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禅寺・修行中「白衣に長い髪」見ちゃった。

 私の修行していたお寺は大きい。参拝客も沢山来ます。

 山深いお寺なので、日が暮れると危ない。ハイキングや軽い登山になる距離。日中はバスが通っている。

 お寺からの用事でとても遅くなった。和尚の車でお寺に戻る頃には、開枕(寝る時間)をかなり過ぎていたが仕方がない。

 ヘッドライトが暗闇の道を照らす。もうすぐお寺に着く。

 私は道の先を見ていた。その時、遠目に白衣を着た人の姿が飛び込んできた。「出た!」と少し大きめな声を出してしまった。

 運転している和尚に「スピード落として下さい。なにかいました。」

 和尚は何だ動物か?たぬきも良く出るし、ヘッドライトに飛び込んでくるからな。。

 違います。先の大きな岩の所に、右側から道路を横断して真中の岩陰に白衣を来た何者かを見ました。

 「嘘つくな、こんな時間に。誰かいるわけないだろう」

 和尚が脱走者か?と言ったが、今いる修行中の者の中に脱走するような人はいない。それに白衣を着て脱走なんておかしすぎ。

 お互い目を凝らしながら前方を見る。

 ちらっと白衣が見えた「ほら、今見えたでしょ。。。。」

 和尚も「見えたな」・・・・

 岩に最徐行で近づいて車を止めた。和尚が何かを見つけた、「まってろ」といって窓を開けた。

 そこにいる方、私たちはお寺の関係者です。隠れていると危ないですよ。出て来てください。と言って車を降りた。

「大丈夫ですか?私が行きましょうか?」いや、「注意しないといけないから、私が行く」「お前が行ったら、相手が怪我する可能性があるからな」と真面目な顔して言って和尚が外に出る。

 車の前に和尚が仁王立ち。暗闇の中、スキンヘッドがヘッドライトに反射する。

 岩の陰から白衣を着た長い髪の女性がヘッドライトに半身だけ照らされた。

 心の中で「うぉ~でた」「本物か?」「人間か?」「和尚大丈夫か?」

 ドアノブに手をかけ、いつでも和尚を助けに行けるように準備。どんな人物かわからないし、刃物なんて持っていたら危ないですからね。

 「こんな遅くに、何をしているのですか?」相手の声はとても小さくて何も聞こえない。

和尚が車に戻り、車を走らせた。

 何だったのですか?

 「お百度参りだった。こんな遅くにやるとはね。」「日中に行うように指導したから」「今日はもう帰ると約束した」

 「でもここから、法堂までのお百度参りなんておかしいし、方向が違うでしょ」「どうやってここまで来たのでしょうね」

 「境内に入ると私たちに見つかり怒られると思った、ここからお寺に向かってお参りしていたらしい」

 「焦りましたよね、本物が出たと思いましたよ」

 「勘違いしている人多いんだよ」「夜、人目につかないでお参りする人の多くは何らかの問題を抱えている人が多いから気を付けた方が良い」と和尚

 年に数回、藁人形に釘も見つかるらしい。

 しかし、暗闇の中で白衣と長い髪。懐中電灯も持たずにお百度参りなんてほんとびっくりさせないで。。。

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てつゆう
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