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人生はマシュマロテスト

マシュマロテスト

    おはようございます。皆さんはマシュマロテストという実験をご存知でしょうか?これは、1972年に行われた有名な実験であり、対象者は幼い4歳の子供たちでした。まず、テーブルの上にマシュマロを1つ置いておきます。これは子供たちにとっては「誘惑」になりますが、15分間席を離れないまま食べずに我慢できた場合にはマシュマロを2つ貰えると伝えます。この時にテーブルのマシュマロを食べてしまったグループと、15分待ってマシュマロを2つ貰ったグループに分け、その後追跡調査を行い、その子供たちの将来に違いが生まれるかを観察する、というものです。結果としては、3人に1人が「誘惑」を我慢してマシュマロを2つ貰い、その我慢したグループは人生において、

・大学入試の点数が高い
・中年になった時の肥満指数が低い
・自尊心が高い
・ストレスにうまく対処する

などの特徴が見られたといいます。これにより、「自制心」というものが社会での成功に重要であることが分かりました。ただ、子供の時の自制心で社会で成功できるか決まっていると言いたいわけではありません。ここで、双曲割引という概念があります。これは、「今の価値」と「未来の価値」の評価の比率が1:1にならないことです。これはつまり例えば、1年後にいくら貰えるなら今貰える10万円を我慢できるかを考えた時のその比率を指します。合理性からすれば、この比率は1:1に近いほど良いと言えます。この点については納得して頂けるかと思います。

「プラスの喜び」と「マイナスの喜び」

    本題に移ります。「喜び」には2種類の「喜び」があります。「プラスの喜び」と「マイナスの喜び」です。ここでは、喜びとは“その時点”で幸福度が上がるものを喜びと呼ぶことにします。「プラスの喜び」とは、時系列全体で見てプラスに作用する喜びであり、「マイナスの喜び」とは、逆に時系列全体で見てマイナスに作用する喜びです。つまり、幸福度を-10(最も不幸)から10(最も幸福)で評価した時、その行動の時点でプラスに働きながら、その後にもプラスの影響がある、またはそれを下回る程度のマイナスの影響しかない場合はそれはプラスの喜びだと言えます(添付図参照)。しかし、その時点ではプラスに働きながらも全体としてマイナスに働いてしまう場合、それはマイナスの喜びと言えます。具体的には、マイナスの喜びは酒、タバコ、ギャンブル(?)、スイーツ、頻繁な遊びなどです。一方、プラスの喜びは、思い出や経験のための旅行、好奇心主導の学習、大切な人と有意義な時間を過ごすなどです。こう考える限り、多くの人はマイナスの喜びになることを続けた結果、プラスの喜びになることをすれば良かったと後になって後悔しているような印象を受けます。

考察

    マシュマロテストと合わせて考察します。マシュマロテストは、幼い子供を対象とした双曲割引のテストでした。当然、幼い子供は生理的欲求が優位なため、目の前の「誘惑」には弱いです。そこで、大人なら「誘惑」に勝って15分待ち、マシュマロを2つ貰えると思われるかも知れません。しかし、「マイナスの喜び」こそ大人にとっての「誘惑」なんです。こう言えるのには理由があります。それは、マシュマロの誘惑と同じ「ドーパミン」による欲求だからです。「ドーパミン」は、「これを食べたら幸せになれる!」などの期待によって分泌される脳内の神経伝達物質であり、強烈な欲求で人を行動へと駆り立てます。昔はそれが種の生存に役立ち、現代の僕たちにも引き継がれています。ドーパミンの危ないのは、より強い刺激や報酬を求め続けるところです。添付図の「マイナスの喜び」で2回目の行動による幸福度が1回目より低いのは、このドーパミンが僕たちの体を同じ刺激で満足しないものにしているからです。更にはその刺激が無い状態において「早くあの刺激が欲しい」と体に思わせ、それが不快感となり、その後の通常時の幸福度を下げてしまうんです。それがあまりにも繰り返されたとき、それは依存性という診断が下されます。パチンコやスイーツ店などのビジネスはこのドーパミンを利用して「もっとやりたい」「もっと甘いものが食べたい」と思わせることによって成り立っています。現代においてはそんな「マイナスの喜び」を我慢して「プラスの喜び」に切り替えることで、ある種の“ご褒美”(長期的利益)が貰えるわけです。しかし、これは「誘惑」に溢れた現代では難しいと思われるのも無理はありませんが、本当にそうでしょうか?ここで、朗報です。幸い人間には「理性」というものも同時に備わっています。よく心の中の天使と悪魔で例えられますが、実際理性と欲求は拮抗しています。しかし、「マイナスの喜び」を繰り返す度にこの悪魔が強くなり、欲求の力が増していきます。

人生はマシュマロテスト

    最後に解決策です。欲求が起こったら、「欲求が起こった」と自覚し、心を落ち着かせる必要があります。それも、「今」が最もチャンスな時です。人生はマシュマロテストそのものなんです。

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