくし、○○(ブローカー戊」
「わたくし、○○(ブローカー己」
「わたくし、○○(ブローカー庚」

フチがギザギザした名刺だったり、肩書きが顧問だったり、北関東の不動産屋だったり、誰一人信用できる人がいません。

所有者→庚→己→戊→丁→丙→乙→ぼくの順で並ぶおじさん隊列。

「ってかさぁ、なんも話できねーじゃねえか!所有者ほんとに繋がってんの??」
庚「これ、所有者の名刺ですけど。繋がってますけど。」
「白黒コピーじゃねーかよ…」

3億ポンって借りてくれるなんて、街金では優良顧客です。
15パーの年利で毎月350万以上払ってくれる。たぶん払えないんだろうけど。
ノコノコとホテルまで出向いてしまった自分に腹が立ちます。

「ちょっと待て、ここの部屋代、所有者が払うって言ってたよな?どうすんの?弁当代もどうすんの?」
庚「…あ、電話。ちょっと失礼…」
部屋を出る庚、静まり返る会議室。

己「あ、おれも電話…」
戊「おれ、ちょっとトイレ…」
丁「ちょ、ちょ、コンビニ行かないと…」
丙「あ、電話、もしもーし、あれ?電波悪いな、もしもーし、もしもーし?(退室」

乙「あ、あ、私も、」
「ちょっと待ってよ、誰もいなくなるじゃねーか。」
乙の首根っこ掴んで上司に電話です。

「すいません、所有者来ませんでした。で、ブローカー6人も来ててですね、弁当食ってやがりました。で、弁当代も払わず消えていこうとしたんで、乙だけ捕まえました。顔踏んでいいですか?」

上司「ぎゃははは!ちょうおもしろいwww
部屋代と弁当代払ってやれよ。あと、乙に1万円渡してやれ。他のやつらひどいなって。懲りずに次々案件持ってこいよって言っとけよ。」

「は?まじすか?」



はい!前置き長くなりました。

何が言いたいのか、そうです。

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テツクル
ほんとにぼくでいいんですか?